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惑星F冒険譚  作者: 伊藤テル


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【08 動く植物たちの行動】

・【08 動く植物たちの行動】


 前回と同じように高山地帯に着陸した俺たち。

 動く植物たちが住んでいると思われるドームは前よりもだいぶ大きくなっていた。

 俺はあえて上空を旋回してから、着陸したので動く植物たちも俺たちが来たことは分かるはずだ。

 何故旋回してから着陸したかというと、来たことを知らせたかったからだ。

 こっそり着陸して、向こうも突然気付いた時に反応するよりも、来たことを知らせることにより、向こうの出方がすぐ分かると思ったからだ。

 果たして動く植物たちはどういった反応を見せるのか。

 俺たちは着陸してもすぐには出ず、宇宙船内で様子を見ていると、リリが、

「もうアタシたちは神様なんだろ? ビクビクする必要無くないか?」

 と言うと、ナナロロもそれに同意しながら、

「そうだな、また外に出て食糧調達すればいい」

 でも全く顔を出さない動く植物たちに俺は違和感を抱いていた。

「もう少し待ってくれ、食料の木の実もたくさん保存したし、そんなに食料は必要じゃない」

 すると寧々が、

「さすがに慎重過ぎるよ、譲ぅ。いろんな時代の食料を調達することは良いって言っていたじゃない!」

 俺は周りに押されて、またペアになって移動船で食糧調達へ行くことにした。

 俺と寧々、リリとナナロロがペアになり、とりあえず近間から採取し始めた。

 相変わらず木目調の魚が佇んでいて、それを可食センサーに押し付けると食べられると出るが、とても硬いのでナイフで削って採取する。

 寧々は地面を可食センサーに付けて、それも食べられると出るので、それをそのまま袋に入れていく。

 このまま本当に何も無ければと思いながら、移動船でもう少し遠くへ行こうとしたその時だった。

 ドームから石器というかナイフを持った動く植物たちが顔を出し、しかもそれは大群で、宇宙船目掛けて移動し始めていたのだ。

「寧々! 戻るぞ!」

 すぐさま俺は通信でリリとナナロロにも応答し、急いで宇宙船へ戻り、ナナロロとリリは移動船で上空に待機し、ハンドガンを構えてもらっている。

 俺はビームサーベルの準備をして、寧々には宇宙船の中で注意深く見てもらっている。

 動く植物の大群はなんと、別のドームからも顔を出して、どんどんこっちへ向かって攻め込んできているようだった。

 何故そう思ったか、それはナナロロからの通信で「何か掛け声を掛けながら、力を込めて近付いてきている」といったからだ。

 俺と寧々も移動船で外に出て、まずはハンドガンで応戦することにした。

 と、その前にと思って、俺だけ最前線の動く植物へ近付いて、意志を探ることにした。

 通信で話し合って、みんなもそのことに同意してくれた。

「みなさん! 俺たちに何か用ですか!」

 と上空から声を掛けた俺。

 すると動く植物のリーダーだと思われる一番服飾が豪華な動く植物が、

「今すぐあの宇宙船をよこせ!」

 とハッキリ明言したので、これはヤバイ、と思った。

「どういうことですか! 説明してください!」

 と俺は通信のスイッチを入れながら、向こうの声も入るように喋る。

 動く植物のリーダーは、

「文明を我々に!」

 と声を上げると、後ろの軍隊も「おー!」と荒らげた。

「攻撃の意志があるのなら俺たちは貴方を撃ちますよ!」

 とこっちも意志を示すと、動く植物のリーダーが、

「全面戦争だ!」

 と言ったので、すぐさまナナロロが遠隔射撃で動く植物のリーダーを撃ち殺した。

 それを合図に、俺もハンドガンで動く植物を撃ち始めたが、正直どんどんドームから動く植物が出てくる。

 俺は徐々に撤退しながら、撃っていき、宇宙船の近くまで戻ってきた。

 リリが矢継ぎ早に、

「どうする! 譲!」

 と言ったので、俺は、

「とにかく燃料が少しでも溜まるまで撃ち続けるしかない。余力の燃料ですぐに戻ることもできるが、耐えられるところまでは耐えたほうがいいと思う。戻ったら戻ったでまたこうなってしまっていることがあるかもしれないから、つまりはこっちの攻めてくるほうのパラレルワールドに行き続けるかもしれないからだ」

