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惑星F冒険譚  作者: 伊藤テル


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【11 地球】

・【11 地球】


 西暦五千年の地球に戻ってきて、すぐ分かった。

 すぐ分かってしまった、おかしいということに。

 上空から見て、すぐに分かるくらい地球の文明が退化していたのだ。

 つまりここはパラレルワールドの地球だったのだ。

 リリが悲痛の叫びを上げて、寧々が膝から崩れ落ちて、ナナロロは震えながら、

「やっぱりあんな試算、間違いだったんだよ……」

 でも俺はこう思ったので、言うことにした。

「試算が間違っていたことは当然のように理解できるけども、何で文明レベルも低下しているような感じなんだ?」

 今まであった宇宙エレベーターは存在しなくて、高層ビル群すら存在しないその地表に俺は違和感を抱いた。

 俺にはもう一つ思っていることがあったが、それはまだ胸にしまって、この現在の状況だけに終始することにした。

「まあまずは発進した地・種子島に戻ろう」

 俺は宇宙船を高速飛行に切り替えて、撃墜ミサイルが飛んでこないように配慮することにした。

 多分別のパラレルワールドになっているはずだから、この宇宙船は異物として防御態勢を取られるはず。

 だから撃墜ミサイルのようなモノが飛んでくる前に着陸する。それが一番安全だと思ったからだ。

 宇宙船は何事も無く、種子島の平らな部分に着陸した。

 するとすぐさま現地の研究員たちから包囲された。

 勿論全員が全員不可思議そうというか目を皿のようにしている。

 俺は両手を挙げながら、宇宙船から降りて、声を出した。

「俺は地球人、というより、日本人です。柿島譲という者です。もしかしたらこの世界のパラレルワールドから来たかもしれません。俺たちは元の世界に戻りたいと思っていますが、その前に果たしてこの世界は俺にとってのパラレルワールドですか?」

 どうやら意味は理解してもらっているらしい。どれも知っている単語といった感じだ。でも信じられないといった反応だった。

 寧々・リリ・ナナロロは宇宙船に待機してもらっている。

 本当に何か向こうから攻撃があれば、ナナロロに操縦してもらって、逃げるように指示は出している。

 (ナナロロが一人で操縦できることは長尺タイムリープの犯人だと認めた時に分かったので)

 現地の研究員の一人が、俺と同じように両手を挙げながら近付いてきて、こう言った。

「信じられないが信じるしかない。だがその科学力、どうやら貴方にとってはパラレルワールドらしい」

 俺はその研究員と一緒にその場で立ち話をすることになった。

 まずこの宇宙船の性能、俺がいた頃の技術力、そしてそれと照らし合わせるためのこの現在の地球の科学力。

 どれもこの現在の地球は低い技術力で、何故そうなっているのかは「そうだから」としか答えられないらしい。

 果たして何故文明が退化しているのか、それはもう、それこそタイムリープするしか分からないといった感じだった。

 俺はその研究員と別れて宇宙船に戻り、過去にタイムリープすることをみんなに告げると、まず寧々が、

「もうそうするしかないよね……やるだけやってみよう!」

 と言い、リリは絶望した表情を浮かべながらも、

「全部譲に任すよ……」

 と俺の目を見て言って、ナナロロは深い溜息をついてから、

「分かった。わたしは譲についていくだけだ」

 と答えてくれた。

 というわけで宇宙船内の燃料をこの敷地内で溜めさせてもらったら、すぐに旅立つことにした。

 燃料が溜まるまで一日くらい、俺たちは宇宙船から出ずに慎ましく生活しようと思っていたのだが、一人の研究員が宇宙船に両手を挙げながら近付いてきたので、まあ科学力ではこっちが上なので、と思って、宇宙船から降りていくと、その研究員がこんなことを言い出した。

