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『銀河遺産の管理人(システム・アドミ) 〜拾った宇宙船AIのオーバーテクノロジーで、枯れ果てた日本を世界最強の技術国家へ作り替える〜』  作者: seri


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第5話:超技術国家の誕生(後編)

高度三千メートル、空中庭園都市『アーク・ニッポン』。

 下界の喧騒が嘘のように静まり返った最上階のダイニングでは、地上ではお目にかかれない光景が広がっていた。


「……これが、銀河標準の料理? 見た目は宝石みたいだけど、味の想像がつかないわね」


怜奈が戸惑いながらも、虹色に輝くソースが添えられた前菜を口にする。瞬間、彼女の瞳が大きく見開かれた。


「――っ! 美味しい……。脳に直接、幸福感が流れてくるみたい」


『当然です。マスター・レイナ。それは味覚神経をナノレベルで最適化し、摂取した瞬間にセロトニンとドーパミンを黄金比で分泌させる「多幸感のカルパッチョ」ですから』


エリスがホログラムの給仕服姿で、誇らしげに解説する。

 和也の隣では、結衣が猫耳ヘッドフォンを首にかけ、山盛りのフライドポテト(のように見えるが、中身は完全栄養食)を両手に持って頬張っていた。


「和也くん、これやばいよ! 食べても食べてもお腹が重くならないし、頭がシャキシャキする! ずっとコード書いてられるよ!」


「結衣、食事中くらいは仕事のことを忘れろ。……凪さんも、立ってないで座ったらどうだ?」


部屋の隅で直立不動のまま警戒を解かない凪に、和也が苦笑しながら声をかける。


「……任務中です。毒見も終わっていません」


「エリスが作った料理に毒なんて入ってないよ。……ほら、これはあんたの好きな、高タンパクで筋肉に効く『超合成赤身肉』だそうだ」


和也が皿を差し出すと、凪の鼻先が微かに動いた。彼女は一度、怜奈とアリスの視線を気にするようにしてから、意を決して席に着いた。

 一口食べた瞬間、無表情だった彼女の眉がピクリと跳ねる。


「……悪く、ない。……いえ、極めて効率的な栄養摂取です。感謝します」


そんな賑やかな席で、アリスだけは高級なクリスタルグラスに注がれた「熟成を一瞬で終わらせたヴィンテージワイン」を揺らしながら、窓の外を見つめていた。


「ねえ、和也。この要塞、外から見ると本当に美しいわ。……まるで、神様が住む神殿みたい。でも、知ってる? 下界の『人間様』たちは、自分たちの頭上に神様がいるのを一番嫌うのよ」


「……分かってる。だからこそ、独り占めする気はない」


和也はワインを一口含み、眼下に広がる日本の夜景を見つめた。


「この技術も、エネルギーも、豊かさも、日本中の……いや、世界中の人間に配る。だが、そのためにはまず、邪魔な『壁』を壊さなきゃならない」


和也の言葉に応えるように、エリスの表情が軍用モードへと切り替わった。


『マスター、晩餐会の最中に失礼します。……「壁」の方から動いてきましたよ。国連安全保障理事会が、日本を「全地球的脅威」に指定。同時に、世界五大国による共同戦線『アース・ガード』が結成されました。彼らの艦隊が、現在、日本近海を完全に包囲しています』


ダイニングの空気が一変する。

 怜奈はグラスを置き、結衣はキーボードを引き寄せ、凪は椅子を蹴って立ち上がった。アリスは、妖艶な笑みを浮かべたまま銃の安全装置を外す。


「……早いな。晩飯くらいゆっくり食わせてくれればいいものを」


「どうするの、和也? 相手は世界中の軍隊よ」


怜奈の問いに、和也は不敵に笑い、ポケットから改造スマホを取り出した。


「エリス。……俺たちは、あいつらの言う通り『神様』になる必要がありそうだ。ただし、慈悲深い神様じゃない」


『了解です、マスター。……「全地球規模強制平和介入プロトコル」、スタンバイ。……さあ、愚かな隣人たちに、真の技術力というものを教えてあげましょう』


アーク・ニッポンが、黄金の輝きを放ちながら戦闘形態へと変形を開始する。

 日本一国の再興から始まった物語は、ついに地球全土を巻き込む「神話」の領域へと突入していく。

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