治療できないロリのミルクママ?
一・
一陣の熱風が顔をかすめ、僕ははっと目を開け、体を起こして立ち上がった。
「どうしてまた戻ってるんだ?」僕は恐ろしくなって周りを見回した。ここは僕が来たときのあの洞窟だ。でも、最初に来たときと比べて、今は壁が不気味な血紅色になっている。
もともと本が置いてあった台の上には、燃えている紫色の炎が一団。かなり離れているのに、温度が低くないのは感じられる。
自分の体を触ってみると、銃が手元にないことに気づいた。僕は周りを歩きながらここを観察した。壁の石はやはり普通の色だが、何かに照らされて赤く見えているだけのようだ。
突然、焦げ臭いにおいがした。顔を向けると、周囲の壁が一瞬で燃え上がり、もうもうたる煙が僕を包んだ。
何か言おうとしたが、煙が鼻と口から肺に入り込み、肺が何かに蒸し焼きにされている感覚に襲われた。全身が痛い。
煙を吸いすぎたのか、頭がくらっとし、僕は地面に倒れた。両手で必死に体を支え、何度も立ち上がろうとしたが、例外なく失敗した。煙はますます濃くなり、炎が僕を飲み込んだ。
「あああ!!!」僕ははっとベッドから飛び起きた。ルベルは慌てて後ろに下がり、少し驚いた顔で僕を見ている。僕の勢いに驚いたのかもしれない。
「あなた?頭おかしいんじゃない?」ルベルは僕に向かって言い、左手を前に構えて、まるで精神病人を見るような目で僕を見た。「気持ち悪……」
「いや、違う、どうしてここに?」僕はようやく問題に気づいた。どうして女の子が男の部屋にいるんだ。
「バカなの?報酬を届けに来たのよ……」言い終わらないうちに、ルベルはポケットから数枚の金貨を取り出し、僕に投げつけた。「ほら、これがあなたの報酬。大スライムの賞金の大部分をあげるわ。」
「ありがとう。」礼を言った後、僕はその硬貨をじっくり観察した。なかなか精巧に作られていて、五芒星が刻まれている。
「なんでそんなに虚弱なのよ?」
「は?」僕は信じられない気持ちで彼女を見た。僕が虚弱?どうしてそれがわかった?まさか?そこまで考えて、僕はそれ以上考えるのをやめた。考えるほど奇妙に思えてきた。
「あなた、三発撃っただけで倒れたじゃない……」ルベルは首を振り、仕方なさそうに肩をすくめた。「あたしが連れて帰ってきたのよ。」
「え??」女の子に背負われて帰ってきたなんて、どう考えても恥ずかしすぎる。僕は彼女を見て、驚きのあまり言葉が出なかった。「背負われたって……」
「誰が背負ったって……」ルベルは面白がるように僕に言った。「あたしが150クラド払って馬車に乗ったのよ。」
「本当に申し訳ない……」僕は少し罪悪感を覚えた。知り合ったばかりなのに、他人にお金を出させてしまった。昨日騙したことについては?それは生存のためだ。
「ああ、もういいわよ、あたしが使ったのはあなたのお金よ……」
「あああ?」彼女が使ったのは僕のお金?没想到这家伙这么聪明。僕はさらに申し訳なく思っていたのに、本当に自分の良心を疑うべきだな。
でもよく考えれば、昨日ルベルから200クラドも巻き上げた。そう考えれば、問題ない。
「ところで、僕はどのくらい気を失ってたの?」僕は少し興味を持って聞いた。三発で倒れるのはわかっている。どのくらい気を失うのか聞いてみよう。
そう言うと、ルベルは手を伸ばして指を折り始めた。
「1、2、3……あなた36時間も気を失ってたのよ!」ルベルは少し茶化すように言った。倒れることはわかっていたが、こんなに長いとは知らなかった。
ルベルと少し雑談した後、彼女は階下へ降りていった。そして後で大厅に来るように言った。
下半身がひんやりする。
「あああ!」布団をめくってみると、どうして僕は裸なんだ?ルベルを思い出し、僕は少し羞恥を感じた。
僕は起き上がり、入口の箱から服を取り出して着替えた。うん、制服はなかなかきれいだが、お金ができたらやはり服を買い替えないと。この配色の制服はやはりダサい。
机の上の銃を背負い、ドアを押して外に出た。廊下は少し薄暗く、燃えている魔灯が数個と、窓の外の太陽だけだ。床には赤い絨毯が敷かれていて、見た目は悪くない。
僕は冒険者大厅にやって来た。今日の大厅はやけに静かで、まばらに数人しかいない。僕が敬服するのは、ファニーがまさに労働模範としか言いようがない。どうしてまだあそこに立っているんだ?
