57 拠点が狙われている
王の表情が一瞬真顔に変わったがすぐににこやかな顔に戻る。
「いや……すまない、何でも聴いてくれと言ったのはこちら側だったな」
今の反応でモヤモヤしていた部分が確信に変わった。
この男がこれまで俺を狙ってきたモンスターを召喚してきた奴で間違いない……
「ただ一つ聞かせてくれ、その質問をする意図は何だ?」
王はニヤリと笑いながら俺に問いかけてきた。
「これまで、理由が分からずにモンスターに俺や仲間が襲われることがありました」
王はバレても構わないと思っている……
こちらもそれに飲まれてたら王のペースで流されてしまう。
「そのモンスターも誰かに命令されたと言うことを言っていました」
「ここでその話をすると、まるで俺が差し向けたように聞こえるな……」
あくまで核心についてはシラを切るか。
「城を襲ったヤマトに話を聞いたんです……」
「フフフ……」
王は腕と足を組んで椅子にもたれかかった。
「城の者が襲われて俺も最後攻められそうになったんだぞ、あのモンスターと知り合いってことは君がむしろ危険なんじゃないか?」
ヤヨイが立ち上がった。
「ヤマトは呼び出されたんだ、サモナーのお前に」
「ヤヨイ姫、いくらあなたにでも根拠のない推測で疑われ、妙な断定を押し付けられては困るな」
「ヤマトとは同じ国の出身だ、見た目はモンスターになってしまったが、今も心は昔のままだ」
「ほう、知り合いだったか……」
「何を聞いてもお前ははぐらかそうとしているだけだ、答える気なんてないだろ」
確かに、俺らを呼んだ理由すらちゃんと言おうとしないで話を反らせてばかりだ……
「ヤマトは確かに見た目はモンスターになってしまったが、心は人間だ、だがお前は見た目は人間でも心が邪悪なモンスターだ!」
王は黙り込み俺達の顔を眺めている。
「随分な言われようだ……平民の声を直接聞く機会はそこまで多くないが、こんなに嫌われているとはな……」
《おい、ロジカ!》
メッセージ?
いや、頭の中からゴクーの声がする。
ここで、声を出す訳にはいかない、返事ができない……
《王が拠点に来ているぞ!? お前達王と話をしているんじゃないのか?》
「えっ!?」
バカな……じゃあ俺の目の前にいるのは……?
パルマとゴクー、テイムしたモンスター達は拠点に待機してて貰っている。
「どうした、ロジカ?」
「拠点に王が来ている……」
「えっ? でも王はここに……」
王は不敵に微笑んでいる。
「ククク……何を言っている、俺はここにいるじゃないか……」
何がなんだかわからない……
「とにかく、拠点に戻ろう!」
「でもこの身体じゃ魔法使えないよ……」
「狙いは拠点だったのかもしれない、少しでも早く帰るんだ!」
この部屋を出てこうと部屋の扉を開こうとしたが、開かない。
鍵か、それとも何か特別な力で開けられなくされたか……?
「なんだ……魔法が使えないのか。 まさか分身でも送り込んで来たんじゃないだろうな……」
なんだ、この知ってるような口ぶりは……
「この人やっぱり、あやしいよね……」
「「王のニセモノ?」」
「わ、私どうしたら……」
俺達はここに閉じ込められたってことか……
この分身の身体じゃこじ開けることもできない。
もし開けられたとしても、外もモンスターだらけかもしれないんだよな……
まてよ、この身体でやられると魂は元に戻るってゴクーが言ってたな。
そうだ、倒されればいいんだ!
「みんな、こいつと戦うんだ!」
こいつにやられさえすれば、拠点に魂が戻る……
「辞めとけ……俺は君達と戦う気なんて無い」
《おい! ロジカどうなってる!? モンスターが攻めて来てるぞ! このままじゃお前達の本達がやられる!》
王が召喚してる?
まずい、本当に早く帰らないと……
「ここから出してくれ!」
ニセモノの王はずっと腕と足を組んだ姿勢のまま、焦っている俺を見て笑っている。
「何をそんなに慌てているんだ? 話は始まったばかりだろ、それに魔法が使えないだの扉が開かないだのと、さすがに失礼ではないか……?」
こいつ、時間を稼いでるのか……
「もう芝居はやめろ、お前は王のニセモノだ、ここから出せ!」
「ニセモノ? 何を言っている、私は王だ」
ノリスやフラン達も扉をこじ開けようとするがビクともしない。
「なんなのこの扉、全然開かない……」
「私達の力が出ないせいなのかな……」
どうすればいいんだ、このまま閉じ込められたままだと、拠点が……
「座って話を再開しよう、今日はそのために君達を呼んだんだ」
もう、このこいつの話を聞いててもムダだ、ここから何とかして外にでよう……
「お前は誰だ?」
こんな時にヤヨイがニセモノの王に話しかけだした……
いつもタイミングがおかしいんだよ……
「変な事を聞くな、私は……」
「王じゃ無いのはもう分かった、それでお前は誰なんだ?」
ヤヨイが来ているぞ袴の裾から小刀を取り出した。
「ヤヨイ、何でそんなものを?」
武器を隠し持ってたのか、戦闘力は無くてもそれがあれば……
「貴様……何をする気だ!?」
「質問をしてるのはこちらだ、お前は何者だ?」
王の身体から煙が上がり、モンスターの姿に変わった……
「もういいだろ、お前達を閉じ込めて、殺さずに時間を稼ぐように言われていたが、痛めつけるなとは言われていない……」
「やっぱりモンスターだ!」
ヤヨイがモンスターに飛び込んでいった。
一瞬でヤヨイがモンスターを切り刻む。
言葉も発す事なく、モンスターはバラバラになった。
あれ、ヤヨイが普通にモンスターを倒したぞ……
分身には戦闘能力はないんじゃ……まさか……
「ゴクーに頼んで分身にしなくて正解だったな」
「やっぱり……ヤヨイ、本体のまま来てたのか……」
ヤヨイは間を空ける事なく俺達全員を斬りつけた。
「これで本体に戻れる」




