65 部分召喚
「フラン、セリル2人だけなのか?」
「うん……みんないなくなっちゃって、その後モンスターが襲ってきたんだけど、なんとか倒せて、ヤマトおにぃちゃんに呼ばれてる気がしてこっち来たんだよ」
俺の命令が届いてたんだ。
「王様、生きてたんだ」
「胸に魔導石みたいなのが埋まってるよ、この人変だよ」
魔道士の2人は王が魔導晶の力で生き延びていることを直感で感じたみたいだ。
「本当に来た……信じてみるものなんだな、分かってたのか?」
王はフラン達がなんでら来れたのか理解できなかったようだ、って言っても俺だって完全に分かるわけじゃないけど……
「俺がこの2人のことを信じていたように、フランとセリルも俺を信じて探しに来てくれた、だからこうして会えたんだよ」
「ククク……まるで甘い恋愛話のようだな、それぞれが固い絆で結ばれているとでも言いたいのか」
「そうだ、人が信じられないお前には分からないだろうな」
「なに……」
「個人の力じゃない、俺達は支え合って生きてるんだ、みんなで力を合わせれば乗り越えられるんだ」
王の身体から魔法陣のような模様があざのように浮かび上がった。
「じゃあ俺を超えてみろ、そのくだらない仲間との力ってやつでな」
王の身体のあちこちが奇妙に伸縮を繰り返している。
なんの予兆かわからないが俺達を戦う意思があるのは間違いなさそうだ。
「フラン、セリル思い切りだ、あいつを倒そう」
「「うん!」」
キレのある返事を2人がそろって俺にかえした。
2人ともほぼ同じタイミングで魔法陣を浮き上がらせる。
「ライトニング! あいつを倒しちゃって!」
「こっちだって、フレア! やっちゃえ!」
フランとセリルが王に向けて魔法を放った。
「無駄だ!」
王の身体の先からモンスターの大きい腕のみが現れ、ライトニングの魔法を吸収した。
「何あれ?」
「モンスターの身体の一部だけ召喚した?」
セリルの唱えたフレアの魔法で、火の玉に似た魔力の塊かま王の周りに漂っていた。
ライトニングを吸収したモンスターの手は周囲に漂う魔力の塊も腕を振り回すことで吸収していった。
「私の魔法も消されちゃった……」
魔法は効かない……
フランとセリルには相性が悪すぎる……
「最も効率の良い戦い方だ、使用する部分以外は召喚することさえしない」
やり方に文句をつけてられる状況じゃない……
召喚された腕はセリルに向かい突きうと向かってきた。
まずい、とっさにセリルのフォローに入った。
腕が俺に刺さり、吹き飛ばされた。
壁にぶつかり、壁に倒れこんだ。
セリルはなんとか守れたみたいだ。
「大丈夫?」
腹に穴が空いてる……
吹き飛ばされてなければ、上半身がちぎれるくらいの威力があったかもしれない……
近寄ってきたフランがとっさにヒーリングの魔法をかけてくれた。
なんとかセリルを守れたけどそう何発も食らってられないぞ……
「この腕だけじゃ攻撃力はイマイチか……」
魔法をかき消した腕の横から別のモンスターの腕が召喚された。
次の腕はマグマのように腕自体が蒸気をあげ、滴った液体で地面が溶けている。
毒の腕か……あれは触れれだけでまずい。
「ロジカ! 屈め!」
屈め? 聞き覚えのある声に俺はとっさに身を屈めた。
屈んだ俺の頭をかすめるように王に向けて何かが飛んで行った。
その直後王を中心に爆発が起こる。
「よし! 当たった!」
声の主はパルマだ、横でゴクーが法術を使ったようだ。