人が少ないので、僕はすぐにルベルを見つけた。彼女はソファに座ってビスケットをかじっている。
「お、降りてきたわね?」ルベルはビスケットをかじりながら言い、目の前のビスケットを僕に押しやった。ちょうど朝食を食べていなかった僕は、一切れ手に取って口に入れた。
「まず……まずい……これ地獄の味か?」口の中のビスケットはざらざらしていて、木くずを噛んでいるようだ。味はほんのり苦く、ところどころ焦げている。
「冒険者協会が提供する食事がおいしいわけないでしょ?」ルベルはまたお茶を一口飲んだ。「でもここのお茶はなかなかおいしいわよ。」
「これが何でできてるか知ってる……」そのピンク色の液体を見て、それがカルディル茶だと確認した。そのレシピを思い出すと、少し気持ち悪くなる。
「スライムの粘液よ、普通の食材じゃない?」ルベルは不思議そうに僕を見て、またお茶を一口飲んだ。ここの人たちの味覚は本当に変わってると思う。
「あれって、僕の服を着替えさせたの?」言いにくいことだが、勇気を出して聞いてみた。
「あなた?」ルベルはまるで天大笑話を聞いたかのように、腹を抱えて笑い出した。「この虚弱野郎、あたしが何であんたなんか見るのよ?ディカスが着替えさせたのよ。」
ディカスと聞いて、僕は一昨日のあの筋肉男を思い出した。思わず尻が痛くなる。
そういえば、彼女が他の人と話しているのを見たことがない。
「君ってそんなに強いのに、どうして仲間がいないの?」僕は本当に不思議だった。理論上、近接戦がそんなに強い魔法使いなら、引く手あまたのはずだ。でも彼女に仲間がいるのを見たことがない。
「えっと……これは話せば長くなるわね……」ルベルは気まずそうに頭をかき、ポケットから小さなノートを取り出した。僕は受け取ってみたが、読めない。読めないけど、正直に言うわけにもいかないので、真剣に読んでいるふりをした。
「私は高等魔法学院を卒業したの。でもね……」ルベルは何か悲しいことを思い出したように、鬱々と下を向いた。「みんな、私が強すぎるから一緒に組まないって……」
僕は茫然と彼女を見た。僕は漫画や小説をたくさん読んできたが、強すぎるから仲間ができないなんて初めて聞いた。ここの人たちは一体どういう思考回路なんだ?
「それを聞くってことは、私と組むつもり?」ルベルは顔を上げ、興奮した様子で僕を見た。僕は元々そのつもりはなかったが、言われてみればその通りだ。よく考えてみると、僕は長いクールダウンを持つ射手だ。射程は遠く、威力も大きいが、なんというか、一人で戦って生きて帰れる保証はない。組むのも悪くない。
「いいよいいよ。」まさに機会を逃すべからず、時は再び来たらず。こんな良い機会、逃す手はない。
ルベルは僕がそう言うのを聞いて、何も言わなかった。おそらく黙認したのだろう。
「そういえば、今日はどうして人がこんなに少ないの?」
「うん?どうしてそれを聞くの?」
「ただ少し気になっただけ……」
「今日は遠征日みたいなものよ……」ルベルは顔を上げ、左手で顎を撫でながら考えた。「若い冒険者はだいたい行っちゃったんじゃない?」
「どうして参加するの?」僕には理解できなかった。特別な報酬がなければ、自分のことを放棄してまで行く価値はないはずだ。
「報酬はとてもいいのよ。私はただ行きたくないだけ。」ルベルは足を組み、眉を上げ、手を広げた。そしてまた机の上のティーカップを取り、一口飲んだ。
「君って本当に勤勉だね……」僕は黙ってルベルを見て、何と言っていいかわからなかった。「ところで、今日は他に依頼はある?」
「今日は依頼が少ないはずよ……」ルベルはあまり気にしていない様子だった。僕はむしろ、スライム粘液で作ったお茶がそんなに人を惹きつけるのか不思議だった。どうして彼女はずっと飲んでいるんだ?