「僕としてもこの世界が不可解なことは気付いていて、僕の仮説を聞いてもらってもいいですか?」

 当然時間もあるので、その研究員と宇宙船の外で立ち話をすることにした。

 その研究員いわく、この世界は空白の期間があるのでは、という話だった。

「何か重大なことが起きて、空白が世界にできた可能性があります」

「その空白とは一体なんなんですか?」

 と俺が問うと、その研究員は体に下げていたバッグから本を取り出した。

「これはカルト的な人気を誇った当時のベストセラーです。当時はこれはデタラメの面白本として扱われていましたが、僕はそうだと思っていなくて」

 ページを開きながらその研究員は喋る。

「大規模な侵攻によって文明を全て奪われて、世界政府はこの事実を全て隠ぺいし、偽の歴史を作った、と」

「でもそんなことが果たして可能なのか?」

「現在この世界の人口は十三億人です。約八十億人の人間が大規模な侵攻によって死んだということにこの本ではなっています。そこまで大勢がお亡くなりになれば、歴史の操作も可能なのではないかと思います。しかも相手は科学力が相当上な相手。催眠状態にさせることも可能なのでは、と」

 八十億人が死んだなんて考えられない。相当な化学兵器を投入したに違いない。それも無慈悲に。明らかに同じ人間同士ではありえないやり口だ。

 俺は研究員へどんどん質問していった。

 その質問に全て答えてくれて、時間としてはとても有意義だった。

「ありがとう、参考になったよ」

「こちらこそパラレルワールドのお方とお話できて楽しかったです。是非、自分の世界に戻ってください」

 握手し合った俺と研究員。

 俺は宇宙船に戻って、今話したことを全員に話したが、寧々はそうなのかと感心していたけども、リリとナナロロは否定的だった。

 さすがにそんなことは、といった感じだった。

 確かに俺も信じられないと考えることもよく分かる。

 でもこの文明の退化ぶりを見ると、あの研究員が教えてくれたようなことが正しいような気がしてならなかった。

 俺たちはタイムリープして、昔の地球に行った。

 すると上空からも分かった。さらに文明が拙いと。

 撃墜ミサイルも、もう無さそうなくらいなイメージ。

 種子島には宇宙センターのようなモノも無く、わざわざ種子島に着陸する必要は無さそうだ。

 とはいえ、ただの未開の島として、着陸して休んでも良さそうなので、そのまま着陸した。

 平場というよりは森の中に着陸したが、本当にこの現在の地球へ簡単に侵入できたといった感じだ。

 俺とリリが先発隊として、移動船に乗り、宇宙スーツは脱いで、普通の服装の状態で、人がいそうなところの近くまで飛んでいった。

 そこには普通の人里があり、移動船を森の中に隠してから、降りて、何気なく観光に来た人のように振る舞って、現地の人に話し掛けることにした。

 まず種子島の歴史を聞いてから、それからこの世界の歴史を聞くといった感じで。

 でも現地の人たちは「ずっとここで暮らしているよ」といった感じで、あまり要領を得なかった。

 何だか思考力というか、言語力も衰えている感じで、ハッキリ言って『大丈夫か?』といった感じだった。

 移動船で宇宙船に戻っている道中、リリが、

「何か、本当に変なことが起きているのかも」

 と実感してくれたのは良かった。

 宇宙船に戻り、ナナロロに説明する時、リリが熱心に喋ったおかげで、ナナロロにも緊張感が伝播した。

 緊張感が伝播することは俺としてはいいことで、みんな同じレベルで違和感を抱いていれば、何か起きた時すぐに反応できると思うから。

 それと同時に俺の思っていたことが確信に近付いてきて、正直胸が詰まってきた。

 果たして元の地球に戻れるのだろうか。でも俺はやるべきことをやるしかないんだろうな。

 もっと過去に戻ることにした。すると俺は勿論、寧々もリリもナナロロも愕然とした。

 何故ならそこはこの前見てきた衰えた西暦五千年よりも文明が発達していたからだ。

 というより、正史のこの時代の科学力と同じといった感じ。

 この俺たちが今、タイムリープしてきた間に何かが起きたんだ。

 上空から見る限り、高層ビル群はあるし、何よりも地球の周りに人工衛星が回っている。

 ここは一旦着陸するよりも宇宙上で細かくタイムリープを設定し、その時々に行ったほうがいいと決断し、こまめに時空間を移動することにした。

 こまめ、再び。

 (豆煮、なんて言ってる暇無いよな)

 (でもちょっとだけ思考を爆発させたい)

 (すまない、寧々・リリ・ナナロロ)

 (今から俺は豆煮を爆発させる)

 (豆煮・豆煮・豆煮・豆煮・豆煮・豆煮・豆煮・豆煮・豆煮・豆煮・豆煮・豆煮・豆煮・豆煮・豆煮・豆煮・豆煮・豆煮・豆煮・豆煮・豆煮・豆煮・豆煮・豆煮・豆煮・豆煮・豆煮・豆煮・豆煮・豆煮・豆煮・豆煮)

 (いいぞ! 俺!)

