41 街へ向けて出かけます
「お願いですから早く帰ってきてくださいね!」
引きつった顔をしながらナイナが俺達を見送る。
ナイナの隣にはスライムのシュシュラベル=ドリーレミィが寄り添っている。
準備が終わって、ヤヨイを探しに行くためにフランがキエルから受け取った地図の場所へ向かう。
「あぁ、早くヤヨイに会いたいよな」
「シュシュラベル=ドリーレミィ、ちゃんとノリスとお留守番してるんだよ、いい子にね!」
「シャァァァ!」
スライムは自信ありげに返事した。
ナイナはスライムが苦手だけど、スライムの方はナイナのことを気に入ってしまったみたいだ。
フランが魔法陣を浮き上がらせた。
「街までなら行けるよ! 魔方陣の中に入って」
「おぉ! フラン、移動魔法まで使えるようになったんだな」
「うん、キエルさんが色々やってくれたの」
これはかなり楽になった、これからは街にいく時、わざわざ歩いていく必要がなくなる。
「よし、じゃあ行こう!」
ヤヨイを迎えに……
「あっ、ちょっと待ってください!」
ナイナが行こうとする俺達を止めた、まさか、そこまでスライムと一緒にいたくないのか……
ナイナは部屋の奥から何かが詰まった布袋を持ってきた。
「これ、よかったら食べてみてください」
ナイナは俺に布袋を俺に渡してきまた。
食べる?
袋を開くと中には小さい粒が沢山入っていた。
「これは、果実……?」
濃い青色をした、一口サイズの粒だった。
「そうです、この実を食べると少しの間、体力と精神力が上がるはずです、食べすぎても効果あまりないですけど、よかったら、是非……」
「すごい……いつの間にこんな実を作れるようになったんだ?」
「私も、ただお城に残ったんじゃないんです。 少しでも外で頑張る皆さんの役に立ちたくて……」
そうだよな、ナイナはいつも留守番してもらってることが多いけど、こうやって一緒に戦って来れてるんだ。
「おいしそ〜、今食べてみてもいい?」
「一個だけならいいでしょ?」
「後でな、大切なものなんだ必要な時にちゃんと食べような」
「「はーい」」
フランとセリルは我慢しているが、ずっと袋を見つめてる、気を抜いたらこっそり食べられてしまいそうだ……
ナイナから貴重なアイテムを貰って改めて俺らは魔法陣の中に集まった。
「すごい、魔法で移動ができるなんて……」
「ノリスも初めてなんだ、ちょっとドキドキするよな」
「うん、怖いような、楽しみなような不思議な感じ」
そんなことを言ってるうちに目の前が歪み出した。
これがワープ……?
「いくよ! テレポート!」
フランの声と共に一気に歪んでいた景色の色が変わった。
空気も今までと違う……
歪んでいた目の前の景色が徐々に整ってきた。
「街だ……」
さっきまで拠点にいたに俺の前には集会所がある。
街に着いたんだ。
本当に一瞬で移動してしまった。
「すごいね魔法って、これは便利だわ」
「な、俺も契約できないかな」
「どこか行きたい時は言ってくれればどこでも連れてくよ! ただ私が一度行ったことある場所にしか行けないけどね」
「フランいいなぁ、私もテレポート覚えたかったなぁ」
「セリルにだって凄い攻撃魔法があるだろ、あれだって凄いぞ」
フォローしたつもりだったけど、セリルがふくれてる。
フランとセリルは魔法がしっかり使えるようになって、しかもそれぞれ使える魔法が違うから、嫉妬が出てきてるのかな。
ある意味成長した証拠なんだろうな。
「森の奥にヤマトってのがいるかもしれないんだっけ?」
ノリスが街から見える森を眺めていた。
この森は昼間でも日が入らないし、不気味だから小さい頃からあまり奥までなんかいったことがない……
こんな場所だからモンスターもいるかもしれないし。
街と隣接した森だけど、近寄ったことはほとんどなかった。
「改めて奥に行くってなると不気味な場所に感じるな……」
「ガ、ガウゥ……」
ノリスのチキンベアが怖がっている……
本能的にこの森を怖いと思ってるのか……?
「シュトロイドホリーク=バロン、大丈夫だよ私が着いてるからね」
「ガウ!」
安心したのか力強くチキンベアが返事した。
「ガウちゃん、一緒にがんばろうね!」
セリルもチキンベアを応援してる、ってセリル、チキンベアの名前……確かにそっちの方がしっくりくるけど……
「ガウゥ!」
なんかうれしそうだ、ガウちゃんって名前の方が気に入ってるんじゃ……
「セリル、この子にはね、シュトロイドホリーク=バロンって言う立派な名前が着いてるんだからちゃんと呼んであげてね」
「ガゥゥ……」
「はぁぁい……」
……今、セリルより先にチキンベアの方が落ち込んでなかったか……?




