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フードファイト・ダンジョン ~最高の食材とまだ見ぬ絶景を求めて最下層を目指します~  作者: 祐祐
第2章:飛騨特訓

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27話:飛騨ダンジョン入場

 白馬村に到着してすぐに飛騨ダンジョン白馬入口に向かう。

 ダンジョンができてから高頻度で運行されるようになったバスに乗って10分で白馬入口に到着した。


 ここは元々はスキーのジャンプ台があった場所らしいが、ダンジョンの入口ができてから解体され、周囲は仙台入口と同じように様々な冒険者向けの建物が建てられている。

 白馬駅からも街中からも近いので、比較的人気の入口となっている。

 ちなみに、隣にあるスキー場は変わらずに営業しているらしい。今はシーズンじゃないからやってないけど、冬になればスキーヤーと冒険者が入り乱れるカオスな光景が見られるんだろうな。観光地と死地が隣り合っている、ダンジョン時代らしい景色だ。




 そんなダンジョン入口周辺を歩き、ダンジョン協会の建物に入っていく。


「いらっしゃいませ。ご用件をお伺い致します」


「ロッカーのレンタルをお願いします」


「はい、では冒険者カードの提示をお願いします」


 ダンジョンの中で寝泊まりする予定ではあるが、テントとかの野営道具は一旦預けておく。

 あれを持って戦闘するのは面倒だからな。

 どうせ食べきれない分は協会に売るために毎日来るのだし。



 ロッカーにテントや寝袋、剣のケースなどを預けてからダンジョンに入っていく。

 第1層は全ダンジョン共通だとは聞いていたが、本当に奥羽ダンジョンとの差が分からない。

 スライムとダンジョンネズミを倒す必要はないので、さっさと第2層へ向かう。


 第2層に降り立って周りを見るが……あまり奥羽ダンジョンと変わらない。

 目の前に広がった草原と遠くに見える山。富山市から望む立山連峰ってこういう絵が多いよな。

 そして草原の遠くの方には黄金色が広がっていて、あれは多分米だろう。

 飛騨ダンジョンは米の一大産地だし。



 草原を山に向かって走っていく。

 長野からのバスの中で少しお菓子を食べたが、お腹はしっかり空いている。

 さぁモンスター、いや食材よ。早くおいで!




 しばらく走っていくと、右側からドスドスと重い足音が聞こえてきた。


 視界の先に現れたのは牛のモンスター、ミニバイソンだ。

 俺は剣を中段に構え、迎撃の呼吸を整える。

 だが、その背後からさらにもう一つ、地面を削る音が重なった。


 ミニバイソンの後ろから猪のモンスター、ミニボアが突っ込んできたのだ。

 ミニボアがミニバイソンを獲物として追いかけ回しているのか?

 ミニバイソンはこちらを確認したようで、明確に狙いを俺に定めて速度を上げて突進してきた。

 ミニボアをやり過ごすための盾か餌にするつもりかもな。


 まぁまとめて相手をするだけだ。第2層のモンスターだしな。

 ミニバイソンが目前まで迫ってきた。


 ガツンッ!


 剣の腹で突進を受け止めた瞬間に腕に衝撃が走るがバンブーポニーほどじゃない。

 右足で踏ん張り、その衝撃を逃がさず、コマのように左へ鋭く旋回した。


 はああッ!


 バンブーポニーにも放った回転斬りをミニバイソンの背中を目がけて放つ。

 ザシュッ! という音と共に、ミニバイソンの厚い背中の皮が裂け、鮮血が舞った。

 致命傷になったかは分からないが、ミニバイソンは勢いよく地面に転がっていく。


 だが、これ以上そちらを確認している暇はない。

 獲物を横取りされた形になったのかもしれないミニボアが、俺をターゲットに定めて突進してくる。


 ガンッ!


