1-1:狼さんのお顔に鉛玉がぶちこまれたとき、わたしはゾクゾクしてしまったのです。
第一話、雪の女王編(全29回)になります。よろしくお願いします。
狼さんがおばあさまを食べてしまったので、森で知りあった猟師さんと仇をうちにいくことにしました。
もちろん怒っていましたし、悲しくもありましたよ? わたしにとってはたったひとりの家族でしたし、なによりおばあさまのことが大好きでしたから。
だけどそういったこととはまったく関係なく――狼さんのお顔に鉛玉がぶちこまれたとき、わたしはゾクゾクしてしまったのです。
だってきれいだったから。
ぱあっとまっかなお花が咲いたみたいで。
◇
「そのときに狩りの喜びを知ったんだね、赤ずきんちゃん。だから今は冒険者をやってるわけだ」
「あんなに恐ろしかった狼さんが、たった一発でお肉になっちゃったんですもの。見ているだけでスカッとしましたし、自分でもやってみたいと思うでしょ?」
「可愛い顔して怖いこと言うなあ。でもそういうところがぼくは好きだよ」
「ありがと。……でも、ごめんなさいね」
「なんであやまるの? 狼さんをお肉にしちゃったから?」
「だってあなたのパパでしょ」
「えー、でも君のおばあさまを食べちゃったわけだし、だったら鉛玉をぶちこまれても文句いえないじゃん。ぼくは人間じゃないから、そんなことでいちいち怒ったりしないよ」
「ならよかったわ。わたしだってちょっとくらいは気にしていたの」
「変なの。気にするくらいならそのぶん、たっぷり可愛がってほしいな」
「あなたがそれを望むのなら。ただしパパみたいにかじりつこうとしなければ」
「するわけないじゃん。ぼくは賢いんだから」
「本当かしら。そんなふうには見えないのだけど」
「じゃあぼくがどれほど賢いか、今から証明してみせるよ。作戦どおり、あのドラゴンにかじりつけばいいんでしょ?」
「そしたらわたしが豪快にぶっ放すわ。……想像するだけでわくわくしません? うまくできたらなでなでしてあげる」
「おかえしにぼくも君もぺろぺろしてあげる」
「すこしくらいなら構わないけど、調子にのりすぎて鉛玉をぶちこまれないようにね」
「怖いなあ。でもそういうところが好き」
「どういたしまして。ところでお利口さん、準備はできた?」
「いつでもおっけーだよ。ドラゴンのお肉っておいしいのかな」
「それは倒してからのお楽しみ。ではでは、わくわくする狩りをはじめましょ」




