第372話。マ・リエの中にいる聖銀竜ナギの姉、ナユが作った、聖銀竜のための回復室に入るため、マ・リエは他の人も入れるように部屋に頼む。彼女が回復したころ、神金竜ヴァレリアから念話が入り…。
第372話です。
その部屋は、聖銀竜しか入ることはできないといわれていた。
けれどそれでは、私はその部屋でたった一人になってしまう。
生活もままならないだろう。
だから私は、私を抱きかかえて運んでくれたルイが、その部屋の入口に立ったときに、部屋に向かって語り掛けてみたのだ。
「私は今、ひどく具合が悪くて、世話をしてくれる人が必要なの。だからここにいるルイと、後ろにいるサラとタニア、それにダグを入れてはくれないかしら?」
すると、少し間が開いて、ゆっくりと扉が開いたのだ。
これは…入れてくれる、ということでいいわよね?
私を部屋の端に寝かせてくれたルイは、その後出ていって、ダグと一緒にベッドを運び入れてくれた。いかに回復室といっても、中にはベッド一つなかったので、本当に助かった。
そして、ルイが私を抱きかかえて、ベッドに移してくれた。
聖銀竜以外が入室しても、部屋は何も反応しなかったけれど、私が許可した四人以外には扉が開くことはなかった。
その後、この四人が必要な物資を黒鋼竜たちから受け取って運び込んでくれたときには、きちんと通れたのだけれど。
私を入れて五人以外、お見舞いに来てくれた黒鋼竜のおばば様や、風竜の長ラナクリフ様はやっばり入れなかったらしい。
タニアやサラと一緒に入ろうとしても、扉は開かなかったとか…。
結局、私がその二人も入れて欲しい、と部屋に頼むと、やっと扉が開いてくれたのだった。
とりあえず、今はこの部屋の主である私には従ってくれるようで、それには安心した。
そして皆のおかげで回復室に入った私は、その中でゆっくり休ませてもらって、一か月ほどで回復した。
それから黒鋼の領地に戻り、ゆっくりリハビリをしていたのだ。
そんなある日の夜、ヴァレリア様から念話が入ったのだった。
「久しいのう、マ・リエ、そしてナギよ」
「ヴァレリア様! お久しぶりです」
「あの時はずいぶんと無理をさせてしまってすまないのう」
「そんなことはないですよ。大丈夫です」
「わらわが不甲斐ないばかりに…そなたのことは、大変気にかけておったのだが、いかんせんアトラス帝国を復興させることに昼夜をかけて尽力しておっての。ようやく落ち着いたので、こうして念話を送っておる」
「そうだったのですね。気にかけてくださり、ありがとうございます」
するとヴァレリア様の声が、やわらかく緩んだ。
「そなたのことは、いつでも心に留めておるよ」
優しいお言葉に、私も心がほっこりとなる。
「いえ、そんな…。私のほうこそ倒れてしまって、最後まで面倒をみることができなくて…すみません」
いくら炎竜の子を救うためとはいえ、あんな状態の帝都から離れる結果となってしまったことが、私は心残りでならなかったのだ。
するとヴァレリア様はふっ…と笑った。(続く)
第372話までお読みいただき、ありがとうございます。
ヴァレリアはマ・リエに何を言いたいのでしょうか。
また次のお話も読んでいただけましたら嬉しいです。