 (豆煮・豆煮・豆煮・豆煮・豆煮・豆煮・豆煮・豆煮・豆煮・豆煮・豆煮・豆煮・豆煮・豆煮・豆煮・豆煮・豆煮・豆煮・豆煮・豆煮・豆煮・豆煮・豆煮・豆煮・豆煮・豆煮・豆煮・豆煮・豆煮・豆煮・豆煮・豆煮)

 (もっと豆煮出してこう!)

 (豆煮・豆煮・豆煮・豆煮・豆煮・豆煮・豆煮・豆煮・豆煮・豆煮・豆煮・豆煮・豆煮・豆煮・豆煮・豆煮・豆煮・豆煮・豆煮・豆煮・豆煮・豆煮・豆煮・豆煮・豆煮・豆煮・豆煮・豆煮・豆煮・豆煮・豆煮・豆煮)

 (強い豆煮を! 強豪校の豆煮を出していこう!)

 (強豪校の寮で出される、本当の豆煮を出していこう!)

 (寮生が「またこれかよ」と言いつつも、本当は喜んでいるような豆煮を!)

 (高校生が豆煮を喜ぶなんて異例だけども! 本当に喜んでしまうような美味しい豆煮を!)

 (豆煮・豆煮・豆煮・豆煮・豆煮・豆煮・豆煮・豆煮・豆煮・豆煮・豆煮・豆煮・豆煮・豆煮・豆煮・豆煮・豆煮・豆煮・豆煮・豆煮・豆煮・豆煮・豆煮・豆煮・豆煮・豆煮・豆煮・豆煮・豆煮・豆煮・豆煮・豆煮)

 (甘いだけじゃぁ、ないんだよなぁ)

 (豆煮・豆煮・豆煮・豆煮・豆煮・豆煮・豆煮・豆煮・豆煮・豆煮・豆煮・豆煮・豆煮・豆煮・豆煮・豆煮・豆煮・豆煮・豆煮・豆煮・豆煮・豆煮・豆煮・豆煮・豆煮・豆煮・豆煮・豆煮・豆煮・豆煮・豆煮・豆煮)

 (昆布のコクがたまらない)

 (豆煮・豆煮・豆煮・豆煮・豆煮・豆煮・豆煮・豆煮・豆煮・豆煮・豆煮・豆煮・豆煮・豆煮・豆煮・豆煮・豆煮・豆煮・豆煮・豆煮・豆煮・豆煮・豆煮・豆煮・豆煮・豆煮・豆煮・豆煮・豆煮・豆煮・豆煮・豆煮)

 (なぁ、お母さん(寮の母親役のこと)この豆煮のレシピ、教えてくれよ)

 (豆煮・豆煮・豆煮・豆煮・豆煮・豆煮・豆煮・豆煮・豆煮・豆煮・豆煮・豆煮・豆煮・豆煮・豆煮・豆煮・豆煮・豆煮・豆煮・豆煮・豆煮・豆煮・豆煮・豆煮・豆煮・豆煮・豆煮・豆煮・豆煮・豆煮・豆煮・豆煮)

 (豆煮・豆煮・豆煮・豆煮・豆煮・豆煮・豆煮・豆煮・豆煮・豆煮・豆煮・豆煮・豆煮・豆煮・豆煮・豆煮・豆煮・豆煮・豆煮・豆煮・豆煮・豆煮・豆煮・豆煮・豆煮・豆煮・豆煮・豆煮・豆煮・豆煮・豆煮・豆煮)

 (豆煮・豆煮・豆煮・豆煮・豆煮・豆煮・豆煮・豆煮・豆煮・豆煮・豆煮・豆煮・豆煮・豆煮・豆煮・豆煮・豆煮・豆煮・豆煮・豆煮・豆煮・豆煮・豆煮・豆煮・豆煮・豆煮・豆煮・豆煮・豆煮・豆煮・豆煮・豆煮)

 (うぉぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!)

「あぁぁあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!」

 俺も寧々もリリもナナロロも叫んだ。

 なんと今まさに、地球が大規模侵攻されている時代にやって来たからだ。

 この時代というか年代、間違いない、やっぱり俺が思った通りだ!

「きっと動く植物たちが攻め込んできているんだ!」

 寧々もリリもナナロロも俺の顔を見た。

 俺は続ける。

「この年代、ちょうど俺たちがレアメタルをもらった直前の時代だ! 動く植物たちは俺たちから学んだ同等の科学力で、俺たちの科学力になる前の地球を襲ったんだ! ちゃんと地球という国から来たことを言ったつもりだったが、伝わっていなかったみたいだ!」

 するとリリが叫んだ。

「じゃあ失敗じゃん! 動く植物たちに技術力を教えてことは!」

 ナナロロは唸り声を上げながら、

「でもそうするしかなかったわけだしなぁ……」

 寧々は呆然として、口をあんぐり開けて、一切動かなかった。

「寧々、あの時、こっちのほうは見ないでくださいって言われたことあっただろ! それはきっと戦艦の準備だったんだ!」

 でも寧々は膝から崩れ落ちるだけで。

 リリが俺の肩を掴んで、

「どうするんだよ! おい!」

「交渉するしかない。またちょっと過去に戻って、惑星Fに行き、地球を侵攻しないように交渉するしかない」

 とは言え、本当に動く植物が侵攻しているのかどうかは自分の目で見ないといけないので、

「みんな、地球を高速飛行して確認に行くぞ」

 寧々だけは無言だったが、リリとナナロロは同意してくれたので、俺は操縦席にうつり、飛行を開始した。

 地表近くまでいくと、何だかガスのようなモノが充満しているようで、きっとそういう化学兵器を使ったんだなと分かった。

 またその地表を悠々と動く、動く植物も目視できたところですぐさま浮上し、否、そのまま過去にタイムリープした。

 まだガスが充満する前の地球。俺たちは高山地帯に移動して、そこで燃料を補給して、惑星Fに旅立つことにした。

 まさかこんな早いスパンで惑星Fに行くことになるなんて(惑星FのFって完全にファラウェイだよな)。

 (でもファラウェイってどういう意味だっけ?)

 (宇宙船の船長なのにど忘れしてしまった)

 (英語くらいは喋られるようにしておきたいのにねぇー)

 (いや勿論他の英語はもうバリバリだけどね)

 (おせんべいくらいバリバリだけどね)

 (おせんべいと掛けまして、汚い海水浴場と説く、その心はおせんべい(汚染ベイ)だから、ベイって浜の英語バージョンだから)

 (掛ける時の言葉とその心の時の言葉を一緒にしたことにより、逆にテクニカルだよね)

 (テクニカルお兄さんと呼んでくれて構わないよ)

 (二十五歳のテクニカルお兄さん大学院卒)

 (テクニカルお兄さんって、ちょっと手先が器用そうだよね)

 (テクニカル=手先が器用というイメージがあるなぁ)

 (手クニカル、だからかな?)

 (ちょっとおもんないオジサンが過ぎてしまったな)

 (おもんなオジサンになってしまった、テクニカルお兄さんから)

 (かなり鉛色になってしまった)

 (色で言うと、カラフルなグラデーションからドブネズミ色だよね)

 (おもんなオジサンにだけはなりたくないって何度言ったら分かるんだ、お母さん)

 (お母さん、我が子にオジサンって言わないでくれ)

 (我が子だぞ!)

