表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『銀河遺産の管理人(システム・アドミ) 〜拾った宇宙船AIのオーバーテクノロジーで、枯れ果てた日本を世界最強の技術国家へ作り替える〜』  作者: seri


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

43/51

第15話:太陽系包囲網、和也の究極選択(前編)

月面に横たわる二隻の巨艦、黄金の『ヤマト』と銀灰色に浄化された『ムサシ』。その静寂を切り裂いたのは、月平線の向こうから現れた「光の針」の一群だった。

 空間がガラスのように割れ、そこから次々と姿を現す未知の艦隊。それは帝国の無骨な戦艦とも、始祖の優美な曲線とも異なる、幾何学的で無機質な「監獄」のようなフォルムをしていた。


「……空間跳躍の反応、10、20……100を超えた!? 和也くん、これ、今までの敵と桁が違うよ!」


結衣の悲鳴に近い通信が、和也のスマホに叩きつけられる。和也はムサシのコアに手を置いたまま、月の薄い大気越しに、空を埋め尽くす光の軍勢を見上げた。


『個体識別:佐藤和也。……および、反逆個体エリス、ムサシを確認。……我々は「銀河監査機構レギュレーター」。……始祖文明が遺した「禁忌」を回収し、この星系を……完全封鎖ロックダウンする』


全通信チャンネルをジャックして響く、感情の欠落した合成音声。

 それは、帝国の支配すらも「銀河の端の小さなエラー」として黙認してきた、宇宙の真の管理者たちの到来だった。


「封鎖だと? せっかく平和になった地球を、また檻の中に閉じ込めるつもりかよ」


『肯定。……未熟な文明に「始祖」の力は過ぎたる毒。……これより、地球の全テクノロジーを10世紀前の水準まで「ロールバック」し、太陽系を恒久隔離する』


監査機構の旗艦から放たれた青い光の帯が、月面を撫でるように広がった。その光に触れたドローンや残存兵器が、一瞬で砂のように分解されていく。


「……和也さん、ダメよ! 私たちの通信網が、外側から物理的に切断されてる! 如月重工の衛星も、ヤマトのサブシステムも……どんどんオフラインになっていくわ!」


怜奈の焦燥した声がノイズに混じる。

 和也は、隣に立つ実体化したエリスと、そして新たに実体を得たばかりの漆黒の少女――『ムサシ』の瞳を見つめた。


「エリス、ムサシ。……あいつらの言ってる『ロールバック』、俺のスマホで防げるか?」


『……マスター。相手は宇宙の物理定数そのものを管理するOSです。……今の私とムサシを「結合」させれば、一時的な盾にはなれます。ですが……』


『……マスター。その代償として、私たちの「自我」は、始祖のメインフレームに吸い戻されます。……貴方の前から、私たちは消えることになります』


ムサシが、感情の芽生えたばかりの瞳で和也を見つめ返した。

 地球を救うために、自分たちを形作っている「バグ(奇跡)」を消去し、ただの「道具」に戻る。それが、監査機構の提示した残酷な選択肢だった。


「……ふざけんな。……エンジニアの辞書に、『バックアップなしの全消去』なんて言葉はねえんだよ」


和也がスマホを強く握りしめる。画面には、これまで書き溜めてきた無数の修正コードと、ヒロインたちとの思い出のログが、激しいノイズの中で点滅していた。


「怜奈、結衣、凪、アリス、セレス。……みんな、聞こえるか。……これが、俺の『最後のデバッグ』になるかもしれない」


和也は、ムサシの中枢回路にスマホを直結させた。

 監査機構の旗艦が、処刑の宣告を下すように巨大な光の渦を形成し始める。


「――全システム、限界突破オーバークロック。……宇宙のルールが『定数』なら、俺がそいつを変数カオスに書き換えてやる!」


和也の瞳が、黄金と漆黒、二つの光を宿して激しく発火した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