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百夜対川

《天野川》


「82.83.84.85……」


百夜は隠れるために消え、俺は100を数えていた。


「94.95.96.97……」


学校内限定のかくれんぼが始まった。


「…100と。……くくっ!!」


……百夜は馬鹿だ!この学校内で俺が知らない場所とかないのに!いったい俺がどれだけ隠れ、逃げてきたと思ってんだ。


「さーて、何処から探しますかね。」


「おい、天野!」


不意に呼ばれて振り返ると、


「あ、先生。こんちは。」


数学の教師が立っていた。


「二週間も学校を休んで体は大丈夫なのか?」


「一応、体の傷は治りました。」


どっちかっていうと勉強の方が心配だ。


「そうか、……しかし、今日は日曜日だぞ?学校に用事が?」


「はい、部活でちょっと。」


「……無理だけはするなよ。……そうだ、お前にこれを渡しておく。」


「ん?なんですか?」


先生は上着から何かを取り出す。


「これだ。」


グサッ!


「え?」


俺は一歩二歩後ろに後ずさり視線を下に向ける、そこには腹にナイフが刺さっていた。顔を上げ先生を見るとニヤニヤといやらしい笑みを浮かべていた。


「……先生。」


「油断しすぎやで?ゆうたやん、襲うって。」


先生の顔で百夜の声がする。


「おまっ!百夜か!」


「驚いた?もしかして初めてやったっけ、自分の変装術見るん。」


ビリビリと顔に付けていた先生の顔のマスクを剥がす。


「二週間あったんでここの生徒教師、川との交友関係まで全部調べ済みや。姿、性別、声、関係なく何にでも化けられるで。」


「マジかよ。」


……やばい、じゃあここは俺にとって完璧なアウェーじゃないか。


「最初のナイフは軽い挨拶のつもりやったんやけど、……ちゃんと準備しとるみたいやな。」


「……。」


ナイフで刺されたが血は出ていない。服の下に防弾チョッキを着ているから。


「んじゃ、ここからがかくれんぼの本番や、……次は間違いなく殺すで。」


「……。」


そう言って百夜はまた俺の前から消えていった。


「やばい。」


百夜は隠れるといっても物陰に隠れるわけじゃない。姿を隠しているだけで堂々と俺の前にやってこれる。……対して俺は百夜を見つけるために歩き周らないといけない。百夜が誰に変装してるかわからないから……この学校にいる全員を疑わないといけない。


「……かくれんぼなんて、こっちが有利かと勘違いをしていたが。」


相手は隠れた状態で、こっちはばれた状態で、お互いが堂々と歩き周られる状況、勝利条件が(学校にいる人間の中から)見つけると(俺の隙をついて)殺す。


「こっちが不利じゃないか!!……対策を練らないと。」


……なるべく人気の少ないところに、……自分から殺されやすい所にいくのは百夜の狙い通りになってしまう。取り敢えずこっちも隠れるか。……意味がない。

クソ、姫星か月宮がいれば、


「……。」


……まずいな。



「お、天野じゃん、久しぶり。」


「げっ!」


まだ何も考えてないのに誰か来やがった。俺は後ろを振り返る。……そこにいたのは知り合いだった。……いや、本物か?……とりあえず試すか。


「なんだよ、げっ!って。」


「わるいわるい!ちょっと休みボケしてて」


「ったく。」


「ごめんな、車。」


「休みボケで名前すら忘れたのか⁉︎俺の名前から文字、極端に減らしてんじゃねえ!」


「何だっけ?確か、ぶぉん!ぶぉん!言ってそうな名前だったような。」


「俺の名前を排気音みたいに覚えてんの⁉︎俺の名前、珍しさのあまり忘れられた事ないんだけど!」


「……冗談だよ、六車。」


「確かに数は合ってる!でも違え!轟!轟轟だ!」


「うん、知ってた。」


……このツッコミ。


「……どうやら本物みたいだな、……轟。」


俺は轟の肩を叩く。


「……久しぶりに会ってなんだが殺すぞ!」


俺は轟に胸ぐらを掴まれる。


「あれ、偽物⁉︎」


「何の話だ⁉︎」















《天野川&轟轟》


「……痛ぇ。殴らなくてもいいじゃないか。」


「いや、無理だった。」


「ちゃんと説明しただろ?」


「死に別れたはずの兄が誰かに変装してお前の命を狙っているって?……誰が信じるんだそんなアホな話。」


「本当に本当なんだよ。」


「じゃあ警察に行け。」


「困った事に信じてくれないんだ。」


「当たり前だろ。……はぁ、で、お前はこれからどうするんだ。」


「……とりあえず近づいてきた人間を手当たり次第に挑発しようかと。」


「殴られるぞ。」


「うん、知ってる。…でも方法がなくてな。」


「……しょうがねぇな。俺も手伝ってやるよ。」


「いいのか?」


「ああ、面白そうだし、」


「頼むぜ。」


俺と轟は拳でタッチする。






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