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二度目の異世界転生、ざまぁを助太刀させていただきます?  作者: 西園寺百合子


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10/13

10 ストーリーは予定通りのようでして

伯爵令嬢 メイヴィス・モルゲンシュテルン

伯爵令息 アルフレート・ローゼンタール

伯爵令嬢 エレオノーラ・ヴァランティーヌ

「皇太子の廃太子はいたいしが決まった」

午後の日差しが差し込む部屋の中で、アルフレートがそう教えてくれた。

机の上には積み上がった書類が並び、窓から吹き込む風が紙の端を小さく揺らしている。

アルフレートはその一枚を片手に持ちながら、いつも通り落ち着いた声で告げた。


「そうですか…」

短く答えながら、視線をテーブルへ落とした。

少しお茶を飲みながらと話し始めた内容が、意外に重くて戸惑っている。

指先が無意識にティーカップの縁をなぞっていた

「ごめんね。あんまり重々しくないほうがいいかなって。さらっと伝えようと思ったんだけど」

アルフレートがそう言って「失敗したかな」と頭を掻いた。

「いえ。なんだか、私のほうが気を遣われてますね」

そう言って、2人で微笑みあった。


ゲームのストーリー通りに進んでいる。

それはつまり、アルフレートが殺される日も近づいているということだ。

予定より少し早い。

このまま、半年ずつずれ込んでいくのかと思ったけど。

思っていたよりも早く歯車が動き出している気がした。


前回は断罪から廃太子になるまで3か月後だったのだけど、それが半年後になった。

そのため、イベントの時期がよめなくなってきている。

窓の外で揺れる木々を眺めながら、私は記憶の中の展開を必死に思い返していた。


次に起こるのは、アルフレートが現王の隠し子であることが発覚するというイベントだけど。

半年後なのか、3か月後なのかがわからない。

タイミングが変われば、その後の流れも全部変わる可能性がある。

それが怖かった。


「そういえば、どうしてアルフレート様が隠し子だってわかったんですか?」

唐突だけど、アルフレートに尋ねてみた。

モブだった私には、王城内で起きたことは細かくは知らない。

顔を上げ、向かい側に座るアルフレートを見た。


ゲームでは、どうしてだか血液検査をすることになって隠し子だとわかったことになっていた。

けれど、ゲームの説明は妙に曖昧だった気がする。

プレイしていたときは気にしていなかったけど、現実として考えると違和感が残った。

「ああ…前回はたしか。王が暴漢に襲われて、大怪我をするんだ。それで、血液が必要になって…」

アルフレートは少し考え込むように視線を横へ流しながら答えた。

昔の記憶を引っ張り出しているみたいだった。


そんなベタな展開でしたか。

思わず心の中でツッコミを入れてしまう。

「でも、今思うと、それもかなり無理があったような…」

アルフレートがそう言って表情を歪ませる。

眉を寄せ、納得いかないように小さく息を吐いた。

「無理、ですか?」

私が聞き返すと、アルフレートは肩をすくめる。


「ああ。だって、王城で暴漢だよ?あの警備で暴漢って、ありえないよね」

そう言われて、それは確かにその通りですねと思う。

王城はこの国で一番警備が厳しい場所だ。

そんなところへ簡単に暴漢が入り込めるなんて、不自然にもほどがある。


「もう少し、そのときのこと、詳しくわかりますか?」

私がそう言うと、アルフレートも困った顔をした。

記憶を探るように視線を伏せ、指先で書類の端を軽く叩く。

「あのときはバタバタしていて、詳細なことまで覚えてないんだけど」

そう言いながら、思い出せる限りを話してくれた。


その日は、エレオノーラに言われて、王城で行われたお茶会へエレオノーラを送ったらしい。

恋人だったからね。

当時の自分を思い返しているのか、アルフレートは少し苦笑する。

それで、王妃と話しをしていたら、王城が騒がしくなった。

急に慌ただしくなり、廊下を駆ける足音や怒鳴り声が聞こえてきたらしい。

医師を呼べだのなんだのと声が聞こえてきたから、その場に行ってみた。

すると、血だらけの王が倒れていた。

青ざめた顔の侍従たちに尋ねたら、暴漢に襲われたとだけ言われた。


で、血液が足りないって検査をして、アルフレートが血縁者であることが発覚。

意識を取り戻した王に尋ねたところ、実は、アルフレートの母親とそういう関係にあったことがわかって。

隠し子であったことが発覚したわけなのだそうだ。

話しながらも、アルフレート自身どこか納得していないようだった。

偶然にしては出来すぎている。

私も同じことを思っていた。


ちなみに、その暴漢というのは、後日、死体で発見されたそうだ。

「それが、オルブライト伯爵だったんだ」

アルフレートがそう言った。

部屋の空気が少しだけ冷えた気がした。

オルブライト伯爵といえば、王権反対派の伯爵だというくらいの知識しかない。

ゲーム内では名前すら出てきていない。

前回、モブだったときに名前くらいは聞いたけど、そこまで目立つ人物ではなかったはずだ。


「伯爵家の犯行ということで、民には王が襲われたことはオフレコになったんだよ」

そう説明されて、納得した。

王が伯爵に襲われたなんて公になれば、国中が混乱するだろうから。


ただ、やっぱり、アルフレートが言った通り、なぜ王城で暴漢騒ぎがあったのか気になる。

そのタイミングでわざわざ、エレオノーラがアルフレートに送らせたのも気になる。

まるで、その場にアルフレートがいることを前提に話が進んでいるみたいだった。


「…オルブライト伯爵に会ってみませんか?」

私がそう言うと、アルフレートは驚いた顔をした。

まさか犯人に会いに行こうなんて言い出すとは思わなかったんだろう。

でも、話を聞くなら今しかない。

暴漢騒ぎが起こってしまったら、本当は何があったのか、オルブライト伯爵に聞くことはできないのだから。


復讐。

もちろんそれも大切だけど。

アルフレートが殺されてしまうまでに、なんとか流れを変えたい。

そのためには、ゲームで知っている未来をただなぞるだけじゃ駄目だ。

私は膝の上でぎゅっと拳を握りしめた。

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