 と答えて、俺たちはとにかくハンドガンで撃ち続けた。

 すると段々動く植物たちも怯みだして、遠目から囲んで止まった。

 その間もナナロロが移動船で近付いて、ハンドガンを撃ち込んでいるので、動く植物は確かに量が減っていった。

 日が暮れていき、夜に攻め込まれるとヤバイかもなと思っていたが、動く植物たちはなんとドームの中に戻っていった。

 どうやら夜は活動ができないのか、鈍くなるのか分からないけども、なんとか今日は守り切ったようだ。

 でも油断はできないので、アラーム装置を俺とナナロロで設置した。

 ドームはもう上にも下にもあるので、全方位囲うようにアラーム装置を置いていった。

 さて、俺は一つ、みんなに問うことにした。

「未来にタイムリープするか、それとも一回過去に戻って作戦を練り直すか、どっちが良いと思う?」

 すると寧々は挙手をしながら、

「勿論未来だよ! また考えが変わってるかもしれないし!」

 と言うとナナロロがアゴのあたりを触りながら、

「この様子だともう未来へ行ってもこうなんじゃないか? でも夜が弱いのなら、今回のように逃げ切ることも可能だと思う」

 リリはう~んと唸ってから、

「どうかなぁ、向こうも科学力が上がって、夜の弱さを克服されちゃったらもう万事休すじゃない?」

 俺の意見は、

「過去に戻ったほうがいいと思っている」

 と言ったところですかさずリリが、

「そうだ! メモをやっぱり探しに戻ろうよ! あれのせいだから!」

 でも、

「日単位では戻れないからな、それは現実的ではないと思う」

「じゃあどうすればいいの!」

 と声を荒らげたリリ。

 俺は制止のポーズをしてから、喋り出した。

「神様と崇められた時に戻って、そこから友好的に会話をして、長年の仲間として関わっていきたい」

 ナナロロがほほうと息をついてから、

「つまり懐柔するということか」

 寧々はうんうん頷きながら、

「それは確かにありかも!」

 でもやっぱりといった顔をしたナナロロは頭をポリポリ掻きながら、

「まあ懐柔も悪くないのだが、結局気持ちが変わってしまう可能性もあるのでは?」

「だからここからはこまめに顔を出そうと思っている。今まではとりあえずいけるところまで、二日で燃料をフル充電にして、二百五十年後にしていただろ? それをもう少し刻もうと思うんだ」

 リリは同調しながらも、

「それはありだけどさぁ、ちょっと帰りが遅くなるというか……」

 と少し難色を示したが、

「でも俺たちは確実に帰らないと意味無いわけで」

 と毅然とした態度でそう言うと、

「そうだけどぉ」

 と俯いたリリ。

 ナナロロは深い溜息をついてから、

「まあ譲の案が最適解といった感じだな」

 と言うと寧々も、

「うん! 私も賛同するよ!」

 と言ってくれて、じゃあ、と思いながらリリのほうを見ると、

「まあこれしかなさそうだよねぇ……」

 と頷いて、今後はその作戦でいくことにした。

 というわけで、

「燃料が十分に補給できたら過去に移動しよう。前に行った時代だから先に進むよりも燃料も少なくて済むし、出来次第タイムリープだ。幸い今は攻められていない。この間にしっかり燃料を補給しておこう。戻ったら次はどうなっているかは本当のところは分からないからな」

 と俺が言うと、寧々が、

「さすがに不安になること言い過ぎ! 戻った時はこの前の通りだと思おうよ!」

 と言って確かにな、と俺は反省した。

 その後、みんなで食事も摂り、それぞれの部屋へ散っていった。

 俺はタイムリープ室で横になりながら、考える(すっごいことを)(大盛りご飯がキムチ屋に突撃するくらいのすごいことを)(しかも大盛りご飯がキャタピラなんだぜ?)

