表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
71/313

第五話 情報共有

 森での戦闘を終え、ユアンとラグレスは王都に戻った。王都の門の入り口には大勢の兵士が集まっていた。


 「ユアン様!大変です!先程アウスト学園の学園長から連絡があり、御子息のラグレス様がいなくなったとのことです。現在、門番に確認したところラグレス様が一人で森に入ったと情報があったので、今私たちが捜索しにいくところですのでよろしければお力を貸していただけると助かります!」


 兵士の言葉を聞き、ユアンの後ろで隠れているラグレスに視線を落とす。

 ラグレスはテヘッ!という感じで、少し舌を出していたが、ムカついたのでラグレスの首根っこを掴んで兵士の前に出す。


 「ラグレス様!いったいどこにいらしたんですか!」

 「ちょっと...森の中に...」

 「お母様も心配なさってますよ!早くご自宅にお戻りください!」


 兵士はラグレスを保護して、馬車で家まで送られた。

 ユアンはそれを見届けると、近くにいた兵士を呼び至急賢者たちとアイを集めるように命令を出した。


 兵士は命じられてから三十分ほどで、会議室に賢者を集めた。


 「なんだよユアン。また何か起きるのか?」


 ケントの発言に多少のざわめきが起こる。


 「正解。けどいつ起こるかわからないから話し合おうと思ってみんなを呼んだわけ」

 「なぜそう思ったの?」


 レインは疑問をユアンにぶつけた。


 「学園長の息子のラグレスが行方不明になったのは知っていますか?」


 全員が首を縦に振る。


 「ラグレスは森の中に入って魔人に殺されかけていました」

 「おいおいまじかよ!それでラグレスは無事なのか!?」


 ヴァントが机をバン!と叩いて勢いよく立ち上がる。

 ユアンはヴァントをなだめ、話を進めていく。


 「平気ですよ、魔人は俺が倒しました。けど、ここからが問題です」

 

 ここからユアンの雰囲気が変わるのを察して賢者たちは緊張感が走った。


 「先程倒した魔人を回収するために、森の奥からもう一人の魔人が現れました。そいつは自分から魔人の組織(カラー)と名乗りミドリという名前を持っていることを明かしました。そいつは仲間にとどめを刺した後、一口食べ、また森の奥へ帰って行きました。多分今頃は本拠地にいるでしょう」


 ユアンの行動に疑問を持ったのか、ケントが話に割り込んでくる。


 「なんで、お前はミドリってやつを倒さなかったんだ?お前の力なら倒せただろ」

 「あの時は、ラグレスもいたから戦うとあいつが死ぬ未来が見えてた。それに、戦ったとしても森一帯は更地になってたし、森の中にはナイル村やプト村も含まれている。それを巻き込んでまで倒すのにはリスクがデカすぎる」

