表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

80/97

青い月を見る日はくるのだろうか

「――そろそろ寝るか」


 勉強に集中する事で多少瑠奈の裸が脳内から――全然消えないけど、興奮状態は治った気がする。


「しかし……不安です」


 瑠奈はもう怒っている様子ではなく、単純に不安な声を出した。


「でも、もう2時だしな……」


 そう言いながら、俺は彼女に夜も更けてきた事を示しす為に部屋のカーテンを開ける。


「ちょっと出ない?」


 そう言いながら窓を開けて瑠奈をバルコニーに誘う。


「はい」


 瑠奈が頷いてくれたので共にバルコニーに出て夜空を見上げる。


「――お……。綺麗だな」


 ふと窓から見上げた夜空が綺麗で声が出てしまう。

 俺の声に反応して、瑠奈が俺の隣に立つ。


「ホント――月が綺麗ですね」

「――でも青くはないな……」


 彼女の言葉についそう答えてしまった。


「月って青色じゃないですよね?」


 純粋に聞いてくる瑠奈に対して俺は――。


「いつか青い月も見れる日が来るかな?」


 そう言うと、こいつは何を言っとるんだ? と心底謎めいた表情をされる。


「ま、もうちょっと勉強した方が良いな」

「やはり時人君もそう思いますか? では――」

「あ、違う違う。そうじゃなくて……。ええっと……。あ、ほら、ちょっとさ夜風に当たらない? ちょっと頭冷やして寝た方が寝つきも良いだろうし」


 そう言うと風が吹いた。


「ホントに……。火照った頭に丁度良い風です」


 風に靡く瑠奈の髪からシャンプーの匂いがして、先程のシュチュエーションを鮮明に蘇らせる。


 あ! こら! 伸びるな如意棒!


「瑠奈という名前の由来は――」


 瑠奈が良い話を持ち出している。早く治めなくては!


「私が生まれた時に瑠璃色の空に月が輝いていた事からラテン語のルナと瑠璃色の瑠から取って瑠奈と名付けられたんです」

「それはお爺ちゃんが付けてくれたのか?」


 瑠奈のこれまでの話から、彼女はお爺ちゃんっ子なので何となくお爺ちゃんが付けてくれたのだとおもったが、彼女は首を横に振った。


「お父様が付けてくれたみたいです……」


 そう聞いて何と答えるのがベストなのか分からなかった。なので、自分の思った事を口に出す。


「良い名前を貰ったんだな……。ちゃんと考えて――愛のある名前だ」

「そう……でしょうか?」

「そうだよ。世の中には適当に名前付ける親だっているんだ……」


 昔を思い出し捨てる様に言うと瑠奈が心配そうに見てくる。


「時人君の名前の事?」


 そう聞かれて俺は首を横に振る。


「あ、いや……。俺はちゃんと親から考えて付けてもらったよ。『時』って漢字を受け継いでる」


 自分の事じゃない事を口走ってしまったので、俺はすぐさま話を戻した。


「――瑠奈という名前はちゃんと愛をもって付けられたと思うよ?」

「愛……ですか……。あの人に愛なんてあるのでしょうか……」

「愛の形は様々だから何とも言えないけど……。瑠奈のお父さんから聞かないと真相は分からないな」

「では会ってくれますか?」

「ええ!?」


 夜中にとんでまない声が出てしまった。

 そんな声を聞いてか、瑠奈が可愛らしく笑う。


「冗談です。今はまだ良いです」

「今は?」


 俺の言葉を無視して瑠奈は部屋に戻って行く。


「ふふ。すみません。眠くなったので床につかせてもらいます」

「それは良かった。オールの勉強は身体を壊すだけさ。ちゃんと睡眠は取らないとな」

「はい。おやすみなさい」


 瑠奈は言って部屋に戻って行った。


 俺は夜空を見上げて闇に輝く月を見上げた。


「――俺は何処で寝れば良いんだろうか……」




♦︎




「時人君! 時人君!」


 無事に期末テストが終わり、全てのテストが返却された所で瑠奈が俺に絡んでくる。


「ジャーン! 見て下さい!」


 そう言ってババ抜きの手札の様にテストの答案を持ち、点数が見れる方をこちらに見してくる。


「国語41点、数学40点――」


 他のテストもギリギリで赤点を回避していた。


「やりました! こんなに良い点数取ったのは生まれて初めてです」

「そ、そう――おめでとう」


 今までどんだけ低かったんだ? と口に出そうになるのを止めて素直に祝福の言葉を言ってやる。


「ありがとうございます! これで心置きなく夏休みを過ごす事が出来ますよ」

「そりゃ良かった」

「では早速――」


 瑠奈は鞄から手帳を取り出してペラペラとめくると「あったあった」と呟いてこちらを見てくる。


「もうすぐ夏祭りがありますね」

「ん? ああ。大きなのが8月前にあるな」

「それじゃ一緒に行きましょう」

「夏祭り?」

「はい。お祭りです」

「――すぅ……」


 瑠奈に誘われて息を吸ってしまい動揺を見してしまうと彼女はクスクスと笑ってくる。


「勿論、みんなで……ね?」

「みんな?」

「はい。みんなで。私と時人君。雫ちゃんと紗雪ちゃん。まぁ仕方なしで完士君も連れて行ってあげましょう」


 指折り数える瑠奈を見て肩を落として息が漏れる。


「あら? もしかしたら――2人っきりと思いました?」

「ば、バーカ。そんな訳ないだろ」


 からかう様に言ってくる瑠奈に対して嘘を吐いた。


「そうですか? ふふ。では、当日楽しみにしていますね」


 そう言われて、ふと脳内に3人の浴衣姿が思い浮かんでしまう。


 あれほどの美少女達だ。さぞ似合うのだろうな。


 夏祭りが楽しみになった期末テスト終わりであった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