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一瞬の

ロゼの口調の変化、お気づきの方も多いとは思いますが、、

一応

私=公(業務用の喋り方)

俺=私(子供のころと同じ、素とも言える話し方)

やっと、漸く、ようやくだ

お前に会える

あの日俺は無力だった

培っていると思っていた力はまがい物で役に立たなかった

結局、あの日、俺に出来たのは、お前を助ける事じゃなかった

俺があの場にいたから、お前は傷ついた

そうだろ?


謝罪はしない

したところでお前は笑わないから

許してほしいとも思ってない

俺は、俺が、できる全てをお前に渡す

俺はお前のものだから、


あの日、お前が俺を綺麗だと言ってくれたあの瞬間から


今度はちゃんと力をつけてきたぜ

まがい物じゃない力だ

それが役に立つかと言われたらわかんネェ

ケドさ、ないよりマシだろ?

俺が、お前にできることなんてきっとない

けど、役立たせてくれ

そのために時間だっけはかけたんだ

八年

長かった

それでも、僅かにでも役立ちたくてがむしゃらに色々身につけたんだ

そういう意味じゃ短かったかもな


俺はもう、お前を傷つけさせない

この身に、この魂にかけて誓ってやるよ

俺の唯一

…マリーローズ


失敗はしない

それが私の生きる道なのだから

全てに誓います

あの日の貴方を必ず取り戻して見せると

私の身の上ではおこがましいことかも知れません

しかし、貴女の事だけは誰にも譲る気はないのです

貴女のためなら全てを敵に回すことも私はいといません

ですので、

どうかお許し下さい

この身が貴女に仕えることだけは

マリーローズお嬢様






ロゼはぺレインに連れられて応接室の前に立つ

漸くマリーローズに会える喜びは計り知れない

ぺレインがドアに手をかけた瞬間ロゼの心臓は飛び跳ねた

そして時が止まった

様に感じた

ぺレインが扉を開く仕種が遅く見える

同時に自分の心臓の音さえ消えた

自分は死んだのかと錯覚するほどに間隔が長く感じる

だが、ゆっくりと開かれる扉が、時々聞こえる、いつもよりゆっくりと奏でられる心音が、ロゼにそれほどまでに待ち望んだ時間だったと自覚させる


思考だけが早く通りすぎていく

戦闘時と似て非なる感覚

ロゼは戸惑わない

変わりに、あふれる気持ちを抑え切れなかった


「お待たせしました。執事見習いのロゼをお連れしました」

「ぺレイン、そんなに固くならずともいいから、中に入ってちょうだい。」

「はい。ロゼ、行きますよ」

「…はい」


ロゼは室内に足を進めると両腕をピンと伸ばし、脇にくっつけるようにして腰を折る


「ロゼ・タートソンといいます。この度は寛大なる御心を持って慈悲を頂き、深く感謝をしております」


「私たちの事は説明せずとも理解しているな」

「はい、中央におられますが、ベイクード王国大公の地位にございます、王弟マグノリアル・ウィ・ダルサスーン様、左の御婦人が伯爵家ご出身の奥方様、シュミーレ・ウィ・ダルサスーン様、そして、右にいらっしゃる令嬢こそが、私が忠義を尽くしたいと願うマリーローズ・ウィ・ダルサスーン様と認識しております。そして、後ろにいらっしゃるのが先輩執事であり、マリーローズお嬢様付きのマークス様と推察します」

「うむ、よろしい、そなたの身辺はわからぬところが多い。しかし、ぺレインが認めたのであれば問題ないと私は判断した。忠義に励んで欲しい」

「慈悲あるお心遣い、感謝の言葉もありません」


「私、ロゼ・タートソンは誠心誠意、大公家に仕えさせていただきます」


マリーローズお嬢様のために



顔合わせが終わるとすぐにぺレインはロゼを連れて部屋を後にした


大公の屋敷に仕える以上覚えることは山のようにあるのだ

時間はあってないも同じ

だが、ぺレインにも、ロゼにもそれはたいしたことには思えなかった


「ロゼ、聞いておきましょう。第一印象は?」

「質問に質問で返すのはあまり好きではないのですが、どなたのでしょうか?」


「全員ですよ」


「旦那様、奥様は人の良さそうな善人に感じますが、愚かではないとお見受けしました。マークス様は、私に敵意をお持ちのようですが、理由がわからないので知らぬフリをさせてもらいます。敵意は一応上手に隠されていますが、僅かに漏れていただけですし、こちらがしかけなければよい先輩でいてくださる事でしょう。」

「マリーローズお嬢様は変わらずお綺麗でした。確かに感情の起伏は感じませんでしたが、それだけのこと。あの方は、あの日、お会いしたマリーローズお嬢様、そのお方。マリーローズお嬢様が望むのであればその憂いさえ私は取り除いて見せると改めて誓いました」


「結構。想定内の感想ですね、では、念のためにマークスについて補足をしておきます。マークスはお嬢様がさらわれた日、警護として側にいた一人です。今でも、その失態ゆえにお嬢様を守れなかったと悔いているのですよ。お嬢様に対する思いはロゼと近いと言ってもいいでしょうね」


ロゼは心の中でなるほどとだけ唱える


本心をいえば近いなどと言われるのは心外だと言いたい

が、ロゼはマークスでも、ぺレインでもない

人の気持ちを否定するほど、感情に敏感でもない

だからロゼは何もそれ以上に言わなかった


後日、その分、ぺレインの稽古で存分に八つ当たりはさせてもらったが、ぺレインは簡単に返り討ちにした



「武芸だけなら私はニグインより強いですよ」


それはもっと早く知りたかったと思いつつ、犬族族長のニグインが高らかに笑っている姿を思いだし掻き消そうとしたが、それすら出来ないほどロゼはぺレインに負かされた


「私も、まだまだのようです。申し訳ありません。マリーローズお嬢様…」



「ぺレインさんと打ち合ってたの誰だよ?!」

「大会優勝者だ!嘘だろ?ぺレインさんが肩で息をしただと?!」

「獣人の俺らが束になっても毛並みを全く乱れさせなかったぺレインさんだぜ?」

「あいつ本当に人間か?」


騎士隊の中でひそかに噂されるようになるロゼだった



やっと出会えたのになぜ接触しない!

私のお話なのに!

何故狙ったようにうごいてくれないんだぁ!!


読んでくださり感謝です(>_<)

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