 (……ゴメン、お母さん、我が子という一点張りでこんな強気に出てしまって……)

 (と言って泣き崩れる映画なら見てみたいものですよねぇ)

 (タイトルは勿論『我が子』という映画で)

 (オープニングアニメは有名アニメ工房に作ってもらいたいなぁ)

 (そう、実写映画なのにオープニングはアニメしてもらいたい)

 (変な尖りをしたい)

 (まだ二十五歳なんだから)

 (アニメも白黒にして、かなり嫌な尖りをしたい)

 (でもそれはあんまかぁ)

 (タケノコ)

 そんなことを考えながら惑星Fに旅立った(そんなこととは?)。

 (そんなことダンスという曲をEテレで流そうかな)

 (Eテレって何でも曲になるから、ピタゴラスイッチね)

 (ピタゴラスイッチって西暦二千年からやっているから、もう三千年やってる長寿番組なんだよな)

 (宇宙船の船長としてピタゴラスイッチに出たいなぁ)

 (アルゴリズム体操に出たいなぁ)

 (寧々とリリとナナロロと一緒に出て、一生の思い出にしたいなぁ)

 (そのためには元の世界線に戻らなければ)

 急に真面目なことを考え出してしまった。

 ()書きも、もういらない。

 俺はこの四人ともっと密になって、仲良くなりたいんだ。

 地球に戻ったら家族ぐるみの仲になって、本当の家族ともお話する感じになって。

 だからパラレルワールドじゃダメなんだ、向こうの、寧々のお母さんにもたまには会いたいなぁ。

 寧々とは幼馴染だから知っているけども、寧々のお母さん、めっちゃオレンジジュースくれるんだよなぁ。

 寧々のお母さんは、生協からオレンジジュース買ってたから、俺の家には無い味なんだよな。

 あのオレンジジュース、すごく美味しかったし、寧々のお母さんはこれでもかと注いでくれるし。

 寧々のお母さんは優しかったなぁ、寧々と遊んでいるというか、寧々のお母さんに会いに行ってるみたいな時期あったなぁ。

 寧々からハッキリ「私と会話してよ!」と言われて、俺は照れちゃったことあるなぁ。

 ダメ、いつの間にか真面目なこと考えていない。

 ()書きで十分な展開になっていた。

 (寧々のお母さんにも会いたいから、早く元の世界に戻りたいなぁ)

 (そこで俺たちはこのタイムリープという技術を完全に抹消させるんだ)

 (やっぱりこの技術はオーバースペックだった)

 (タイムリープ反対派の意見をちゃんと聞いていれば、こんなことにもならなかったのに)

 (やっぱり反対の意見もしっかり聞かないとダメなんだな、勢いだけで推し進める改革に意味は本当にあるのか? ということなんだろうな)

 (ダメだ、違う)

