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フードファイト・ダンジョン ~最高の食材とまだ見ぬ絶景を求めて最下層を目指します~  作者: 祐祐
第5章:中堅

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84話:九州

 打ち上げ翌日はダンジョンのロッカーに置いてある荷物を取りに行き、そのついでに魔導鋼と魔導鋼とジェラルミンの合金の注文を受付にいた職員さんにお願いした。


「それで、武器防具を持ってどこに行くのかしら?」


 それだけだったはずなのに、俺は伊達さんの部屋にいた。

 受付でやり取りをしていたら、気配も無く後ろに立っていたんだ。そして、問答無用で連れてこられたわけである。


「九州ダンジョンに」


「そっちに本拠地を移すのかしら?」


「それはないです。家族と友達がいますので」


「じゃあ何で?」


 どうしてこの人はここまで聞いてくるんだ……


「あの、どうしてそんなに聞いてくるんですか? 前に他の所に行った時は何も言われなかったですよ」


「それだけあなたは優秀な冒険者として、協会が目をつけているって事よ。それで何しに九州に行くの?」


 納得してくれるまで離してくれないかもな。とりあえず答えるか。でも、まだ本当の事は言えない。伊達さんから情報が漏れるかもしれないからな。まだそこまで信頼してない。


「今は18層ですが、次の20層で世界が変わるって聞いてます。レベル上げがここから長く続くんで、その前にちょっと気分転換です」


「どうしてこのタイミング?」


「パーティーメンバーの夏休みが終わって、平日はソロになるんで。去年も9月から2か月くらい北海道に行ってましたよ」


「今回も2か月いるの?」


「その予定です」


「……18層の動画撮影が無くなるのは残念ね。九州ダンジョンで撮影は可能?」


 撮影か。どうして18層近くじゃなくて1層から10層くらいまでしか行かないとかと問われそうだな。

 どうするか……


「……撮影は無しでお願いします。帰ってきたらガンガン撮影しますんで」


 意味のない撮影にしかならないからな。


「分かったわ。ちゃんと戻ってきなさいよ」


「もちろんです」


 10層までのモンスターに負けるわけがない。

 ようやく伊達さんから解放されて、俺は仙台入口を後にした。


 





 九州ダンジョン。

 文字通り九州にあるダンジョンであり、九州山地を中心に、九重山、阿蘇山、霧島山にまたがる広範囲に入口のあるダンジョンとなっている。

 出てくるモンスターは豚と山羊。その豚肉が今回の目的、じゃない。Absorbスキルで8層までのモンスターを上限まで吸収するのが目標だ。


 翌日。朝から家を出た俺は、仙台空港へと向かった。そこから大阪伊丹空港経由で鹿児島空港へと降り立った。

 九州ダンジョンの入口は、由布院、阿蘇、竹田、高千穂、湯前、霧島の6箇所となっていて、阿蘇と霧島が特に人気で入口付近に多くの宿屋などが集まっている。

 観光で考えると由布院で温泉というのもありだが、ダンジョンの外は出入りする時だけしか用がない。

 由布院、竹田、高千穂、湯前は空港から遠いため、必然的に阿蘇と霧島が候補になったが、何となく霧島に行く事にした。空港からは直通バスが出ているので行くのは楽だが、飛行機が仙台から熊本も鹿児島も直通で飛んでないので、乗り継ぎが面倒だった。




 そんなこんなでやってきた九州ダンジョン霧島入口。

 入口にある協会の建物でロッカーを借りてから、早速ダンジョンへと入っていった。


 とりあえず、2層、4層、6層、8層のモンスターを上限まで食べる事。

 あとは10層を時間がある限り食べていく。どこまでいけるか分からないが、久々に限界まで食べてやろう。









 2ヶ月後。

 2層は2日、4層は3日半、6層は10日ちょっと、8層は3週間。そして、3週間で10層の豚モンスターを吸収し終える事ができた。計算上は、1日14kgを越える量の肉を食べ続けた事になる。頑張った!

 10層までのモンスターは全く脅威にはならなかったな。堂々と正面から受け止めたり、すれ違いざまに斬り伏せたり。戦闘の勘が鈍らないように、食べないけど稼ぐためにも16層とかに降りていった事もあった。


 久々に協会以外のダンジョンの外に出ると、そこはもう山の木々が赤や黄色に色づき始めていた。

 夏の終わりから秋の始まりまでを感じる事をこの2年間していないな。



 来た時と逆のルートで実家へと帰っていく。


「ただいまー」


「おかえりなさい。うん、問題なさそうね」


「いつも通りだよ」


「栄養バランスが崩れてるんだから、体調に異常が出てもおかしくないでしょ」


「2か月だから大丈夫じゃない?」


 母は俺の健康が心配のようだが、冒険者になってから風邪すらひいていない。ステータス強化は免疫力とかにも影響しているんだろうか。

 荷物を部屋に置いて着替えた俺は、リビングへとやってきた。


「はい、いつものようにお土産。父さんの焼酎、母さんのスイートポテト。瀬奈の肉は前と同じで送ってもらってるから」


「楽しみに待っておくよ。かおりんと悠斗には?」


「スイートポテトを多めに買ってきてあるから、それを渡すよ」


「うん、まぁいいでしょっ!」


 前回とは違ってお土産を用意しておいたので、瀬奈のチェックはクリアできたようだ。


「明日からはしばらく休み?」


「その予定。3日休んで、1日ソロで身体を慣らして、かおりんと一緒に潜るってスケジュールだな」


 2か月でどこまで強くなったのか、奥羽ダンジョンでしっかり確認するのが楽しみだ。


「その休みの間に悠斗から武器防具を受け取るの?」


「そうだぞ。悠斗から高校に来てくれって言われたから、明日行ってくる」


「そっかー。じゃあその時に私の包丁も受け取ってもらえる?」


「受け取ってなかったのか?」


「祐也より先に受け取るわけにはいかないでしょ。かおりんは既に受け取ってるけどね」


 そんな事、気にしないでいいのに。まぁ受け取ってないなら、一緒に受け取っておくくらいは問題ない。

 悠斗からはほぼ完成した報告を受けているが、かおりんの分も完成次第渡してあるんだろう。


 新しい武器防具か。それでドラフトホースの攻撃に耐えられるのか、一度試してみたいな。


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