敵はだーれだ?
《天野川&轟轟》
「たぶん、百夜が変装するなら俺の知ってる奴だと思うんだ。」
「確かに、それが普通だよな。お前にも近づきやすいし。」
「しかも休みだから学校に来ている人間も限られてる。……絶対に見つけてやる。」
……1人目を見つけた。
「あいつって、A組の武鳥卯月だろ?」
「あの馬鹿なんで日曜に学校に来てるんだ。」
「……声かけてみるか?」
「ああ。……卯月!」
俺が呼ぶと卯月がこちらを振り返る。
「……なんだ、川か。」
「なんだとはなんだ。……なんで日曜に学校いるんだ?」
「ふん。補習だ。」
「……。」
間違いなく卯月だと思うが……とりあえず何か質問してその反応を見よう。俺は轟に目で合図を送る。轟もまた返してくる。
「……卯月、ちょい質問。」
「なんだ?」
「…1+1=?」
「5だ。」
「「……。」」
俺と轟は顔を近づけ小声で話す。
「どうしよう。ここまであからさまだと偽物なんじゃないかと疑ってしまう!」
「落ち着け!奴はまごう事なき馬鹿だ。……当然の解答だと思うぞ?」
「わからない。男と女が交われば子供が3人出来るとかそんな解答かな?…願望かな?」
「……馬鹿の対応にそこまで深く考えるお前も凄いな。」
「あいつあれでも高校入学出来てるはずだぞ。……裏口か!」
「…話がどんどん逸れてきているぞ。」
「はっ!そうだった。」
俺は卯月に向き直る。
「…卯月、」
「なんだ。」
俺は卯月に人差し指を向けて、
「あ、圓「陽奈ああああ!!!」……。」
名前を最後まで言い終わる前にすごい勢いで後ろを振り返る。
「……間違いなく本物だ。」
「……だな。」
俺と轟は卯月が後ろを向いてる間に逃げることにした。
…次はここか、俺は扉を開ける。
「……久しぶりだね。」
「そうですね。大久先輩。」
「じゃあ、クイズを!」
「轟、次行こう。本物だ。」
「早いな!」
俺は扉を閉める。
それから数人に質問、挑発を繰り返したが一向に百夜に当たる気配がなかった。
「これで一通りは見て周ったな。」
「……いったい何処にいるんだ。」
俺たちは自分達の教室で休んでいた。絶対にいるはずなのに。もしかしたら、俺が変装を見抜けなかったのか?まだ行ってない場所があるのか?そう、考えていたら教室の扉が開いた。
「お、天野か。」
「…また先生か。それに卯月。」
数学の先生と卯月が教室に入ってきた。……どうやら卯月の補習は数学らしい。
「またとは何だ。お前に会うのは二週間ぶりだぞ?」
「川!陽奈は何処に消えた!」
……はぁ、百夜は何処にいるのかな。少し疲れてきた。
「ん、そうだ。天野、体調の方は大丈夫なのか?」
「はい、おかげさまで。」
「?そうか。そうだ。お前に渡すものがある。」
「……なんですか?」
先生は何かを上着のポケットから取り出そうとする。
「喜べ!二週間分の宿題だ!」
「いらな!!くっ⁉︎」
先生は俺の目の前に突き出してくる。………………ナイフを。
ざしゅっ!!
机を倒しながら俺は倒れた。……頰から血が流れてくる。
「…間一髪逃れたか。」
「はぁ、はぁ、…百夜!」
くそっ、意表を突かれた。また同じ人間に変装してくるなんて!
「ちょっ!!先生!何やってんだよ⁉︎」
轟が慌てて俺を背中から起き上がらせる。
「違うんだ、轟。こいつは変装したーー」
「ちゃんと殺せよ!逃げられたらどうするんだ!」
「……え、」
俺は轟をそして、先生を見る。
「…そのまま抑えてて下さい。次こそは。」
「ああ。外すなよ。」
俺は轟に後ろから抑えられる。なんで?百夜が二人?混乱する頭で俺は必死で逃げようとする。
「っ⁉︎卯月!助けて!あがっ⁉︎」
顔面を椅子で殴られた。……卯月に。
「…少し、弱らせてたほうがいいだろ。」
「ナイス、卯月。」
「もう一発くらい当ててください。……そのほうが確率が上がりますので。」
「……。」
ポタポタと顔から血を流しながら気付いた。
ああくそっ!
なるほどな。
俺の友達は。
俺の知り合いは。
全員、百夜の信者か!