 「そうか...ユアンがそう言うなら仕方ないか」

 「それに、スタンピートよりも大きな戦いがもうすぐ来るかもしれない」


 「「「「「「「!?」」」」」」」


 先程まで会話に参加していなかった他の賢者たちでさえも驚いて立ち上がった。


 「ユアン君それ本当?」

 「はい、間違い無いかと...」

 「根拠はあるのか?」

 「俺の「未来予知」です。まだ、先は視れてませんが、おそらく...」


 それを聞いて立ち上がっていた賢者たちは一斉に腰を下ろす。

 ユアンの「未来予知」は絶大な信頼をみんなから得ている。


 「時間が経てばその先の未来も見えるのかい?」

 「基本的にはそうですけど、体調によっても変わってきますよ」

 「ん、それよりユアンの「未来予知」ってどんな感じで視えてるの?」


 今はその話は必要なのかと思うが、ユアンは答える。


 「俺の「未来予知」はいくつかの未来が見えてて、その中から最善の未来を選んでるって感じですね。短くて一時間までの未来、長くて一年先ですかね」

 「じゃあ、これから起きることはまだ...」

 「そうですね...もう少し時間をください。分かり次第またお伝えします」

 「ユアン、お前が思うに次起きる魔物との戦闘でどのくらいの被害が出ると思う?」


 バーンは唐突に聞いてきた。

 ユアンも視えている未来がまだ、曖昧だから確定ではないが最悪な状況のことを話す。


 「まだ、未来は確定ではないですけど、最悪の状況だと王都の人々が全て魔物や魔人に殺され、この国が魔人の手に堕ちる...ですかね」


 王都が堕ちる...つまりそれは自分たちが敗れ、死ぬと言うことを表す。

 そんなことを聞かされて、落ち着つけるわけなかった。


 「おい...冗談だよな...」

 「ん、私たち死ぬ」

 「ちょっと、ペトラ変なこと言わないでよ...」

 「そうだよ、まだ確定してるわけじゃないんだ。焦らず、確実に勝てる方法を見つけよう」

 「まぁ、今回の戦いは俺も参加しますよ」


 ユアンが自分から戦うと聞いて、賢者やケントとアイは驚く。

 アイなんか感極まって涙を流しそうになっていた。


 「そうか...ユアンも大人になったんだな...」


 ケントの言葉を聞いて全員がうんうんと頷く。

 それを視てユアンは多少のイラつきを感じた。


 「いったい俺をなんだと思ってんだ」と愚痴をこぼす。

 「でも、ユアン君が戦ってくれるんだったら、未来は変わるかもね」

 「そうだな、ユアンがいればなんとかなりそうだし」

 「とりあえず、今できることは住民の避難場所の確保と少しでも戦力を上げられるように、宮廷魔導士たちに指導や冒険者たちに声をかけておくぐらいしかできませんがよろしくお願いいたします」


 そうして、会議は終わりみんなは会議室を出る。

 ケントとアイは修行の続きとかで、すぐにその場から立ち去っていった。

 ユアンは自室に戻ろうとした時、セバスに呼び止められる。

 話を聞くと、今すぐブライ家まできて欲しいとのことだった。なんとなく想像はできるが、今後のために早く行くべきと判断してすぐに向かった。

 王城から馬車で十分ぐらい経つと馬車が止まった。窓から覗いてみると、貴族の家といってもわからないぐらいの立派な家が建てられていた。


 「へぇー貴族でもないのにすごいな」

 「はい、勇者様の子孫様なので豪華にしなければならないとの陛下からの命令ですので...」


 それを聞かされると、こんなにお金を使っても平気なのか?と不安になってくる。

 ユアンが馬車から降りると、メイドだろうか。門を開け、すぐに家の中へと迎入れた。


 中に入ると大きな階段が目の前にあって、そこから学園長が降りてくるのがみえた。

 階段を降りて、ユアンの前に立つと学園長はユアンに深く頭を下げた。


 「ユアン君!息子を助けてくれて本当にありがとう!この恩は一生忘れない!」

 「別にいいですよ。まぁ、ラグレスのおかげで少しわかった情報もありますしね...」

 「本当かい?そう言ってもらえると助かるよ。ここで立ち話もなんだからあっちにお茶を用意してあるんだ。少し話そうか」


 そう言われて、部屋に移動する。その部屋もまた豪華な作りをしていた。


 「ラグレスの様子はどうでした?あまり変わりませんでしたか?」

 「いや、とても変わっていたよ。私を見るなり「ごめんなさい」と言ったからね。久しぶりにあの子の口から聞けて嬉しかったよ。どんなことをやったんだい?」

 「別に何もしてないですよ。俺は死にそうになっているラグレスを助けただけです。変わったのはあいつが勝手に変わっただけですよ」


 そう言って用意されているお茶を口に運ぶ。


 「ふふ、そうか。でもあの子と久しぶりにちゃんとしたことを話せてよかったよ」

 

 と学園長は嬉しそうに微笑んでいた。


 「ところで学園長。ラグレスは心を入れ替えて修行をする気になってると思います?」

 「聞いてみないとわからないが、どうしてだ?」

 

 ユアンは先程まで賢者たちと話していた内容を学園長に同じ話をする。

 学園長は驚いてはいたが、そこまで驚いているようには視えなかった。


 「わかった。ラグレスを呼んでこよう」


 そう言って近くにいたメイドに連れてくるように命じた。

 数分後、ドアが空き、包帯だらけのラグレスが姿を現す。


 「ユアンさん...先程はありがとうございました」


 最初の傲慢な態度からこんなにも消極的な性格になるんだなと戸惑いを隠せないユアンだった。


 「お前、強くなりたいか?」

 「はい!なりたいです!」


 ラグレスは即答する。


 「最強になりたいからか?」

 「いえ、勇者様のように人々を助けていきたいからです!」


 ユアンはラグレスの目を見た後、席をたちラグレスのいる方へと歩いていく。


 「俺の修行は厳しいぞ。ついてこれるか?」

 「はい!」


 「じゃあ、学園長お預かりしてもよろしいですか?」

 「もちろん。好きにして構わないよ」


 これで、学園長からのお墨付きはもらった。

 あとは、これから起きる戦いまでにラグレスを仕上げることが最優先事項になる。

 


いつもありがとうございます。面白かったらブックマークと評価をお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