 ()書きになると、真面目なことを考えてしまうようになってしまった。

 どうなっているんだ、俺の脳内。

 今までこんなことなかったのに。

 俺は自分の御機嫌を保つため、脳内でボケる時は()書きで囲って、ギャグ思いが暴発しないようにしていたのに。

 おっ、でも今イケてるのでは? いや今イケてるのでは? と考えることが良くないよ。いい加減にしろ。

 中央スペース、静かだな。寧々もリリもナナロロも一言も喋らず、外をボンヤリ見ている。同じ宇宙空間なのに。

 ここは俺がボケないとダメだな。

 人生はユーモアが無ければ生きていけない。それが俺の格言だから。

「まああんまり深刻に考えても仕方ないからさ、深刻猿は檻に入れて、また美味しい木の実食べようぜ」

「深刻猿……」

 と俺のシュガースポットをオウム返ししたリリ。

 でもそれ以上は喋ることはなく、効いていないのか? と思った。

 ここは深刻猿をもっと応用していくかと思い、

「深刻猿はさ、変なバナナ食べるけども、俺たちは美味しい木の実食べればさ、それでいいんじゃないか?」

 寧々が深い溜息をついた。

 いや深い溜息をつくのはリリかナナロロだろ。

 まさか寧々から引き出されるとは。

 これはなかなか重症だなと思い、もう最後の手段だと思って、オナラをしたんだが、オナラはそのまま空を切った。

 なんだよ、オナラだぞ、船長のオナラだぞ、ちょっとくらい反応してくれてもいいだろ。

 今まで四人でいる時はオナラ我慢していたんだぞ、これは虎の子のオナラなんだぞ。

 それを無視ってなんだよ、まさかオナラでこんな亀裂を感じるとは思わなかったよ。

 オナラってリトマス試験紙だったんだ、関係性のリトマス試験紙だったんだ。

 じゃあいいよ、もういいよ、俺は黙って木の実食べて、いっぱいオナラするよ。

 そう思って、木の実を食べ始めると、ナナロロも一緒になって木の実を食べ始めた。

 それに釣られるように、リリも寧々も続々木の実を食べ始めて、無言でずっと食べていた。

 でも、ここだと思って、俺は、

「旨いな」

 と言ってみると、寧々が、

「うん」

 と言ってくれて、旨いがリトマス試験紙でした、と思った。

 惑星Fに到着し、すぐさまいつもの場所に着陸すると、またいつも通り動く植物たちが出迎えてくれた。

 その時のリーダーの動く植物が、

「よくぞ来てくれました。まず最初に歓迎パーティをさせてください」

 と言ってきたのだが、俺はもうアツアツの状態ですぐに言うことにした。

「そんな暇は無いだろう」

 リーダーの動く植物はギョッとしてから、目を泳がせて、

「いえいえ、暇はありまくりですよ!」

 と言ったのだが、俺はハッキリ言うことにした。

「今から貴方たちはとある惑星に攻め込む直前のはずだ」

 するとリーダーの動く植物はその場に土下座するように膝から崩れ落ちて、

「ひぇぇええ! 神様には全てお見通しただぁああああ!」

 と泣き声を上げた。

 俺は続ける。

「その惑星は俺たちの母星、地球だ。そこには攻め込まないでほしい」

「神様の母星だって……でもあそこは我々よりも! 神様よりも科学力が劣る惑星!」

「俺たちがタイムリープして移動していることは説明した通りだ」

「はい、それは存じ上げております」

「あの惑星はもっと未来に行くことにより、このような技術を身に着けるんだ」

「そういうことなんですか……」

 リーダーの動く植物はそう言いながら立ち上がり、またこう言った。

「では、ちょっとお話を、会談をしませんか?」

「そのつもりだ。また俺と寧々で行かせてもらう」

「はい……」

 とちょっと弱々しい返事をしたリーダーの動く植物。

 俺は一旦宇宙船に戻り、宇宙スーツにビームサーベルを隠し持って、寧々はハンドガンを隠し持ち、会談の場所へ行った。

 メンバーが揃ったところで俺は改めて主張することにした。

「あの地球という星は俺たちの母星だ、だから攻め込まないでほしい」

「なんと……」

 と顔を見合わせる動く植物たち。

 そんな中、長老の動く植物がこう言った。

「でもあの惑星は我々も欲しいのです。資源として素晴らしい星なので」

「確かに俺たちもこの惑星のレアメタル欲しさにやって来たが、全てを壊して、文明までも奪うのは間違っている」

「では加減します」

「そういうことじゃない。それともちょっと資源をもらうだけにするのか? 資源を半分もらうだけにして終えるのか?」

 すると動く植物たちは黙った。

 やっぱり大規模侵攻するつもりらしい。

 これだけ正直に反応を見せるなら、ここは強気にいったほうがいいかもしれない。

 多分動く植物は駆け引きというものが下手で、だからこそ直情的に大規模侵攻なんてしてしまうんだ。

 思ったら一直線で思いやすいというか。だから別のパラレルワールドでも宇宙船を奪いにきたに違いない。

「俺たちがタイムリープの宇宙船を持っていることは知っているよな?」

「はい、それは存じ上げております」

「過去に戻って動く植物たちに大規模侵攻をかけてもいいんだぞ」

「それは困ります!」

 そう言って立ち上がった、若手っぽい動く植物。

「そう、それは俺たちも困るんだ。母星が死ぬということはそういうことだ」

「そ、そうですよね……」

 そう言って改めて顔を見合わせる動く植物たち。

 俺はここで決めだと思って、冷静沈着でこう言うことにした。

「ただし元の世界線になったら、ちゃんと交流しましょう。俺が惑星Fと地球を繋ぎます。友好関係を築けばいいんです。我々は考える力を持っています。この惑星にだって豊富な資源があり、皆様が俺たちにくださった木の実、本当に美味しいです。それも当然交換材料になります。もう少しだけ未来になりますが、その時はリスペクトし合って、交流し合う仲になりませんか?」

