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3/8

老人とガキを入れてパーティー完成‼

 「ケヴィンさん、なんで私なんかを助けたんですか?それもパーティーを組むだなんておかしくなっちゃったんですか?」

 ゆったりと酒場の席に腰を下ろした、五条悟りは項垂れながら言った。

 「そうだよ、お前らが紅桜に勝てるわけないだろ。UR最弱コンビ」


 勇者アルスは馬鹿にしつつも少し心配そうな声色を混ぜて言った。そんな彼女はかわいい天使が描かれたエプロンをつける男性のバーテンダーにビールの注文を入れる。心配してても酒は飲むらしい。後あのバーテンダーどこかで見たような、、、まあいいや。


 「君も紅桜も五条ちゃん自身も五条悟りの本当の使い方ゲフンゲフン本当の強さを知らないんだよ、、、」

 「意味深な奴だ。弱いくせに、、、」

 だから弱い弱い言うなっての、、、そんな俺の視線は無視してバーテンから受け取ったビールをごくごくと飲み始める。能天気だ。

 「これからどうするんですか?」

 「とりあえずパーティーを作ろう。もう誰にするかは大体決めてある。原作通りなら二人とも仲間にできる。」

 「原作?」

 二人は首をかしげるような表情をした。危ない危ない。

 「いやなんでもない」

 


 「パーティーを作ろうたって、お前ら二人ともURだからノーマル以下の奴しか入れらんねえじゃん」

 「うん知ってる」

 「ったくノーマル以下の雑魚の数合わせで何とかなる相手ではねえぞ、、、今からでもいいから五条じゃなくてまともな奴で組みなおせ。何なら同世代のよしみだ。あたしが、、、」

 原作でも剛胆な割に意外とアルスはケヴィンの事を気にかけてくれる。いわゆるオタクに優しい勇者という奴だ。知らんけど、、、


 「大丈夫だよ、アルス。絶対勝つ。」 

 その言葉を聞いたアルスがお酒のせいか少し顔が赤く見えた。

 「まあ、お前の負けた面を拝むのも悪くねえか、、、」

 「ああ、楽しみにしておいてよ。じゃあ」

 そういった俺は悟りの手を引っ張りバトルギルドの中から抜け出す。

 「ちょっとーまだ私戦うって言ってませんよー」

 悟りは震えた声で言った。


◇◇◇


 「まだ彼を誘うには時間があるな、、、」

 俺はギルドを出てすぐそこにある公園の黒い時計台を見上げて、そう独り言ちる。


 「まずはどうします?」

 「まずはここからすぐの場所にある大通りであるブルッケン通りに行こう。僕の記憶が正しければ目当ての人物はそこにいる。」

 原作では彼女はそこにいたはずだが、、、


 俺たちはゆったりと歩を進める。


 悟りもなにか言いたげな顔ではあるが付いてくるようだ。本当は断りたいがさっき俺が助けたことを引きずっているのだろう、お人よしだな。


 彼女は原作である儒教開戦でもかなりのお人よしで登校中おばあちゃんを助けていたら、そのおばあちゃんが実は黒幕でそのまま封印されたのにもかかわらず文句ひとつ言わず【これもまた儒教】とつぶやいたというイカレタお人よしエピソードを持っている。


◇◇◇


 俺達はブルッケン通りにたどり着く。


 「ああ、いたいた!彼女だよ」

 俺はゆったりとお目当ての人物を指さした。それを見た悟りは嘘でしょという感じで目を見開いている。


 予想通り彼女はそこにいた。その彼女というのは手作りの紙で作った花飾りのようなものを手売りで売っている少女だ。その見た目を形容するのなら赤髪のショートヘアーで服はぼろぼろ、鼻から鼻水をたらしている。実にどこにでもいそうな貧乏少女である。まあある一点を除けばその表現でも間違いではない。


 俺はその少女に向けて語りかける。

 「やあやあ、、、」

 「いらっしゃい、陰気なお兄さん花を買ってくれるんですか?」

 陰気は余計だ。


 「うん買ってあげてもいい。でもその前に一つ体のいいアルバイトを紹介させてくれないか?」

 これでは完全に闇バイト勧誘である。まあいいか、、、勝つためには多少の原作崩壊もやむおえない。

 「バイト?」 

 悟りはまだ嘘でしょという顔でこちらを見ている。

 

 「仕事の事だよ、、、君が突っ立てるだけで、10万ベル以上の大金が手に入る。」

 その話を聞いた彼女は目の色を変えた。

 「え!?かっこいいお兄さんそれってほんと?」

 子供というのは現金かつ純粋なものだ。陰気な奴からかっこいい奴にどうやら俺はジョブチェンジしたようだ。


 「ちょっとケヴィンさん子供を巻き込むのはさすがに、、、」

 ひそひそ声で悟りが俺に話しかける。

 「否、信じてくれ。僕たちは勝つ。それに紅桜クラスの奴に勝てばそのくらいの大金一瞬で手に入る。嘘じゃないだろ。」

 「うう、、、」

 悟りは押しに弱いな。

 

