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フードファイト・ダンジョン ~最高の食材とまだ見ぬ絶景を求めて最下層を目指します~  作者: 祐祐
第2章:飛騨特訓

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30話:飛騨第4層

 結局、飛騨ダンジョンの初日はミニバイソンの1体目を全て食べて、2体目も少し食べた所でお腹いっぱいになった。

 お腹が空くのを待っても良かったが、早めに寝て早起きして朝から肉を食べるべきだろうということにした。



 2日目の朝。

 階段近くなのでモンスターはやってこないはずだが、絶対ではないので枕元に剣を置いていたが、まぁ来ないよな。

 というか夜にダンジョンでモンスターを狩る人がほとんどいない。

 ダンジョンは夜になると陽が落ちて暗くなるからそうだろう。

 というか、ダンジョンという地下と思われる場所なのに陽がのぼっていて明るいのが不思議なんだが。



 ということで朝からミニバイソンを食べて、足りない栄養を補うためにサプリをしっかり飲んでから荷物を片してロッカールームにテントなどの荷物を置きに行く。

 往復しても15分もかからないから、大した手間ではない。



◇◇◇



『ミニバイソンの吸収上限に到達しました』

『ミニボアの吸収上限に到達しました』



 飛騨ダンジョンに来て6日目の夜。

 ようやく飛騨ダンジョン第2層の2体が吸収上限に到達した。


 2日目からは毎日朝に2kg、昼に3kg、おやつに1kg、夕食に3kgくらい、1日で9kg近い肉を食べ続けてきた。

 その結果、昨日の夜でミニバイソンもミニボアも5体分食べた所であり、ミニバイソンは25kg、ミニボアは22kgちょっとの肉を食べた計算になる。


 ミニバイソンは体重12kg、ミニボアは体重11kgらしいので、Absorbスキルについて予想している、体重の2倍の肉を食べると吸収上限に到達するというのと合ってるな。



 じゃあ明日からは第4層のモンスターを食べに行くか。

 夕食用に狩ってきていたミニバイソンを食べて、明日のために早めに就寝する。



◇◇◇



 翌朝、テント類をロッカールームに預けてから第4層にやってきた。

 第3層はいいだろう。


 階段を降りて第4層に到着した俺の目の前には、狭い草原とその先に小さな石がゴロゴロしている河川敷のような光景が広がっていた。

 奥羽ダンジョンの第4層とは違って視界はいいな。



 草原を通り過ぎて河川敷のようなエリアに入って奥へ進みながらモンスターを探す。

 事前に調べたが、ここに生息しているモンスターはマッドホースを倒すのにちょうどいい練習相手になりそうだ。

 そのモンスターが、


 ドンドンドン


 遠くから低い地面を蹴りつける音が聞こえてくる。

 剣を握り直してモンスターがやってくるのを待つ。

 すぐに岩場の影から姿を現したのは石を纏った牛、ロックバイソン。

 頭部と胴体に石の鎧を纏ったモンスターであり、とにかく重くて硬いのが特徴だ。



 こちらを確認したロックバイソンは、低い唸り声を上げながらこちらに向けて突進を開始した。

 スピードは大したことはない。だが、迫りくる重量感はマッドホースよりも大きい。


 突進を引きつけてから最小限の動きで横へ跳び、すかさず剥き出しの横腹に向けて剣を振り下ろす。


 ガキンッ!


 そこにあったのは肉ではなく石の壁だった。

 剣は弾かれ、痺れるような衝撃が手首を襲う。


 もっと威力を重視した攻撃をしないといけない。

 これがマッドホースを倒すためのちょうどいい練習相手になると思った理由だ。



 ロックバイソンはUターンをして再びこちらへ向かってくる。

 今度は剣を上段に構えて待ち受ける。

 突進を横に跳んで避け、体重を乗せて剣をロックバイソンの背中目がけて叩きつける。


 はあああぁぁっ!


 振り下ろされた一撃が、ロックバイソンの背中の鎧を真っ向から叩きつけた。

 ドガン、と重い衝撃音が響く。

 その瞬間、鎧の表面に白いヒビが走った。


 これならいける!


 その後も同じように突進を避けては剣を叩きつける。

 攻撃を繰り返すうちに動きが研ぎ澄まされていく。

 剣を振るスピード、叩きつける角度、腰の入れ方、足元からの力の伝え方。

 一振りごとに威力が増していく。


 パキィィン!


 そして遂に、ロックバイソンの石の鎧が乾いた音を立てて砕け散った。

 

 すぐにロックバイソンを追いかけて、鎧を失い、露わになったロックバイソンの背中へ、鋭く重い一撃を叩き込む。

 剣は鎧の隙間を通り、吸い込まれるように肉の奥へと達した。


 攻撃を受けたロックバイソンは、大きく血を吹き出しながら地面に倒れ込んでいった。

 その後すぐに、ロックバイソンを守っていた石の鎧はパラパラと地面に落ちていった。

 こうなったら死んだ証拠と書いてあったので、無事にロックバイソンを倒すことができたようだ。


 よーし。

 この調子で戦っていけばマッドホースにも通じる攻撃になるんじゃないかな。

 いい練習相手だったな。



 さて、倒したのでさっさと首を落として血抜きに取り掛かる。

 って重いっ!

 石の鎧が剥がれ落ちても30kgはあるらしいし、遠心力で身体が持っていかれそうになるが、両足を踏み締めてなんとか血抜きを終えた。


 次は首を落として、バラバラにして袋に入れてから階段まで持って帰る。



 途中でモンスターに襲われることもなく、無事に階段近くまで帰ってこれた。

 では! お待ちかねのレバ刺しハツ刺しタイムだ!



 まずは、ミニバイソンのものより一回り大きく、深みを増した赤さのレバー。

 塩を少しつけて口へ運ぶと、滑らかな質感が舌を撫でる。

 おぉ、舌に乗せた瞬間に溶け始めるのはミニと同じだがその密度が違う。

 ただ溶けるだけでなく、まるで高級なバターがゆっくりと染み渡るような、重厚でクリーミーなコクが押し寄せてくる。

 鼻に抜ける香りは清らかで、後味に残る甘みの余韻がいつまでも消えない。


 じゃあ次はハツ。

 醤油にくぐらせて、奥歯で一気に噛み締める。

 うーん、ギュッギュッとした心地よい弾力はそのままに、噛むたびに溢れ出す肉汁は、以前よりもさらに透明感を増しているのに、喉を通る時の手応えは驚くほど力強い。

 清涼感のある肉汁が口内に溢れたあと、良質な栄養が身体にスッと取り込まれていく感じがする。

 どちらもミニバイソンの上位互換って感じで美味しい。



 さて、レバーとハツを食べたので、次は肉を切り出していく。

 重い肉体から皮や骨を取り外していく。

 剣で大雑把に切った時にも思ったけど、鎧の中の肉は結構柔らかい。

 石の鎧に守られている環境だから、肉は硬くある必要がないってことかな?


 肉を切り終えたので、早速焼いて一口。

 柔らかっ

 部位としてはロースのはずなのに、箸でも切れるんじゃないかってくらいの柔らかさだ。

 そして噛みしめると、閉じ込められていた濃厚な肉汁が溢れ出す。

 柔らかいけど脂ではなく、ちゃんと赤身の旨味だ。

 これは塩だけでいけちゃうな。


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