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自堕落勇者アリシア〜最強女勇者、転生先でニートになる〜  作者: ゆりちりん
プロローグ

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1/7

1. 女勇者死す

「アリシア、作戦を確認するぞ。まず俺が結界を張って、その隙に聖女が――」


「よくわからんが、斬ればいいんだな!」


軍師ガルドが言い終わる前に、私はもう走り出していた。


魔王城の最上階。

玉座の間の扉を蹴り破ると、闇色の外套をまとった魔王がゆっくりと立ち上がる。


「よくぞ来た、勇者よ。だが貴様の旅もここで終わ――」


「ふんっ!」


一閃。


魔王は真っ二つになった。

台詞の途中だった。


追いついてきた仲間たちが、扉の前で固まっている。

ガルドは三日徹夜して書いた作戦書を握りしめたまま、静かに膝から崩れ落ちた。


私は剣を鞘に収めて振り返った。


「よし、終わった。帰ろう」


「え、終わり?」


聖女の声が、広い玉座の間にむなしく響いた。


こうして、千年続いた魔王の支配は、たった三秒で幕を閉じた。



◇ ◇ ◇



そして一週間後。


王都では盛大な凱旋パレードが開かれていた。

花びらが舞い、ラッパが鳴り響き、民衆の歓声が空を揺らす。


「勇者さまー!」

「アリシアさまー!」


「えへへ、照れるなあ」


手を振りながら進んだ先、中央広場に布をかけられた巨大な何かがそびえていた。

高さは城壁ほどもある。


「勇者アリシア様の功績を称え、王国は黄金の像を建立いたしました!」


布が取り払われると、剣を掲げた私の巨大な像が現れた。

ちょっと胸が盛られている。


「すごーい! もっと近くで見たい!」


私は像によじ登った。

勇者なので登れた。


「お、おやめくださいアリシア様! まだ土台が乾いておりません!」


「てっぺんで勝利のポーズ! えいっ!」


みしり、と嫌な音がした。


黄金の私がゆっくりと傾いていく。

ちょうど私が飛び降りた先に向かって。


「あ」


魔王の一撃すら弾き返した最強の勇者、アリシア・ブレイヴハート。


享年十八歳。

死因、自分の銅像(正確には金メッキ)の下敷き。


薄れゆく意識の中で、最後に聞こえたのはガルドの声だった。


「……これ、歴史書に何て書けばいいんだ」


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