「あそこが掲示板よ。自分で依頼を取ってきていいわ。」ルベルは受付の隣の板を指さした。そこにはたくさんの紙がびっしりと貼られていて、かなり年季が入っているようだ。
僕はアラビア数字しか読めないので、お金が多くもらえるものを選ぶしかなかった。最後に一枚を剥がし、ルベルに渡した。
ルベルはそれを見て気まずそうに笑い、信じられないといった顔で僕を見た。何か言いたそうだったが、結局飲み込んだ。
「どうしたの?何か問題でも?」
「いやいや……とてもいいわよ、とてもいい。」
「なんか嫌味に聞こえるんだけど……」僕は少し怒った。彼女の口調は明らかに皮肉のニュアンスが含まれている。
「煙中鬼……一体どうやってこんな依頼を取ってきたの?」ルベルは眉をひそめて、手の中の伝票を見た。
「どうしたの?難しいの?」
「難しいってほどじゃないけど、ちょっと気持ち悪いのよ……」ルベルはそう言って、眉をひそめた。「本当にこの依頼を受けるの?」
「もちろん。だって1000クラドもあるんだから。」僕はかなり自信満々に伝票を取り、うん、足早に受付のファニーに渡した。
ルベルは何も言わず、ただ眉をひそめてカップの中のお茶を飲み干した。
二・
「ああ!!!」ルベルが大声で悲鳴を上げた。一匹の煙中鬼が彼女の両手を地面に押さえつけている。煙中鬼の唾液が彼女の体に滴り落ち、糸を引いている。本当に気持ち悪い。
僕はそばの煙中鬼を蹴り飛ばし、彼女の上の煙中鬼に向かって引き金を引いた。その魔物は悲鳴を上げて、地面に倒れた。
ルベルは両手が自由になると、砂の魔法を放った。すぐに、僕たちはこれらの煙中鬼を掃除した。
僕は煙中鬼の死体を観察した。ゴブリンに似ているが、明らかにより狡猾だ。しかも皮膚が少し灰青色で、とにかく見た目が悪い。
ルベルはマントと両手を払い、急に地面にしゃがみ込んで動かなくなった。
「どうしたの?」僕は不思議に思って聞いた。依頼があっという間に終わったのだから、彼女は喜ぶべきではないか?
