死に戻りノート
【死に戻りノート】
死に戻りの日記をつけようと思った。
特に目的があったわけではない。
けど……何故か、このノートは死に戻りしてもリセットされないので、折角なら活用としようと思ったんだ。
【ループ0回目】
死んだら、いつの間にかに前世でやっていたギャルゲーの世界に転生していた。
正直、めっちゃ嬉しかった。
だって、もう人生は終わりだと思っていたのに、まだ生きていられるなんて……。
それに、この世界の女の子はみんな顔面偏差値が高くて目の保養になるし、ゲームの中だけでしか存在していなかったヒロインを生で見ることが出来るのだ。
テンションは爆上がりだ。
……そのはずだった。
しばらくして、気がついてしまった。
この感じ……ヒロイン全員死亡ルートに完全に入ってないか?
少し悩んだが……ヒロインたちを死亡エンドから助けてみることにした。
幸い、彼女らか死ぬ時間と方法はわかっていた。
放課後、交差点で車に轢かれるのだ。
だから、彼女らをちょっと足止めして、時間をずらせば……簡単に死亡エンドを回避できる。
そう考えていた。
でも――ダメだった。
校門の前で3人を足止めしていると――突如として、校門から車が突っ込んできたのだ。
身を挺して咄嗟に車から3人を守ろうとしたが……結局、無駄だった。
俺諸共、全員車に轢かれてしまった。
【ループ1回目】
なんで、俺は生きているんだ?
目が覚めたら、自室のベッドで寝ていた。
日付を確認すると……今日は、俺が転生した初日だった。
……何が起こってるんだ?
昨日のあれは、夢だったのか?
……いや、有り得ないだろ。
昨日、経験したことはどう考えても現実としか思えなかった。
しかし、悩んでもわからなかったため、俺は一旦、昨日のようにに過ごすことにした。
【ループ2回目】
違う。
これは、夢なんかじゃない!
もう一度死んで、ようやく理解した。
俺は――死んだ瞬間に転生直後にタイムリープしている。
さっきのループでは、最初の時と同じ行動を取った結果、最初と同じ結果になった。
校門から車が突っ込んできて……またしても俺達は死んだ。
どうして、こんなことが起こっているのか。
疑問はたくさん浮かんでくるが……考えても答えは出てこない。
とりあえず、俺がするべきことはヒロインたちを死亡エンドから助けることだろう。
とはいえ、前回と同じ方法を使っても同じ結果になるので、今回は別の方法を使うことにした。
【ループ3回目】
ダメだった。
またしても、俺は死んだ。ヒロインたちも死んだ。
前回から方法は変えた。
しかし――車はどこに逃げても現れた。
そして、確実にヒロインたちを轢き殺してくるのだ。
まるで……運命がヒロインたちを殺そうとしているかのように……。
マジで……どうしたらいいんだよ、これ。
どう頑張っても死亡エンドを回避することなんて無理なんじゃねえのか……!?
……いや、まだわからない。
もう少し、頑張ってみよう。
どうせ死んでも……またやり直せるんだし。
また、新たな事実に気がついた。
何度もループする世界の中で、俺の精神以外にリセットされないものが存在したのだ。
それが、この日記を書いているノートである。
これは俺がギャルゲーの世界に転生する前。死ぬ直前に電車の中で見返していた授業用ノートだ。
俺は何故か、この世界にこのノートを持ってこれていた。
また、そのせいかもしれないけど……このノートだけは死に戻りしてもリセットされないのだ。
とはいえ……使い道があるかと言われれば……ない。
けれど、折角なので、このノートに日記をつけることにした。
【ループ4回目】
流石に4回も既に死んだので、死ぬのにはちょっとだけ慣れてきた。
とはいっても、まだまだ怖いんだけどな……。
今回は、3人が車が轢かれる直前に割り込んで無理矢理、3人を死亡エンドから助けようとした。
まあ、結論から言えば、失敗だった。
3人を交差点を渡らせないようにしたのだが……突然、車が方向転換してきたのだ。
ありゃあ、物理法則すら無視してたんじゃないか……?
他の方法を考えるしかないな。
【ループ10回目】
もう10回目になるのか。
少し……精神的にキツイな
死ぬ時は即死な時もあるが、そうじゃない時の方が多い。
1時間以上、死なずに苦しみ続けることだってあった。
流石にそれはキツかった。
だからだろうか。
――今回のループでは、俺は死ななかった。
いつも通り、3人を車から身を挺して守ろうとした。
けれど、寸前になって死ぬ時の痛みがフラッシュバックしたのだ。
それで……俺は足がすくんで動けなかった。
結局、3人はそのまま、車に轢かれて、死んだ。
【ループ11回目】
俺は死ななかった。
けれど――俺に翌日は来なかった。
目を覚ました時、日付を確認すると……転生した初日だった。
嘘だろ。
なんでだよ。
どうして? これは死に戻りじゃないのか?
ヒロインたちが死ねば、自動的に時間が巻き戻る仕組みなのか……?
じゃあ……俺は……このループの中で永遠に暮らしていかなきゃいけないのか?
誰かと仲良くっても、何かを成し遂げても……数日後には全て元通りになっている世界で……何も残らない世界で……生きていなきゃいけないのか?!
クソ、クソクソクソクソクソクソ!!!
クソッタレた神様がいたもんだ。
いいぜ、やってやるよ。
絶対に運命に抗ってヒロイン全員、助けてやるよ!!!
【ループ12回目】
またダメだった。
最近、気が付いたんだが……運命の力は車ではなく、ヒロインたちの行動にも作用するらしい。
俺が放課後に安全な場所に行くように、いくら策略を練ってもヒロインたちは反論をしてきたり、嘘をついてきたりして、全く従わないのだ。
まるで自分で死ににいっているようだ。
本当に、彼女たちは人間なのか?
いや、この世界にいる人間は全員、本当に人間なのか?
全員……プラグラムされた機械なんじゃないのか?
俺はただ一人、孤独なんじゃないか?
そう思うと酷く寂しくなった。
……
…………
………………
【ループ30回目】
誰も助けてくれない。
苦しい、辛い、もうやめたい。
もう……死にたくない
……
…………
………………
【ループ100回目】
結局、俺は一人ぼっちなんだ。
誰も助けてくれやしない。
この世界は全部がプログラムされて、誰も自我なんて持っていない。
ここは地獄だ。
俺は地獄に堕ちたのだ。
前世で何か悪いことをしたのだろう。
ごめんなさい……本当にごめんなさい。神様、仏様……謝ります。いくらでも反省しますから。
この地獄から救ってください……
――記録はしばらく途切れている――
【ループ319回目】
久しぶりに記録を書きます。
今回は校門の前にバリケードを張ってみました。
そして、ヒロインを校門の中に止まらせるように足止めしました。
車はバリケードを容易く突き破って、ヒロインに突撃しました。
――記録はしばらく途切れている――
【るーぷごひゃくかいめ】
またしっぱいした
とっさにぜんいんを、つきとばしたのに
ぜんいんひかれた
――記録はしばらく途切れている――
【ループ1021回目】
じウサcあしぷチェアcはあhlだscあcだh;cあ……(文字は乱れていて、よく読めない)
――ここでノートは終わっていた――




