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二度目の異世界転生、ざまぁを助太刀させていただきます?  作者: 西園寺百合子


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13/13

13 隠し子発覚を計画しまして

伯爵令嬢 メイヴィス・モルゲンシュテルン

伯爵令息 アルフレート・ローゼンタール

伯爵令嬢 エレオノーラ・ヴァランティーヌ

伯爵 ディミトリ・オルブライト

そんな話をしているうちに、すっかり日が落ちてしまった。

窓の外に見えていた夕焼けはいつの間にか消え、街にはぽつぽつと明かりが灯り始めている。

馬車を降りた頃には空は濃い藍色に染まり、夜の静けさがゆっくりと広がっていた。

でも、もう少し話をしたいからと私の部屋にアルフレートを招き入れた。

一応、お付き合いをしていることになっているし、セーフなはず。


とはいえ、使用人たちの視線が少し気にならないわけではない。

私は平然とした顔を装いながら扉を開けた。

部屋に入ると、暖かなランプの灯りが私たちを迎える。

昼間とは違う落ち着いた雰囲気に、自然と肩の力が抜けた。


「でも、王が自作自演をするメリットってなんでしょう?」

ソファに腰掛けながら私がそう言うと、アルフレートが少し首を傾げた。

考え込むように腕を組み、視線を天井へ向ける。

「ん……王権反対派の伯爵を、消せる、とか?」

そう言われて、まあ、それはあるかと思った。

でも、どこか納得できない。


私は膝の上で指を組みながら考える。

陥れるなら、ふわっと反対しているオルブライト伯爵じゃなくてもいい気がするけど。

もっと、直接的に脅威になるような権力を握ってる人とか。

そういう相手のほうが、王にとって危険なはずだ。

どうにも腑に落ちなかった。


アルフレートが窓の外を見ながら、ぽつりと言った。

窓ガラスには室内の灯りが映り込み、その向こうには静かな夜の庭が広がっている。

「誰でも、よかったのかもしれない」

そう言われて、少し驚いた。

思わず顔を上げる。


「どういうことですか?」

「襲ったのは誰かじゃなくて、襲われることが大切だった、とは考えられない?」

そう言われて、ますますわからない。

犯人が重要ではなく、事件そのものが重要だった。

そんな発想は今までなかった。


「今思うと、あの事件は本当に色々とおかしくて。そもそも、どうして俺の血は、検査されたんだろう?何型なのかわかればいいだけなのに」

アルフレートがそう言ったから、ようやく意味がわかった。

私の頭の中で、今までバラバラだった情報が少しずつ繋がっていく。

「つまり、王は、アルフレートが自分の子だということをみんなにわからせるために、あの事件を自作自演した、ということですか?」


自分で口にしながらも、あまりにも大胆な話だと思った。

けれど、不思議と筋は通っている。

もしそうだとしたら、その後に死んでしまうことになるオルブライト伯爵は……

あのいいおじさまは、誰かに殺されたということになる。


豪快に笑っていた顔が脳裏に浮かんだ。

初対面だったのに、不思議と親しみやすかった人。

あの人が理不尽な理由で命を落としたのだとしたら、あまりにも気の毒だ。


ということで、アルフレートと暴漢騒ぎを回避する方法を考えることにした。

テーブルの上に置かれたティーカップからは、まだ湯気が立ち上っている。

私たちは向かい合ったまま、しばらく真剣に考え込んだ。

「……思ったんだけど。別に何かする必要ないんじゃないかな」

アルフレートは何か閃いたようだ。


「え?」

私は瞬きを繰り返した。

「俺が、王に、あなたの隠し子ですって申し出ればいいと思うんだ」

そう言われて、きょとんとした。

あまりにも単純で、あまりにも真っ当な解決策だったからだ。


「そんな…まあ、そうなんですけど。なんというか、ドラマチックではないですね」

私がそう言うと、アルフレートに「ドラマチックって…」と笑われてしまった。

肩を震わせながら苦笑している。

その反応を見て、私も少しだけ頬を膨らませた。

だって、隠し子の発覚って、ドラマではいつもドラマチックに描かれるじゃん。


大勢の前で秘密が暴露されたり。

誰かが涙ながらに真実を語ったり。

衝撃の事実に周囲が騒然となったり。


まさか本人が普通に名乗り出て終わるなんて。

確かにそのほうが平和だし合理的だけど。

なんだか少しだけ拍子抜けしてしまうのだった。


「ただ、自然に申し出るわけにはいかないし。母からの証言をもらう必要はあるけどね」

アルフレートがそう言って少し表情を暗くした。

アルフレートが王の隠し子であると発覚するということは。

ローゼンタール伯爵は婦人に不貞を働かれていたと公言することになる。

それは、両親を不仲にさせるきっかけにもなるだろう。


前回はストーリーをなぞることばかりを考えていたから、そこまで考えが及ばなかった。

それに、前回は、隠し子だとわかったアルフレートはすぐに王城に入ってしまったはず。

その後、ローゼンタール家がどうなったのかを、どこまで把握しているのか…。


「この件は少しの間、俺が預かってもいい?」

アルフレートにそう言われて「もちろん」と答えた。

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