「私の新しい服……」ルベルは泣きそうな顔をした。「この忌々しい煙中鬼ども……」
どう慰めればいいかわからなかった。僕は女の子を慰めるのが得意ではない。
森の中の煙は彼女の話によると、煙中鬼が吐き出すもので、たくさん吸うと気を失い、さらにひどくなると中毒で死ぬこともあるらしい。
ルベルもなかなか可哀想だ。近接戦の強者なのに、煙中鬼の群れに近づかれて倒されるなんて。まるで僕が銃を使うのに、弓矢使いに負けるようなものだ。僕だったら嫌だな。でも彼女を責めることはできない。何しろこの煙は本当にひどすぎる。18年間放置された古い汲み取り便所のように。
この匂いを、顔に吹きかけられたら……うん、僕も耐えられないだろう。
「齐崇崇、ありがとう……」ルベルはまだ地面にしゃがんでいた。そんなに大声で泣いているわけではないが、美少女が涙を流すのはなかなか可哀想に見える。
「泣かないで、六四分で分けるからさ?」どう慰めていいかわからず、そう言うしかなかった。彼女はそれを聞くと、すぐに立ち上がった。
「ああ、私もそうしたくなかったんだけど、あなたがそう言ったんだからね……」ルベルは片手を腰に当て、もう片方の手を差し出した。「約束よ、私が六で、あなたが四」
「お金に目がないな……」僕は小声で呟いたが、どうやら聞かれてしまったようだ。ルベルは右手を左肩に当て、素早く振り抜いた。
「「Magic sand」!」
「ああ!!!ルベルさん、僕が悪かった!!!」僕は大声で叫び、身をかわして彼女の砂を避けた。
三・
僕たちは傷だらけになって町に戻った。ルベルはなかなか太っ腹で、なんと回復ポーションをごちそうしてくれるという。
自分の腕や太ももを見ると、煙中鬼に噛まれたり引っかかれたりした跡だらけだ。ルベルの顔も傷だらけだった。普段は少しツンデレだけど、人はいいのに、こんなに顔が傷ついてしまって、少しもったいない気がする。
「回復ポーションって傷跡も治せるの?」僕は彼女に聞いた。傷が残ったらかっこ悪いから、この問題は結構気にしている。
「もちろん治せるわよ。」
そう言われて、僕は安心した。
僕たちは町のポーション屋に来た。棚にはいろいろな色のポーションが並んでいる。たくさんの冒険者が選んでいる。
ルベルは入ってすぐに緑色のポーションを二本取った。ガラス瓶に入っているが、その形は化学の授業で見た試験管に似ている気がする。
「これ、飲めるの?」僕は少し好奇心と少し恐怖を感じて聞いた。本当に飲めるのか知りたい。飲んで中毒になったら嫌だ。
「飲めなかったら売り物にならないでしょ?」ルベルは知恵遅れの子供を見るような目で僕を見た。
「はい、お嬢さん、ポーション二本で合計10万クラドですよ。」
受付はTシャツを着たおじさんで、背が高く、筋肉質だ。白い小さな帽子をかぶって、僕たちに笑いかけている。
ルベルはポケットから数枚の金貨を取り出して渡した。おじさんはそれを見ると金貨を箱に放り込んだ。
店を出て、僕は蓋を開けて一口飲んだ。
「うえ〜」僕はえずいて、危うく吐き出しそうになった。味はまるで唾を温水に溶かしたようだ。本当に気持ち悪い。スライム粘液のお茶を100回飲む方がマシだ。あれはまだアイスティーの味がするから。
「二本で10万かよ……」僕は少しもったいなく思ってポーションを見た。どうりで冒険者の給料が高いのにインフレが起きないわけだ。医療費が高いからだな。
「どうしてここの医療費はこんなに高いの?」僕は不思議だった。魔法の異世界なのに、なぜこんなに高い薬があるんだ?
「治療魔法がそんなにたくさんあると思ってるの?」ルベルは一気にポーションを飲み干し、瓶を別の場所に投げ捨てた。「治療魔法が使える医師や薬師はたいてい教団に務めていて、人数も比較的少ないのよ。外では引く手あまたよ。」
「あ、パーティに治療がいないの?」僕は頭の中の最も基本的な勇者パーティの構成を思い描いた。一人の魔法使い、一人のヒーラー、一人の戦士、一人のタンク。
「教会に行って雇えばいいじゃない……それか、収入を薬代に使うしかないわね。」
「ここ、ちょっとぼったくりだね……」そう考えると、僕はあるアイデアを思いついた。「牧師を雇ってみるのはどう?」
「何考えてるのよ?」ルベルが僕に言った。「牧師は今みんな自分のパーティを持ってるから、雇えないわよ。」
