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星空のユーリ  作者: 春人
第二章
9/17

教練3

帝国歴496年10月

その後も数週間おきに射撃訓練があったがその度にレンとアンディは抜群の成績を残した。特にアンディはほぼ100%に近い精度で的の中心を撃ち抜くようになっていた。


「ふぅ~撃った撃った」


「食った食ったみたいに言うなよアンディwww」


「確か明日は座学だったよな?」

5度目の射撃訓練が終わり自室に戻ったアンディとアレン。明日の軍事教練は各国軍の戦術についてだ。


「ああ、ここんとこ射撃訓練ばっかだったしな。久しぶりにゆっくり出来る(o^-^o)」


「おいおい、ゆっくり出来るつっても明日の座学の教官はあのクリスト主任教官だぞ。」

ハリス・フォン・クリスト中佐...クリスト男爵家の次男坊でありヌルンベルク幼年軍学校内ではNo.2の主任教官である。常に無表情なことから仮面教官と渾名をつけられている。


「そこらへんは...まぁ上手くやるさ、さぁもう消灯時間だおやすみ...zzz」


「おっおう、おやすみ(大丈夫なのか?)」



翌日 ~軍事教練~


14時を告げるチャイムが鳴りクラス全員が着席した。やがてクリスト教官が入室しいつものきりーつ・ちゃくせーき。

ちなみにアレンはサボるつもりがビビって結局サボらず。

「さて、本日の軍事教練は各国軍の【陸戦】について学んでいただきます。まずは我が帝国軍の地上戦闘教範【陸戦指揮】についてです。ヴィットマン君...教範における【攻撃】の冒頭の条項を答えなさい」


「あっ...えーと...すみません。わかりません」

(戦闘教範なんて読んだことも無いのにわかるわけねぇだろ!)


※入学時に他の教科書と一緒に簡易版が配布されてます。


一瞬クリスト教官は睨んだがすぐに別の生徒に目を移した。

「はぁ仕方ありませんね。ではヘルダー君、答えなさい」

指名されたのはうちの班長へルマンと同じくらい優秀な成績の1班班長フランツ・フォン・ヘルダーだ。


「はい。【攻撃は運動、射撃、衝撃及びこれが指向の方向により効果を発揮するものとす。敵の正面、即ち強度が最も大なる方面、側面もしくは背面に向いて一方向より行う、又は数方向より攻撃することあり】です。」


「よろしい。では条項内の衝撃は我が軍においてどのように考えているか。ハルトマン君」


「装甲戦力による敵陣突破であります。」


「そのとおり。さすがは優秀な二人ですね、よく勉強している。」

クラス内からおぉ~とかすかなどよめきが上がる。あの無表情のクリスト主任教官が僅かではあるが笑みを浮かべながら人を誉めたのだ。

(あの仮面教官が人を誉めた...槍でも降るのか?)


「ではそれらを踏まえた上で戦術の解説を行います。我が軍には2つの地上戦力があります。それは何ですか。」


誰かが手を上げ答える。

「帝国陸軍と【セラフ】地上部隊です。」

セラフ...皇帝直属の戦闘集団だ。詳しくは後日紹介します。


「そうですね。ただ、双方で地上部隊の運用法はまるっきり異なります。まず、陸軍は数㎞単位の複数の戦線に汎用戦車、自走砲、突撃砲、ウォーカー、装甲車を集中投入しそれらを前に押し立てて攻撃を行います。敵戦線を突破したのち反転、敵戦力を包囲撃滅します。対してセラフ地上部隊は戦力が限られている為、前線には自走砲、突撃砲、ウォーカーを配置して防御を固め敵を引き付けておきます。その隙に汎用戦車と装甲車で組織された別動隊が敵陣の最も薄いと思われる箇所を突破し敵司令部を急襲、司令部喪失に動揺した敵軍に対し主力部隊が総攻撃を行うというものです。」


「あのぅすみません、一つ質問があります。」


「何ですか。サエグサ君」


「なぜ、陸軍とセラフで基本戦術が異なるのでしょうか?」


「ふむ、良い質問ですね」

「まず陸軍が保有している戦車、24号J型は他の列強の戦車に比べ防御力に秀でています。それにたいしてセラフの主力戦車は汎用型の24号F型...互いに保有戦車の強みを活かしての戦術ですね。ただ、陸軍の戦術は私から言わせれば余り良い戦術とは思いませんが。」


突然の陸軍批判の発言に生徒の幾人かは思わず、えっと驚きの声をあげた。


「防御力を活かしてと言っても正面突破はかなりの被害を受けます。陸軍からすれば戦車を盾にし、たとえかなりの損害を被ってもこちら以上に相手に被害を与えられる...そういった消耗戦的な理論で成り立っています。」

「一方セラフの戦術は大いに理に叶っています。敵の中枢さえ叩けばどのような大軍であっても烏合の衆ですから。ただし、これを実行するには制空権を奪っていることと突破口の維持が必要不可欠です。制空権を失えば敵の航空攻撃に晒されますし、後続部隊が突破口を維持しようとしてもそれに失敗して塞がれれば戦車部隊は敵中に孤立し全滅の憂き目にあいます。まぁリスクの伴う戦術と言えなくもないですけどね。」

「さて次はソヴェト集産主義共和国連邦軍...通称"ソ連軍"についてです。」




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