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56 城へ行きました

気持ちが浮ついたまま2日が経ってしまった。


ゴクーの作戦通り分身に魂を移して王の間に行くことにした。


ヤヨイは最後までその作戦に駄々をこねていたみたいだけど、結局素直に応じたらしい。



城まではフランが本体の状態でテレポートの魔法陣を出して置いて分身に魂を移すことで、ワープすることができた。


分身では魔法は使えないから、何もなく終われば帰りは歩いて帰らないといけない……

それでも無事に終わるならそれが一番だ。



結局、城まではテイムした仲間全員で行くことになった。


城の本棟にある、幾重にも守衛が配備された場所までナイナに案内してもらった。


「大分復旧したな」


ヤマトに破壊されたであろうところが見当たらない、ほんの数日でここまで直せるのか……城にいる人数の多さと有能な魔導師がいるんだろうな。


「壊されてたのも最低限だったというのもあるんですけど、大人数で一気に直したので……」


これだけの人間がいる国か……

もし戦う事になればやっぱり大変なことだよな。




ぼんやりと見覚えがある道を歩いていく、初めて王にあった時もこんな所を通ったような。




「恐れ入ります、王からのお呼びでここまで参りました」


ナイナが守衛に招待状を見せた。


「入れ……」


守衛は特に確認をすることもなく、俺達を先に進ませた。


俺達が分身だってことはバレてるようには見えなかった。



「この先が王の間です」


ナイナの声が震えている……声から緊張が伝わってくる。


「ノリス、さっきの守衛達はモンスターだったかわかるか?」


小声でノリスに話しかけた。


「ダメ……分身だとサーチウィンドウも表示されないみたい」


この状態だとテイマーの能力も使えないのか……



「こちらです」


大きな扉の前でナイナが止まった。


この先に王がいる。



俺達が立ち止まると扉が開いた。



その先には招待状を持ってきた大臣が立っていた。




王は見当たらない。



大臣は俺達の事を1人ずつ眺める。


「全員で来たようだな……」


そう言うと大臣は移動を始めた。


「王は会談の間にいらっしゃる」


大臣は王の間に併設された、会談の間に俺達を案内した。



「よく来たな、待っていたぞ」


にこやかな笑顔で王は俺達を迎え入れる。


この男が世界を滅ぼそうとしている元凶。


見た目は今までと何ら変わらないけど、知ってしまったせいか、不気味に感じる。



王は長方形の大きなテーブルの端に座っていた。


俺達は大臣に案内され、王と対面の席に座った。



「この者達とだけで話がしたい、席を外してくれ」


王が大臣に向けて話しかけると、大臣は礼をして部屋を出て行った。



閉め切られた、テーブルだけのある部屋で王と話をすることになった。


飾り気も何もない部屋で王と話をする事になった。


王は見た感じ無防備だ。


単純に話をするだけの様に見えなくもない。


俺の考えすぎだったらいいんだけど。



「さて、改めてよく来てくれた、先ほどの大臣からも聞いたぞ、与えた土地を有効に利用してくれているようだな」


にこやかな表情で王は話し始めた。


王にも分身だとバレてるような様子はないか……


「はい、お陰でいい生活ができています」


「この前の練劇会にも参加していたようだな驚いたぞ、しかも決勝にまで残るとはな、大会自体は残念な事になってしまったが……」


自らその話題に触れるのか……


「そうですね、でもこの城にはもうモンスターに襲われた跡は見当たらない、すごい復興の早さです」


「フフフ……そんな事はない、城の見た目は直ってもそこに住む者の心の傷はそうすぐには癒えないだろう」


「実際、騎士団は始動できていません……」


ナイナが声を詰まらせて話す。

たしかにここまで通ってきた中に騎士団はいなかった。


決勝でヤヨイと戦う予定だったディスティーも騎士団だった。

ヤマトと戦って、怪我は癒えても騎士団自体は立ち向かえなかった事で存続や個人個人の精神的な負担が溜まってるのかもしれないな……


「そうだな……彼らのお陰で私は無事だった、傷も癒えているのだからそこまで気負う必要は何のだがな……」


王の正体を知ってしまったせいか……

普通に聴いていれば心配をしている良い王なんだろうけど、全てが軽く聞こえる……





「そんなことはどうでもいい、私達を呼んだ理由はなんだ」


ヤヨイがいきなり切り込んでいった。



「フフ……私が与えた土地の状況をどう活用しているか聞くというのは理由にならんのかな?」


王は落ち着いた様子でヤヨイに返事した。


何も知らなければヤヨイの失礼な質問ということで終わる話だが、王の正体を知ってしまった今ではこの余裕が不気味に感じる……

バレている事を前提にして話しているように思えてくる。




「ひとつ質問してもいいですか?」


「ん……? なんでも聴いてくれ」


唾を飲み込んで、一息着いた。


「王のジョブを教えてもらえませんか?」


これだけ聴ければ、ハッキリする。


「それを聴いてどうする?」


空気が変わった……


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