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命を断つ方法(2)

自ら命を断つことによって、不動産としての価値が下がるとか、家族、友人、知人の精神的ダメージを考えるとまったく影響ゼロでというのはなかなか難しい。

全員に嫌われるように仕向けて、死んでも「ざまあみろ」と言われるまで自分の信用を下げればよいかもしれないが、友人全員に会ってそれを実行するのはなかなか骨が折れる。

命を断った理由が、誰のせいでもないと理解されれば、少しはショックが薄らぐと思う。

そういう“もっともらしい理由”が必要だ。


そうすると、“事故死”として命を失うことがベストと思う。


明らかに自殺と判断されるような死に方では死ねないと言う事だ。

交通事故や殺人などの“加害者”がいる事故は当然除外となる。


事故か自殺か微妙な判定をされるようなものも除外しなければならない。

“冬に飲酒して外で寝る”なんていうのは、おそらく事故とみなされるのではないかと思うが、確実に死ぬかどうか微妙だ。

心臓発作を起こすように不摂生な生活を送るのは、実家暮らしではなかなか難しい。

致死率の高い病気に感染するという手もあるが、そういう場所に行く事自体が“自殺行為”ととられてもおかしくない。


いろいろなパターンを考えた末、思いついたのは次の2つの案だ。

お風呂で寝て溺れる。

何かを食べて喉に詰まらせて窒息。


お風呂で寝るのは、TVかなんかでやっているのを見たことがあるが、あれは寝てるんじゃなくて意識障害を起こしているらしい。

つまり湯船でウトウトするのは、血圧かなんかが原因で瞬間的に“気絶”している。

そして溺れるらしい。

実行するなら、毎日熱めの入浴を行えばよい。

そして家に誰もいないときに実行しなければならない。

課題は確実性である。


食べ物を喉に詰まらせるので最初に思いついたのは餅とこんにゃくゼリーだ。

調べてみたら餅がやはり一番多くて、こんにゃくゼリーはそうでもなかった。

それにもしこんにゃくゼリーで死んだりしたら、今度こそその会社が倒産しかねない。

2位はご飯、3位はパンとなっているが、これはほとんど老人なんじゃないかと思う。

そうなるとやはり餅を丸呑みになる。


2つとも結局は窒息死だ。

できたらあまり苦痛を感じる時間は短くありたいものだが、結局死ぬのだから、これは無視しよう。

確実性の高いほうはどちらか。


ネットで検索してもこれといった情報がない。

勘で、お風呂を挑戦することに決めた。

もし何日かやってみて、結果が出なかったら、餅にすることにしよう。


さっそく明日からは、両親が出勤後に熱いお風呂に入る事にする。

コウノへの手紙を出すタイミングが難しいが、適当な本に“コウノに返す”とメモを貼って、その本に手紙を挟んでおく事にする。

あとは大学にコウノという友人がいることをそれとなく両親に話しておこう。


いよいよ明日から。

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