 「じゃあウメコちゃん明日朝九時くらいにバトルギルドの方に来てくれ、そしたらお金は手に入るからね、、、」

 「うん分かったけど、お兄さんなんで私の名前知ってるの?」

 「ああ、知り合いに君の事を自分の妹と勘違いした奴がいてね。そいつがそう呼んでいたんだ。だから適当だよ。」

 「ふーん」

 特に興味もなさそうにウメコは言った。


 ウメコの勧誘を終えた俺たちはゆったりとまた歩を進める。

 「次はどこに行くんですか?」

 「そろそろ彼が来る時間になったから、、、聖堂教会に行こう」

 「え!?教会。もしかして僧侶様をパーティに加えるのですか、でも僧侶は上級職だからノーマル以下の人なんているのかなあ?」

 少し声色を上げながら、悟りは言った

 「どうだろうね?」


◇◇◇


 俺たちは白色のレンガと年季の入った植物で飾り付けられた十字架がトレンドマークのこの街で一番大きな教会である聖堂教会にたどり着く。両開きの大きな門からその中に入っていく。中には緑や赤に煌めく美しいステンドグラスがありそれがとても眩しく輝いている。


 俺はその中にある一つの木製のベンチに腰を掛ける。その隣には呆けたような一人の長いひげを蓄えた綺麗な禿げ頭の老人が横に杖を置いた状態で座っている。

 「おじーちゃん!」

 俺は大きな声でその老人に向かって語り掛ける。

 「何かね、、、」 

 老人はしわくちゃな顔をゆったりとこちらに向ける。

 「僕はローウェンおじいちゃんの孫だよね!」

 「そうじゃったかのう、、、そういえばそうだったかものう。大きくなったなアルスでもおぬし男だったっけか?」


 そう何を隠そうこの老人は原作時点では年老いておりボケているが、勇者アルスの祖父なのだ。毎日午後3時ほどに聖堂教会に現れ亡くなった妻聖女リリイに祈りをささげているという原作設定はどうやら反映されているようだ。この老人を使ったあるtipsは古参プレイヤーには有名だ。

 

 「ちょっと何やってるんですか。」

 悟りがひそひそと俺に語り掛ける。

 「何って、勧誘だよ、、、」

 「は!?教会に来る痴呆老人仲間にしてどうするんですか!?」 

 その言葉を聞いた悟りはあんぐりと口を開ける。

 「まあみててよ。」


 「うん、性転換したんだ。おじいちゃんは孫の言うこと聞いてくれるよね!」

 ローウェンとの会話を再開する。

 「おおそうか、性転換したんか。それはええのう。お願いか、うんうん聞こうとも。聞こうとも。」

 「お願いは簡単だよ。明日朝の9時くらいにバトルギルドに来て!そこで一緒に戦ってほしいんだ!」

 「おおわかったぞ、この魔賢老ローウェン。孫のいう事ならなんでも聞いてやろう。わしこう見えても結構強かったんじゃよお。」

 「ありがとうね、おじいちゃん。ばいばーい!」


 よしこれで、魔賢老ローウェンの勧誘も終わった。やり口は完全にオレオレ詐欺だが。まあ一応原作でももっと若いころにケヴィンと会っていたはずだし、ギリギリ犯罪くらいだろ。グレー寄りの黒くらいで収まっているはずだ。


 一連の俺の奇行を見た悟りは

 「集まった二人は鼻たれ幼女とぼけた老人。やっぱり、他の二人は人数合わせなんだ、、、私が戦わなくちゃいけないんだ。」

 暗い顔で何度も呪文のようにその言葉を言っていた。


◇◇◇


 教会から出た俺たちは夕暮れの空をバックに歩いていた。

 「よしこれでパーティー完成!」

 「全然よしじゃないですよ、、、もう私たちは終わりです」

 「何を言ってるんだい?ここから始まるんだよ。明日朝9時よろしくね」

 「これなら紅桜さんに殴られていた方がましだった、、、」

 そういって悟りは俯いた。


 「大丈夫僕は君たちの強さを知っているんだ」

 「大丈夫じゃないですよ。だって私最弱なんですから。」

 悟りは不貞腐れて言った。


 「いいや大丈夫。君は最弱かもだけど。僕は全部を知ってるから。」

 「なんでそんなに私なんかの事を?」

 「君だけじゃないよ。僕は君たちの事が好きだから。」

 俺は笑顔でそういった。ケヴィンの長い前髪がそよ風で揺れる。

 

 少し頬を赤らめ、、、

 「もう馬鹿にするのもいい加減にしてください。でも少しだけケヴィンさんのこと信じて私頑張ってみます」

 そういった悟りは背中をプイっと振り向かせ夕日をバックに帰っていってしまった。

 

 【そう俺はこの世界を愛している。故に俺はこの世界のすべてを知っている。故に正しい。ケヴィンの言葉を借りるなら絶対は俺だ。】


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