ルベルは少し考えた。「正直、散り散りになっている人はいるはずよ。少なくとも全員が教団に集中しているわけじゃないでしょ?」
「じゃあ行こう。冒険者協会に張り紙を出しに行くんだ。」僕は立ち上がって出かけようとしたが、彼女に止められた。
「今日は大遠征の日よ!パーティはほとんど街を出てるんだから、どこで人を探すのよ?」
「取りこぼしはいるはずだよ、心配しないで。」そう言うと、ルベルも一理あると思ったのか、自ら僕を引っ張って冒険者協会へ向かった。
ドアを押し開けると、ルベルは紙とペンを探しに行った。僕は杖を持ったロリ体型の小さな女の子が掲示板の前で何かを見ているのに気づいた。
声をかけようとしたら、ファニーが口を開いた。
「あなた、エルフ?」
その一言だけ聞こえた。そして、何度か言葉を交わした後、その女の子は少し落ち込んだ様子でその場を離れた。
「うん、書けたわ。」ルベルは書き終えた募集名簿を僕に渡した。読めないけど、字はなかなか整っている。
僕は募集の張り紙を貼った。今日中に見つかるとは思っていない。何しろ今日は人がいないから。
ルベルは適当に座り、僕たちはそこで水を飲んでいた。もちろん、僕はあのスライム茶には手を出さず、白湯を飲んでいた。
突然、誰かに肩を押された気がした。振り返ると、さっき追い出された小さな女の子だった。おそらく僕たちの張り紙を見たのだろう。どう見ても牧師には見えない。
女の子の格好を見た。黒い小さな革靴に、黒いフード付きマントを羽織り、ミルク色の長い髪が黒いフードから数房はみ出している。瞳もミルク色だ。ロリだけどなかなか可愛い。美人の原石を感じる。
「僕たち牧師を募集してるんだけど、応募しに来たの?」
「はい、牧師に応募しに来ました。」女の子は自信ありげだが、少し内気なところもある。
本当に彼女の格好と牧師がどう関係しているのかわからない。技能が何なのかとても興味がある。
「じゃあ、スキルを説明してもらえる?」ルベルが僕より先に聞いた。
「私は黒僧侶です。必要な戦術的鎮痛を提供できます……」女の子は少し怖がりながら口を開いた。戦術的鎮痛は悪くなさそうだが、他にスキルがあるかはわからない。
「じゃあ、他にできることは?」
「うん、ないです。強いて言えば……」少女はそばの杖を指さした。「実は放電もできます……」
「彼女、どう思う?」ルベルが僕に聞いた。僕は別に構わない。何もいないよりはマシだ。
「なかなかいいと思うよ。」
「よし、パーティ加入おめでとう。」ルベルは少し冷たく彼女に言った。目はどこか上の空だ。
「じゃあ、まず名前を言ってくれる?」
「私、イルナって言います。12歳です……」
「いくつ??」その年齢を聞いて、僕は本当に落ち着かなくなった。12歳?いくらなんでも小さすぎるだろう。
「エルフ……」ルベルが小声で呟いた。彼女がイルナを見る目は少し変だ。
「や……やめてください……」イルナはルベルの視線に気づき、思わず後退した。「私、8歳でドノム城に来たんです……」
ここがドノムという場所だと初めて知った。ルベルは一度も言っていなかったし、僕が聞かなかったからかもしれない。
「まあまあ、彼女も別に君をどうこうしようとしたわけじゃないでしょ?」僕は二人の偏見や矛盾を和らげようとした。「とりあえずパーティ加入の話をしない?」
そう言うと、二人は座った。
「お金は公平に分けてほしいです……」イルナはうつむいて声が小さい。でもこの要求はそれほど过分ではないし、むしろ余計な気もする。
「もちろん公平にするわよ。労働に応じた分配ね……」ルベルは上の空でお茶を一口飲んだ。
「どうしてそんなこと聞くの?」
「前のパーティは私が役に立たないって、あまりお金をくれなかったんです……」イルナはうつむいて、声がとても小さい。
「エルフだからって、そんなのひどすぎるでしょ。あなたが力出さなかったからじゃないの?」ルベルはそれを聞くと、すぐにコップを置いてイルナに言った。
「だ……出しました……私がいなかったら、彼らはとっくに死んでました……」
「もういいわ、私たちのパーティに入りなさい。ちょうど牧師が足りないの。」ルベルのやつは口ではきつく言うけど、根は優しい。
イルナが同意した後、僕は再び煙中鬼討伐の依頼を受けた。牧師がいるなら、復讐しないと!