 再びミニボアの突進を剣の腹で受け止め、その衝撃を回転力へと変えて、流れるような動作で回転斬りを再び繰り出した。

 剣はミニボアの腹部に吸い込まれていく。


 攻撃を受けたミニボアはバランスを崩してゴロゴロと転がり、先に倒れていたミニバイソンにぶつかっていく。

 

 倒れて絡み合っている2体に近づき、上段から勢いよく剣を振り下ろす。

 ミニボアとミニバイソンの首を切り落とし、食材を無事にゲットした。




 2体同時を相手にするのって初めてだったけど、第2層で良かったな。

 これが第4層だったら面倒なことになりそうだ。


 さて、さっさと血抜きをしてから階段まで持って帰るか。



 ジャイアントスイングでの血抜きを終えて、内臓を取り出していく。

 どっちもバンブーポニー並に重いから血抜きも重労働だ。

 そして身体の大きさに合わせて内臓も大きい。


 内臓を取り出して、レバーとハツだけを他の肉と共に袋に入れて階段へ向かう。

 それにしてもやっぱり重い。


 第2層だから襲われても問題なくすぐに対処できると確信しているから2体持っていけるけど、第4層以上だとこの重さは危険だわ。




 数十分歩いて階段の近くまで戻ってきた。

 とりあえず、レバーとハツをさっさと食べてから肉に移ろう。

 カバンからナイフを取り出し、一口サイズに切り分けていく。


 ではまずはミニバイソンのレバーを塩でいただく。

 ふぅー。舌の上に乗せた瞬間、体温で溶けて噛む必要すらない。臭みもないし、濃厚な甘みが口いっぱいに広がる。


 次はハツを醤油で。

 こっちは噛み応えがある。噛む度にギュッとした弾力を感じる。そして噛むたびに清涼感のある肉汁が溢れ出す。


 続いてミニボアのレバー。バイソンに比べると色が明るく、見た目からして瑞々しい。

 口に入れると、バイソンの溶ける感覚とは違い、プリッとした瑞々しい歯ごたえがある。味はクセがなくて軽やかな甘みがあり、食べたあとには山の空気のような素朴で落ち着いた香りが残る。


 最後はミニボアのハツ。

 あっ、ミニバイソンのハツとは全然違う。コリッ、コリッとした小気味よい食感だ。噛むたびに鋭い旨味が弾ける。




 15分ほどで1kg近くあったレバーとハツを食べ終えた。

 さて、ここからどうしようか。

 ミニバイソンとミニボア。大体20kgくらいはありそうだ。

 もちろん骨とかを合わせた重さだから、肉は半分くらいだろうけど、食べきる前に悪くなっちゃうかも。

 じゃあ検証も兼ねてミニバイソンを食べて、ミニボアは一旦売ろう。



 では、ミニバイソンの肉に取り掛かろう。

 袋からミニバイソンの肉を取り出して、ナイフの刃先を喉元から尾に向けて、皮だけを割くように滑らせる。

 慎重に皮を剥いでいくと、赤身の肉がどんどん露わになっていく。


 そして四肢と背中の肉を部位ごとに切り分けていく。

 確かここがロースで、ここがバラ、ここがモモ。

 なるべく骨に肉を残さないように気をつけながら進めていくと、先ほどまでダンジョンを走り回っていたモンスターが食材へと姿を変えた。



 ここまでで大体30分ほどかかったか。瀬奈はいつもこんなことをやっているのか。ありがたいな。

 そして残った肉の重さは5kgほどだろうか。

 さて、どんどん焼いて食べるぞ。


 カセットコンロと網を荷物から取り出して、切りながら焼いていく。

 ロースの余計な脂は落ち、赤身の繊維が熱でギュッと引き締まっていく。

 それに塩を振って口へ運ぶ。

 肉の味が強くて、噛むたびに赤身の旨味が口に広がる。

 塩がその旨味を引き出してくれるな。



 そのままどんどん食べ進めていくが、バラの脂が少し重く感じてきた。

 そういえば瀬奈に持たされたタレがあったな。

 焼き肉で食べるって言ったら持っていけって言われたやつ。

 それを荷物から取り出して、少し舐めてみる。


 ニンニクの香りが強いな。でも果物の酸味があるな。りんごか?

 ってかこれって容器が売り物じゃないよな。瀬奈が作ったのか?


 うん、これならバラの脂もいけるんじゃないか。

 早速、そのタレを肉にかけて口に運ぶ。


 旨っ!

 果物の爽やかな酸味がバラの脂を包み込み、ニンニクのパンチが食欲を更に引き上げてくれてる。

 重かったはずの肉が、吸い込まれるように胃に収まっていく。

 このタレさえあれば、まだまだいけるぞ。




 結構食べたけど、さすがに全部は食べきれないな。

 でも半分は食べたし、一旦片付けて上に戻ってミニボアを売って、シャワーを浴びてから野営の準備をするかな。


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