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フードファイト・ダンジョン ~最高の食材とまだ見ぬ絶景を求めて最下層を目指します~  作者: 祐祐
第4章:北海道遠征

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56話:【sideかおりん】投擲特訓

「祐也さん、行っちゃったな……私も連れて行って欲しかったっす……でも高校を休むわけにはいかないし。お父さんとお母さんも高校中退させてくれないっすかね」


 祐也さんが北海道ダンジョンに行って初めての土曜日。


「それにしても、1人で奥羽ダンジョンに来るのも久しぶりっすね。祐也さんとパーティー組んでからは必ず一緒だったから……何か寂しいっすね……」


 いつもなら2人で奥羽ダンジョンに潜る所だが、今日からはしばらく一人ぽっち。早く帰ってきて欲しいっす。

 いや、祐也さんが戻ってきた時にビックリさせてやるっすよ!


 そのために、まずは投擲用の武器をダンジョン協会の直営店に買いに来た。

 投擲用の武器……色々あるっすね。小さいのだと投げナイフ、野球ボールサイズからハンドボールサイズまである鉄球、投槍に投斧。

 どれがいいのか分からないっす。


 という事で店員さんに色々と聞いて、野球ボールサイズの鉄球を10個購入。

 店員さん曰く、


「見つかりにくさなら小さい投げナイフがいいですが攻撃力が低いですね。一方で投槍や投斧は攻撃力が抜群です。ただ、投げナイフもそうですが、投げにくさ、当てにくさが欠点です。

 それらの逆で、鉄球はとにかく投げやすくて、当てやすいです。球状ですから変な動きをしないので、初心者向けですね。ただ、尖っている訳では無いので、モンスターにダメージを与える事を考えると微妙です。余程の球速を出したり、重くないとダメージになりませんから。それに転がっていってしまうので、投げた後の回収が面倒だったりします」


 という事だった。でも、私の場合はモンスターに少しでもダメージを与える事が目的であって、大ダメージは考えないでいいから、当てやすさで鉄球がいいと判断したっす。ソフトボールサイズとも悩んだけど、重さが倍近く違ったのと、持ちやすさを考慮して野球ボールサイズにしたっす。

 そこそこのお値段がしたけど、祐也さんのおかげでかなり懐は温かいので即決。

 しっかりと当てて、無くさないようにするっす!




 鉄球をカバンに入れて、ダンジョンの中へ。鉄球は1つ1.6kg。運搬スキルのおかげで300gちょっとの重さにしか感じないから、これがどこまでモンスターに通用するのかは不安だ。

 軽く走って進んでいき、第3層に到着。私のレベル的にはもっと下層に行くべきだけど、今回は投擲の練習である事、第4層・第5層は竹林でモンスターが見つかりにくく、遠距離から投げる事が難しい事、第6層・第7層は泥だらけは嫌という事で、第3層しかないっす。

 第8層でも大丈夫なレベルまで上がったらそこがいいけど、とにかくレベル上げよりも投擲スキルの練習っすよ!



 カバンから鉄球を1つ取り出して右手に持ち、左手にはもう1つ鉄球を持った上で盾も持って構える。


「ミニポニーとミニベアを倒すのって、祐也さんとパーティーを組む前のレベル上げ以来っすね。あの時はレベル10で、今はレベル30。あれから3か月も経ってないっすよ。

 ……改めて考えてヤバいっすね、あのパワーレベリング。他の人でも簡単にこれくらいのレベルまで上げられちゃうから。有能なスキル持ちなら……

 ダメっす! そこは私のポジションっす! 運搬だけじゃなくて、もっと役に立つっす!」



 気合を入れ直して、モンスターを探していく。

 ジョギング程度に軽く走って10分ほど、ようやく先の方にミニポニーを発見した。


 ここから当てられたらベストっすけど、さすがにこの重さの鉄球がそこまで届くとは思えない。

 正確に当てられるようになる事と同時に、射程距離はどれくらいかを確認しないといけない。

 まずこのミニポニーは、ある程度の近さから当てよう。


 食事中のミニポニーはまだ私に気づいていないので、ゆっくりと近づいていく。

 残り20mくらい?

 これくらいなら投擲スキルの効果もあって当たるはず。そんな直感が私にはあった。


 そっと地面に盾を置き、振りかぶって鉄球を投げた。狙いは当たりやすい胴体の真ん中。

 指先から離れた瞬間、鉄球が空気を切り裂くシュッという鋭い音が響く。鉄球は勢いよく飛んでいくが、


 ドンッ


 ミニポニーの直前で失速して、胴体の下の地面へと落ちて、そのまま転がっていった。

 思ったより沈むっすね。バスケットボールの感覚よりも沈むのが早い。やっぱり大きさより重さが影響してるのかな。


 その音にもちろんミニポニーが反応した。こちらに気づいたミニポニーは私に向かって突進してくる。

 すぐさま左手に持っていた鉄球を右手に持ち替え、置いていた盾を左手に構える。


 一度盾で受け止めて、と思ったがまだ距離がある。

 今度こそ!

 再び投げた鉄球は一直線に向かってくるミニポニーの首元を狙った。私の鉄球に気づいてミニポニーは避けようとしたが、


 ゴンッ


 避けきる前に鉄球が首の横側へぶつかり、その衝撃でミニポニーは倒れた。

 私はすぐさま駆け寄り、盾を振り上げて倒れたポニーの頭部に叩きつけた。数回叩きつけるとポニーは動かなくなったので、念の為、近くに落ちていた鉄球を全力で投げつけてみた。


「最初にしてはまずまず、なんすかね。もう少し慣れないとダメっすね。あ、最初の球はどこまで行ったっすかね……」





 そこから私は投擲の練習を重ねていった。

 土日は奥羽ダンジョンの第3層でミニポニーを相手に。止まっている状態でも動いている状態でも当てられるように、シチュエーションを毎回変えながら、自分の実力を確かめながら取り組んだ。


 そして平日は、高校の野球部やソフトボール部にお願いして練習に混ざって、キャッチボールの相手をしてもらった。運搬スキルを使わなくても球の重さは鉄球より軽いけど、数をこなすことで投げやすく、速さが出て、コントロールがつきやすい投げ方が分かってきた。

 ソフトボール部の人にはスカウトされたけど、土日は全て冒険者活動で埋まっていると言ったら諦めてくれた。投擲スキルを持ってる人は野球とかソフトボール上手そうっすね、と言ったら、強豪校には投擲スキル持ちが沢山いるらしい。レベルが高くてスキルがあれば、プロ野球選手にもなれるかも、という事だった。

 ……いや、私はならないっすよ。


 祐也さんが帰ってくるまでに、止まっていれば百発百中の精密送球ができるように頑張るっす!


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