 動く植物たちは小声ゴニョゴニョと喋り始めた。

 するとリーダーの動く植物が叫んだ。

「やっぱり大規模侵攻は反対だ! 僕は元々反対派だった! 次の世代に新しい仲間ができればそれでいいだろう! 地球の皆さんとは友達として触れ合いたい!」

 若手っぽい動く植物も同調するように、

「確かに。奪ったあとじゃあどうするんだの議論もあんまりのまま侵攻することは危険だと思います」

 長老っぽい動く植物たちは少々鈍い反応だが、リーダー組や若手のほうはどんどん声を出していき、最終的には長老組も根負けしたようだった。

「では、元の世界線に戻った時、必ずまた会いに来ます。その時は俺たちと交流してください」

 そう言って頭を下げると、万雷の拍手を受けた。

 最後にリーダーの動く植物が触手を伸ばして、

「こちらこそよろしくお願いします」

 と言ったので、握手をした。

 俺と寧々は宇宙船に戻り、リリとナナロロに説明した。

 リリとナナロロは胸をなで下ろし、またタイムリープをした。

 まだ惑星F内。

 いつものスペースに着陸して改めて大規模侵攻していないかどうかの確認をした。

 すると、

「勿論しておりません。そうそう、そろそろレアメタル採取の時代ではないでしょうか?」

 と言われて、もうレアメタル採取終えている……と思った時に、ちゃんと別のパラレルワールドに来たということが分かった。

 別のパラレルワールドというよりも、これが正史であることを願いながら、俺たちはまた燃料が溜まったところで上空に飛んでタイムリープ。

 惑星Fでまたこまめに顔を出して、その度に確認をして(ウザいだろうなぁ)、そしてついに惑星Fを完全に飛び立ち、地球を目指した。

 (こまめ、おまめ、豆煮、どれが寮生に一番人気でしょうか?)

 (正解はおまめというあだ名の寮母さんの娘でしたー)

 (おまめさん、めちゃくちゃ可愛くて、高校生の寮生はみんなおまめさんに夢中)

 (二十五歳の栄養士らしいので、優しさに脂が乗っていて、かつ、若くて最高)

 (おまめさんが来ると、寮生以外も見に来るようになって、おまめさんはちょっと疲れ気味)

 (そのことに気付いた冴えないベンチ組の寮生と仲良くなって、一緒に頑張るラノベかよ)

 (栄養管理の行き届いたお弁当をもらって、さらに奮起もして、そんなラノベかよ)

 (ラノベかよってなんだよ、俺が自分でツッコんでるのかよ)

 (ツッコんでます、幸せです)

 (もうやるべきことはやりました)

 (これでも元の世界線に戻っていなかったらもうそういうことです。試算の間違いです)

 (でも今の俺たちにはこの四人がいるから、多分大丈夫だと思う)

 (たとえパラレルワールドだとしても、この四人が一緒ならきっと大丈夫だと思う)

 (少なくても俺は、ね)

 (まだ二十五歳だし)

 と思ったその時だった。

 ナナロロが口を開いた。

「申し訳御座いませんでした。わたしのせいでこんなことになって」

 すると即座に寧々が、

「そんな! 今更いいよ! もう最善は尽くしたわけだしさ!」

 リリは大きく溜息をついてから、

「マジでそういうのいいから。つーかタイムリープが危険な技術ってしっかり分かったしさ」

 俺も何か言ったほうがいいなと思って、

「まああとは成るようにしか成らないから。というかたとえ、また別の世界線だったとしても、俺には寧々とリリとナナロロがいるからいいなって感じだよ」

 ナナロロは少し涙ぐみながら、

「わたしと同じ気持ちでいてくれて有難う……」

 と言うと、リリが矢継ぎ早に、

「まあもう家族みたいなもんだよねぇ、アタシたちの家族いない世界線だったらさ、四人で暮らそうよ」

 すると寧々が笑いながら、

「そうだね! それがいいかもね!」

 と言うと、リリが“あっ”と気付いた感じで、

「譲、一夫多妻制じゃん」

 と言ってきたので、俺はちょっと照れてしまうと(ついガチで)、リリから、

「何だかんだで譲は可愛いねぇ」

 と言われてしまい、なおも照れてしまった。

 果たして、地球に戻った時の世界線は。


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