四・
「コホン!覚悟しろ!煙中鬼!」僕は少しかっこつけて森の端の小高い丘に立った。下の平地には煙中鬼の群れが僕をじっと見つめている。「イルナ、君のスキルを見せてみろ!」
そう言うと、イルナは少し躊躇した。しばらく考えた後、杖を掲げた。
「「サンダー・ライトニング」!」イルナがそう唱えると、杖の水晶玉が回転した。青い模様が分裂し、平地の煙中鬼に向かって青い電流を放った。
「あああ!!!」悲鳴が聞こえ、僕は慌てて振り返った。イルナは電流に包まれ、髪が逆立っている。そして地面に倒れてピクピクしている。
「大丈夫か?」僕は心配して言った。知り合ったばかりの仲間だ。今死なれたら困る。
「彼女の心配は要らないわ。エルフの回復力はとても強いから。」ルベルは腕を組み、冷たい口調で言った。どうやらルベルは彼女を少し見下しているようだ。
でも確かに、10秒も経たないうちにイルナは起き上がった。ただ体が震えている。
「本当に大丈夫か?」こんな様子じゃ、大丈夫には見えない。
「だ、大丈夫です……」イルナは少しどもって答えた。
そうは言っても、彼女は杖に寄りかかり、大きく息を切らしている。
「やるじゃない。」ルベルは少し驚いて口を開いた。ルベルの視線の先を見ると、元あった場所は真っ黒な炭になっていて、草さえも枯れていた。
「うん……近接戦もできます……」イルナは付け加えた。自分が役に立つと思ってほしいようだ。
「実は必要ないんじゃないかな……もう十分役に立ってるし、嘘をつく必要はないよ?」
「「フィンディッシュ・カース」!」イルナがその言葉を口にすると、体が少し暖かくなるのを感じた。じんわりと痺れて、なかなか心地いい。
僕が反応する前に、彼女の杖が僕の体に当たった。最初は何も感じなかった。少し痺れるなと思っていたら、突然力が入らなくなったことに気づいた。そして倒れた。
「ああああああ!!!」僕は地面で苦しそうに叫んだ。じんわりとした痺れが電撃のような痛みに変わった。しかも一度だけでなく、二回続けてだ。
「もういい、やりすぎよ!」ルベルは怒って歩み寄り、彼女の杖を奪った。結果は予想通り、ルベルも地面で苦しそうに叫んだ。
「これで私が近接戦できるって信じた?」イルナは少し誇らしげに腕を組んで僕たちを見た。
「この小さなロリ、どうしてこんなに意地悪なんだ?もっとおとなしい子かと思ってたのに……」僕は地面で苦しみながら、言葉を絞り出した。
「あれ?ごめんなさい、ごめんなさい、すぐに痛くなくなりますから……」イルナは僕たちにもう一度その呪文を唱えた。痛みはすぐに元の痺れに変わった。
「すごく強い……」僕は地面から起き上がり、心から納得して言った。「ところで、君の電流は広範囲攻撃なの?」
「そうですね、当たればですけど……」イルナは頭をかいた。
それ以上聞きにくかったので、僕は丘を下りて煙中鬼の遺品を拾いに行った。
「あああ?!!」どうしたことか、突然何かに撲倒された。首が少し冷たい。液体が首に滴っているようだ。振り返ると、丘の下は洞窟になっていて、中にはたくさんの煙中鬼がいた。
「ああ!!!助けて、助けて!」僕は地面でのたうち回って叫んだ。手を押さえつけられているので、背中から銃を取り出せない。
ルベルとイルナはそれを見て下へ駆け下りた。ルベルは一発僕の上の煙中鬼に当て、振り返って洞窟の中の魔物に放った。投げられた砂は密集して速く、煙中鬼に当たった部分は真っ二つに裂けるか肉塊になった。
「わお、すごい!」僕は立ち上がり、背中から銃を取って目の前の煙中鬼に狙いを定めた。「次は、僕の番だ!」
引き金を引く前に、突然矢が飛んできて僕の腕に当たった。銃が地面に落ち、そちらを見ると弓を持った煙中鬼がいた。
