第六話 謝罪
ラグレスを助けた次の日、ユアンたちは学園で授業を受けていた。
と言っても、ユアンとケントはいつも通り居眠りでアイとクレアは真面目に授業を聞いていた。
最初は「寝るな」などの注意はアイから受けていたが、サボるよりかはマシだと判断され、注意されなくなった。
授業の終わりのチャイムがなり、ユアンとケントは目を覚ます。
「ふあ〜よく寝た〜」
「俺も〜」
二人はあくびをしながら上に欠伸をする。
「全く、寝てばっかりいるとバカになるよ」
「ケント様、ユアン様、もう少し真面目に授業を受けてみてはいかがでしょうか?」
「うーん。それは無理だなー」
ユアンは即否定をする。それを言いてアイは「なんで?」と聞いてきた。
「毎日お前らを「未来予知」で見てると目が疲れてくるんだよ。「未来予知」を使ってないといつ魔人が攻めてくるかわからないだろ?だからこうして授業中寝ているわけ」
それを聞いてアイは「そうなんだ...」と少し落ち込んでいた。
アイはどうせしょうもないことを言ったら叱るつもりだったが、意外にも重要なことだったので何も言えなくなってしまった。
「俺はただ眠いだけ〜」
ケントは笑いながらクレアの質問に答えていた。
「じゃあケントは起きてなさいよ。ユアンほど疲れてないんだから!」
「なんで俺だけなんだよ!」
「だってケント魔法以外は何もできないんだから少しは勉強しなさいよ!」
長年一緒にいるとケントやアイが言いそうな言葉を予想できてしまう自分が怖いと思った。
授業も終わり、城に帰ろうとすると正門の前には、ラグレス、リキト、エルクが立っていた。
ラグレスだけ、包帯だらけだった。
「ユアンさん!」
そう言って包帯だらけのラグレスはユアンを見つけると急いでこちらに向かってきた。
「ユアンさん!早く修行をつけてください!」
そう言ってラグレスは修行をせがんで来る。
ユアンはめんどくさいと思いつつもこれから起きる事態には戦力が必要だと思っていたので渋々了承する。
「わかったよ。けど、修行より先にやることがあるよな」
「やることって...?」
ユアンは視線を隣にいるイアたちに視線を移すとラグレスも気づいた様子でアイたちに謝罪をする。
「アイさん、ケントさん。この前は生意気な口を聞いてすみませんでした!」
ラグレスはアイたちの前で謝罪と同時に頭を下げた。
アイたちは最初の印象が悪かったのを見ているので、ラグレスの代わりようにとても驚いていた。
「うん、いいよ。」
とアイは即答で謝罪を受け入れた。
予想もしていなかったのか一番驚いていたのはラグレスだった。
「えっ!本当にいいんですか?あんなに口悪かったのに」
「だって、ちゃんと謝ったってことはこの前の自分の行いは良くなかったって自覚してるんだよね?気づけたのなら次は同じことしないってことだよね?」
アイにそう言われてラグレスは元気に「はい!」と答える。
「俺も別にいいぞ。その代わりちゃんと強くなれよ」
とケントからも激励の言葉が贈られる。
ラグレスは同じように元気よく「はい!」と答える。
そして、ラグレスはそのまま帰ろうとするが、ユアンが呼び止める。
「おい、待てよ。まだ修行する場所決めてないだろうが」
「あっすみません」
「それと、その怪我じゃ修行になんないからアイに直してもらえ」
そう言われてアイが回復を唱える。
すると、ラグレスの体から痛みが消え、包帯をとっても怪我が治っていた。
「あんなに大怪我してたのに...どうして?」
「ふふーん!私の回復は効くでしょ!ユアンと修行して怪我した時はいつでも言ってね」
アイは自慢げに自分の回復魔法のすごさを語る。
確かに、アイの回復はすごい。宮廷治癒魔導士とは比べ物にならないほど治りが早い。ラグレスのような大きな怪我でも回復だけで簡単に治ってしまう。普通の宮廷治癒魔導士なら三人係で治すレベルだが、アイはそれを一人でやってしまう。
「話が逸れたな...場所は王城の中の訓練場でやるから三人で一緒に来い。門番には話つけておくから」
「はっはい!」
そう言ってユアンたち四人は馬車へと乗り込んだ。
馬車に乗り込むと全員の視線がユアンに注目する。
「ん?なんだよ...」
「ねぇ、ユアン。ラグレスが魔人に襲われること知ってた?」
「ん?どうして?」
「だって森に行く時、「めんどくさいことが起きた」って言ってたじゃない。もしかしたら、わざと森で助けるようなことをしたのかな?って」
ユアンは誤魔化そうとするが、アイの顔を見てると誤魔化しが効かないような気がしたので素直に話す。
「確かに、森で魔人に襲われる未来は見えてたよ。それと、訓練場でラグレスが襲いかかってくる未来がね」
「マジかよ...」
とケントが絶句する。
「森ではさっき言った通り、魔人に襲われて助ける未来だったけど、訓練場の場合はただ、襲ってきて俺がボコボコにするっていう未来だったかな」
「もし、ボコボコにしてたらあんな風になってたと思う?」
「いや、なってないな。でも......」
「でも?」
「一番予想外だったのはミドリっていう魔人に会ったことかな。「未来予知」では会う未来は視えてなかったはずなのに、どこかで未来が変わったのか?」
ユアンは深く考え込んでいる。
「でも、無事だったからよかったじゃない。いい子になってくれたしさ!」
「そうだな」
城に着くまでの間、馬車の中では会話が途切れることなく楽しい時間が過ぎていった。
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