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『銀河遺産の管理人(システム・アドミ) 〜拾った宇宙船AIのオーバーテクノロジーで、枯れ果てた日本を世界最強の技術国家へ作り替える〜』  作者: seri


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第8話:火星の紅い森、銀河の影(中編)

洞窟の奥へと足を踏み入れた和也たちの目の前に広がっていたのは、想像を絶する光景だった。

 そこは、天井の見えないほど広大な巨大空洞。壁面から床に至るまで、全てが半透明の蒼い「クリスタル」で構成され、それ自体が呼吸するように淡い光を放っている。


「……綺麗。でも、この寒気は何かしら。空気が凍りついているみたい」


アリスが、防護服越しに自身の肩を抱く。

 凪は無言で重力刀の柄を握り、周囲のクリスタルの柱を警戒した。彼女の直感が、この美しすぎる静寂の中に潜む「殺意」を感知していた。


『マスター、注意してください。……このクリスタルはただの鉱物ではありません。極めて高密度な「情報記憶体」であり、同時に……防衛システムそのものです』


エリスの声が、ノイズ混じりに響く。

 和也がスマホのセンサーを向けると、クリスタルの柱の内側を、光の粒子が神経系のように高速で走り抜けているのが見えた。


「これは……誰が作ったんだ? 帝国じゃないなら、もっと古い……」


和也が中央の巨大なクリスタルの尖塔に触れようとした、その時。


――キィィィィィィィン!


鼓膜を突き刺すような高周波が空間を満たし、周囲のクリスタルが一斉に鋭利な形状へと変化した。

 床から、壁から、無数の「クリスタルの剣」が和也たちを標的にして突き出される。


「下がれ、会長!」


凪が瞬時に和也を突き飛ばし、重力刀を抜いた。

 超振動する刃が迫り来るクリスタルの礫を叩き落とすが、斬っても斬っても、クリスタルは即座に再生し、さらに増殖していく。


「結衣! イズモからこの区画の共振周波数を解析してくれ! 構造そのものを分解する!」


『無理だよ和也くん! このクリスタル、1秒間に数万回も構造を変えてる! 追いつけないよ、これはデジタルの領域を超えてる……「意思」を持った物質だよ!』


インカムから結衣の悲鳴に近い声が届く。

 和也たちの背後が、クリスタルの壁によって塞がれた。退路は断たれた。


『マスター。……一つだけ、方法があります。ですが、今のマスターの脳には負荷が強すぎる……』


「やれ、エリス。ここで死んだら日本も地球も終わりだ。……俺を、この遺跡のシステムに直結ダイレクト・リンクさせろ!」


和也がスマホを中央の尖塔に叩きつけた。

 瞬間、和也の意識は肉体を離れ、蒼い光の海へと投げ出された。


――膨大な、あまりに膨大な「記憶」の奔流。

 それは、数億年前に銀河を支配し、そして「ある理由」で滅び去った先代文明の記録だった。

 

「……ぐあああぁぁぁっ!」


脳が焼けるような痛み。だが、その情報の海の中で、和也は見つけた。

 この遺跡を制御する「原初のコード」を。


(……書き換え、開始。俺の想像力イマジネーションで、この硬い世界を……柔らかい「苗床」に変えてやる!)


和也の叫びと共に、スマホから黄金の粒子が溢れ出した。

 迫りくるクリスタルの剣が、和也の体に触れる直前で、花びらのように柔らかいナノ素材へと変化し、崩れ落ちていく。


和也のチート能力が、エリスの技術を超え、遺跡そのものを「上書き」し始めたのだ。


「……えっ? クリスタルが、溶けていく……?」


アリスが呆然と立ち尽くす中、広大な空洞全体が、蒼から黄金へと色を変えていった。

 和也がゆっくりと目を開けると、そこには一人の「女性」の幻影が立っていた。

 それはエリスによく似た、だがもっと深い悲しみを湛えた、遺跡の管理人アバターだった。

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