「うわ、こいつ道具まで使えるのか?」僕は目の前の煙中鬼を信じられない気持ちで見た。イルナのおかげか、撃たれた部分はあまり痛くなく、むしろ痺れる感じだ。
振り返ってルベルを見ると、彼女は地面に倒れていた。体に何本も矢が刺さっている。
「ううう……」ルベルは地面で泣いている。どうしていいかわからず、僕はもう片方の手で銃を拾った。
「「サンダー・ライトニング」!」
声は後ろから聞こえた。振り返ると、イルナが杖を掲げ、前方に電流を放っている。
向こうの魔物はその場に立って、もう一度放とうとしていたが、そのまま雷に打たれた。
僕たち二人はそれぞれの形で彼女を称賛した。
五・
依頼の結果を提出した後、報酬はだいたい1000クラドだった。ルベルはエルフに給料を払わないといけないと思ったのか、なんと自分でお金を受け取りに行った。イルナも主に力を出したので400クラドを受け取った。
「うん、それで……次は何をしよ……うか?」ルベルはどこからかアイスクリームを取り出し、口に入れて舐めている。
「わからないけど、もうそんなに早くないんじゃない?」僕は窓の外の空を指さした。時間は午後6時くらいだ。
「私、もう行かないと……」イルナは杖を取って出て行こうとした。僕は少し気になって引き止めた。
「イルナ、どうしてそんなに急いで帰るの?」
「えっと……」イルナは僕をじっと見て、何と言っていいかわからない。
「あなたバカなの?人間区のエルフは絶対に灰城に住んでるに決まってるじゃない……」ルベルは呆れて頭を抱えて首を振った。
「灰城って何?」僕はもちろん知らない。でも名前からして良い場所じゃなさそうだ。
「スラム街みたいなものよ。とにかく夜はとても治安が悪いの。イルナは早く帰った方がいいわ……」ルベルは気のない様子でアイスクリームを舐めた。
「早く帰りなさいよ……」12歳の女の子が一人でスラム街に住むのは、確かに少し危険だ。早く帰った方がいい。
イルナが去った後、僕はそばのルベルを見た。彼女のバニラアイスはまだ食べ終わっていない。
「鋼の胃腸かよ……もうすぐ冬なのに、まだアイス食べてる。」僕は心配して言った。ルベルは気にせず、壁にもたれてアイスを食べている。
「あたしがアイス食べるのに、あなたまで口出すの?」ルベルは呆れたように僕を見た。「お腹が痛くなったら痛くなったでいいじゃない。アイスは美味しいんだから。」
「僕も食べたい……」
「帰れ帰れ、食べたければ自分で買いなさいよ……」ルベルは僕を白い目で見て、あっという間にアイスを食べ終えた。
「ちょっと聞きたいことがあるんだけど……」僕はルベルに近づくよう合図した。ルベルは不思議そうに近づいてきた。「ここって、何か悪の組織とかあるの?」
異世界なら、漫画やアニメに出てくるように魔王みたいなのがいるはずだが、見たことがない。だから彼女に聞いてみることにした。
「悪の組織?何でそんなこと聞くの?」ルベルは不思議そうに聞いた。
「ただちょっと好奇心で。」僕は気まずそうに笑い、後頭部をかいた。
「はあ、そうね……」ルベルは考え込み始めた。「セルバ教団と魔王軍が最大の悪の組織よ……」ルベルは仕方なさそうに肩をすくめた。
そう言われて、僕はいくつか考えた。できればこの二つの組織には関わりたくない。僕はただ平穏に暮らしたいだけだ。
窓の外を見ると、もう遅い時間だ。ルベルに別れを告げて、自分の部屋へ戻った。
「はあ、どうして電気ムチロリなんてものがいるんだ?」僕は少し疑問に思いながらベッドに横になり、両手を頭の後ろに組んだ。「数えれば来て三日目か……」
「まあいいや、あまり考えないでおこう。」そう思って、僕は横になって寝た。




