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フードファイト・ダンジョン ~最高の食材とまだ見ぬ絶景を求めて最下層を目指します~  作者: 祐祐
第3章:パーティー

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48/51

48話:第10層

 冒険者と言っても十人十色である。

 なりたての新人もいれば、ダンジョンが出現してすぐからダンジョンへ挑み続けている古参まで。

 ラノベの異世界ものだとギルドによってランク付けされることが多いが、現実は依頼を受けることが無いため、ランクといったものは必要無い。

 それでも何かしらの形で冒険者のランク付けがしたい。して欲しい。

 そんな声があったのか無かったのか、いつの間にか掲示板では冒険者の実力を3段階に分類するようになった。



 ダンジョンの最高到達階層が第9層までの冒険者。彼らは初心者、初級者と言われる。ダンジョン協会で販売されている初心者向けセットも第9層までは問題ないと言われている武器防具であり、掲示板での非公式の分類ではあるが、公式のダンジョン協会もこの分類を認めているのではないかと噂されている。


 次が第10層から第19層までの冒険者。彼らは中堅と言われる。

 第10層は、モンスターの強さと戦い方が第9層までと比べて強力であり厄介になり、ここで躓く冒険者が多いこと。また、ここから地形などの環境がよりハードになっていくことから、第10層は1つの境界線となっている。

 ここを超えて行ければ立派な冒険者。一人前の冒険者となる。

 稼ぎも良くなり、1体持ち帰るだけで10万円以上となる。それだけ価値もあるが、モンスターが大きくなり、重くなる。そのため、運搬用のポーター同伴が常識とされている。つまり、第10層から先はソロではなく、パーティーでの攻略が前提となる階層となる。


 最後は第20層以上の冒険者。現時点で世界の上位層のごくわずかが到達している、人類の最前線。

 適正レベルも大きく上がり、100レベル以上でないと攻略できないと言われている。

 そんな彼らは上級者と呼ばれている。



 非公式であり、日本国内だけで呼ばれているものだが、国内では冒険者以外の一般人にもそこそこ通用する呼び方となっている。



◇◇◇



 第9層をどうにかクリアした翌日。

 無理な気もするが、第10層へやってきた。ダメだったらすぐに逃げれば良い。第6層でもそうだったのだ。


 第9層から階段を降りた目線の先に広がる景色は……山。右から左まで、巨大な山がいくつも並んでいる。そしてその間を縫うように渓谷が何本も走っている。

 一番近くにある渓谷は、剥き出しの岩がゴロゴロ転がっているように見える。飛騨ダンジョンの第4層の石を大きくした感じで、川が流れていてもおかしくないような環境だ。

 あの岩場に第10層のモンスターが生息している。岩場という足場の悪い中で戦わないといけないのが、この第10層からの特徴だ。奥羽ダンジョンでの最前線19層まで、こんな渓谷がずっと続いているらしい。

 第9層みたいな戦いやすい足場はとても良かったな。



 そんな愚痴を言っても始まらない。早速、渓谷に向かって歩いていく。

 渓谷までのわずかな草原にはモンスターはやってこないらしい。


 渓谷に入り、踏み出した一歩ごとに石がカラカラと音を立てる。強化してきた脚力をもってしても、この不安定な足場では満足に踏み込みが効かない。


 ヒュッ!


 突如、空気を切り裂く音が響く。

 反射的に頭を下げると、俺の顔があった場所を野球ボールほどの近くの石が通り過ぎ、背後の岩場にぶつかって砕けた。

 石が来た方向を確認すると、そこにいたのはストライクホース。奴は俺に背を向けたまま、さらなる弾丸を生成すべく、蹄で岩盤を打ち鳴らしている。


 速い。第9層までの突進とは攻撃の質が違う。


 次々と飛来する岩石。大きい岩は顔ほどの大きさだが遅く、小さい石は自動車よりも早い。俺は必死に回避し、岩陰を縫って距離を詰めていく。

 悪い足場で転ばないように進むのも厄介なのに、更に岩石が飛んでくるのは厄介極まりない。徐々に近づき、間合いに入り、剣を振るおうとした瞬間。


 ストライクホースが軸足を固定し、目にも止まらぬ速さで後ろ蹴りを放った。

 咄嗟に剣を立ててガードする。


 ガギィィンッ!


 凄まじい衝撃。足場が悪く衝撃を逃がしきれない俺の体は、それに耐えきれずに地面を数m転がった。


 ぐうっ


 蹴り自体よりも、その後の地面を転がった方がダメージはありそうだ。

 すぐさま立ち上がり、体勢を整えようとすると、追い打ちをかけるようにストライクホースが岩石を蹴り飛ばした。

 体勢を崩した俺に、回避の選択肢はない。

 素早く剣を構え、その腹で岩塊を受け止めた。


 ドガッ! ギュギィッ!


 剣から発せられた音がおかしい。手の平に伝わる不快な振動が、鋼の悲鳴のように感じられた。

 攻撃が止んだ隙に岩陰に隠れて剣を確認すると、刀身が目に見えて歪んでいる。


 この状態ではこのまま戦闘を続けるのは不可能だ。撤退することを決めて、止まないストライクホースの砲撃を精一杯避けながら、渓谷を駆け下りていった。


 これが第10層。一人前の冒険者への登竜門。

 まだ俺には高い壁のようだ。


 ディグダベアの吸収を終えたら、また次の一歩を踏み出さないといけないな。


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