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1.2
早苗は、天井を見上げていた。
白い天井。染み一つない天井と同様に、部屋は白く染められていた。
早苗が動けなかった理由は、ついに最後まで分からなかった。
病院に搬送された後、検査が行われた。しかし結果は芳しくはない。
ただ『動かない』と云う症状のみで、原因が分からない。心理的な物ではないか。頭の上で行われた議論を聞いたが、早苗にはサッパリだった。
理由について触れられることはなく、早苗に言い渡されたのは、絶対安静と云う四文字だ。
今も病院のベッドの上、寝かされていた。
「ねえ、いつになったら退院するのかしら?」
尋ねる声があった。
あの日、早苗の部屋に入た少女だ。
少女は病室の真っ白いカーテンを身体に巻き、退屈の程を示す。
まるで当然と云うようにそこにいる。が、少女と早苗は知り合いではない。
病院へ運ばれたのは、少女が電話したためだ。命の恩人とも言うべき相手に出て行けとは言えない。そう思い、早苗は部屋に居ることを許していた。
少女は誰か。
早苗には分からないことだ。