 (俺ってキャタピラが面白単語だと思っている可能性があるなぁ)

 (いやでも実際、いろんなモノにキャタピラ付いていたら面白いと思うんだよな)

 (タケノコにキャタピラが付いていたら「それよりも伸びろよ!」とツッコミたくなるし)

 (それにしてもキムチ屋って何であんなに在日コリアンって感じなんだろう)

 (全然日本の風景に馴染んでいないカラーリングとハングルで自己主張してくるよね)

 (キムチ屋の韓国感、すごいよね)

 (でもカレー屋さんだってそうか)

 (まず内観から食べさせてくるよね)

 (内観を美味しく食べさせようとしてくるよね、国のメニューって)

 (寿司屋ももっと日本然とするべきなのかもしれないな)

 (土俵とか置いたほうがいいのかもしれない)

 (土俵の周りにレーンがあるほうの回転すし)

 (寿司握る機械が回し履いていたり)

 (寿司握り機械に回しとキャラピタみたいな)

 (いや俺、キャタピラ好き過ぎるな)

 (キャタピラは全然日本的じゃないから)

 (ついキャタピラという案をゴリ押ししてしまった)

 (これは良くない、キャタピラ協会からも嫌われてしまうよ)

 (今後のキャタピラに悪影響と言われて、勧告処分を受けてしまうかもしれない)

 (でもキャタピラ好きなんです、キャタピラは好きなんです、と俺は訴えるけども棄却)

 (俺はもう一生キャタピラに関われなくなって、淀んだ余生を過ごすのかもしれない)

 (あーぁ、大盛りご飯にキャタピラを付けて、祭り神輿を襲撃したかったなぁ)

 (いや今この状況で襲撃っていう空想するの良くないわ)

 (楽しいことだけ考えよう、楽しいことだけ考えて寝よう)

 (伸びろタケノコ祭りを開催しようかな)

 (俺のタケノコ伸びろ!)(二十五歳の俺のタケノコは全盛期)(完全に下ネタになってしまった)(下ネタはしないようにしていたのにな)

 結構極限状態かもしれない。どんどん不安が増していく。本当にこのタイムリープの旅は成功するのか。

 友好的な関係を結んだとしても、次の時代ではまた攻撃的になり、とかなってしまうのではないか。

 何か、向こうにとって得することを小出しにする必要があるな。

 ちょっとずつ、向こうの技術が上がったら、こっちの技術を少しずつ教えるみたいな、そんな小出しに教える必要があるなぁ。

 今のところ、未だに石器を武器にしているみたいだし、ちょっと飛ばす原理とか教えれば。

 いやでもそうやって武力を強化したら急に反乱みたいなこともあるかもしれない。

 どうすればいいんだ、でもきっとこの技術を小出しにして教えていくということが一番の最適解だと思う。

 結局文明が欲しいみたいなことを言っていたので、多分その傾向のままいくとは思う。

 だからこそちょっとずつ技術を教えるということにすれば。

 ここからは俺の交渉術と寧々とどこまで教えるかといったところだろうなぁ。

 リリの医療はさすがに動く植物とは体が違うだろうから、あんまり役に立たないかもしれない。

 あとはナナロロが短気にハンドガンをぶっ放さなければ大丈夫、まあナナロロもそんなすぐにぶっ放したりしないだろう。

 とにかく成功するというイメージトレーニングをする、大丈夫、大丈夫、と思うんだ。

 いつの間にか朝になっていた。

 まだ外のアラーム装置は鳴っていない。

 中央スペースに居ると、今日は寧々が最初にやって来たので、俺が夜に思ったことをそのまま伝えることにした(キャタピラはまだ伝えない!)。

 すると寧々は、

「ちょっとずつ技術を分け与えるわけね、うん、私も少しずつ教えるよう頑張る!」

 と言ったところで、リリもナナロロも来て、改めて俺の作戦を伝えて、同意してもらった。

 その時だった。

 外のアラーム装置が鳴り、俺たちはすぐに移動船に乗って、アラームが鳴ったほうへ行くと、動く植物たちがまた石器を持って、攻め込んできていた。

 リリが叫ぶ。

「あと何時間でタイムリープできる!」

「これくらいあれば大丈夫だ! もう今すぐ行こう!」

 俺たちはタイムリープして、俺たちが神様として崇められた時代に戻っていった。


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