表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
フードファイト・ダンジョン ~最高の食材とまだ見ぬ絶景を求めて最下層を目指します~  作者: 祐祐
第1章:ダンジョンとスキル

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

20/24

20話:バンブーポニー料理

 重いバンブーポニーを一旦冷蔵ブースに預けるために地上に戻った。

 再びダンジョンに向かう前に、瀬奈にバンブーポニーを持って帰ることをメッセージで伝えておく。

 あの美味しいレバーとハツを超える料理になるのだろうか。

 夕食を楽しみにしつつ、午後はしっかり稼ぐか。




「ただいまー」


 バンッ!


「待ってた!」


 午後のミニポニー2体の討伐を終えて家に帰ってきたら、すぐに勢いよくリビングの扉が開けられた。

 いや、なんでそんなにテンション高いんだよ。

 どんだけ料理好きなんだか。


「いつも通り外の洗い場に置いてるぞ」


「オッケー! 今日の夕食で何かメニューの要望ある?」


「うーん。馬刺しは欲しいかな」


「それ、ほとんど調理しないじゃん。まぁ他に桜鍋も作るからいいんだけど」


 そう言って庭に走っていく瀬奈を見送る。

 さて、夕食ができるまでゆっくりするか。



◇◇◇



 祐也からのメッセージを見て、解体用のナイフはもう洗い場にセットしてある。

 外に飛び出すとバンブーポニーが待っていた。

 サクッと解体してやろうじゃないの!



 解体を終え、まずは祐也からのリクエストである馬刺しから取り掛かろう。


 一番鮮度の良いロースの塊を贅沢に切り出していく。包丁を入れるたび、美しい赤身の断面がしっとりと吸い付くような輝きを放っている。

 薬味には、定番のおろし生姜とおろしにんにくを準備して。

 透き通るような薄切りにしてもいいけれど、今日は噛むほどに溢れる甘みを楽しめるよう、あえて少し厚めにスライスして皿に並べる。馬肉の真っ赤な肉と白い脂身のコントラストは何度見てもキレイよね。

 仕上げに甘口の醤油を添えれば、目にも鮮やかな馬刺しの完成!


 あとは手慣れた手順で、ステーキと桜鍋を準備する。

 滋養強壮スキルを使ってレベルも上がってきたし、たくさん調理して料理人としてのレベルも上がってきた……気がする!



◇◇◇



「夕飯できたよー」


 下から聞こえてくる瀬奈の声を聞いて、リビングに向かう。

 今日もテーブルには沢山の料理が並んでいた。


 それにしても肉を持ってきてから2時間くらいでよくここまで作れるよな。

 調理スピードが上がるようなスキルは持ってないと思うんだけど。

 スキルの使用でレベルが上がっているのかな。


「さぁさぁ。今日は祐也が持って帰ってきたバンブーポニーを使った料理だよ。

 馬刺しとステーキと桜鍋の3つを用意しました。

 まぁ調理時間の半分以上は肉に解体する作業だったけど」


「いただきます」


 オーダー通りに馬刺しもあるな。

 まずは馬刺しからいただこう。

 バンブーポニーの赤身は、ミニポニーのそれよりも深い赤色をしている。醤油に浸し、おろし生姜を添えて口に運ぶ。

 なんだこの弾力! 歯を押し返すような力強い弾力があるのに、次の瞬間には吸い付くように解けていく。

 噛むたびに溢れ出す濃厚で雑味のない血の旨味がすごい。箸が止まる気配が全く無い!


 あっという間に俺用に盛られていた馬刺しを食べきってしまった。

 さて、次はステーキだ。

 焼き上げると肉がキュッと締まるのか、ナイフを入れる手に伝わる手応えがミニポニーとは別物だ。一口サイズに切り分けてから口に運ぶ。

 脂が少ない分、肉本来の野生的な味がダイレクトにくる。噛みしめるほどに旨味が湧いてくる。

 美味しいけど、俺は馬刺しの方が好みだなー。


 ステーキも全て平らげたので、最後に桜鍋だ。

 目の前の鉄鍋の中で赤色の肉がグツグツと煮込まれている。バンブーポニーの引き締まった赤身は、煮込んでもなお、その存在感を失わないようだ。

 肉を取り、溶き卵にくぐらせて頬張ると、甘辛い味噌のコクの中から肉本来の力強い旨味が溢れ出す。ステーキとは違ってしっとりとして噛み切りやすいのもあって、スルスルと胃袋に吸い込まれていく。

 肉と一緒にクタクタになったネギと春菊を食べれば違った旨さがあるし、それらの旨味を吸い込んだ豆腐もいい味を出している。米にも合うな。



「明日からの弁当はバンブーポニーの肉を使ったものがいいんだよね?

 肉多めの桜鍋をスープジャーに入れてもたせる形でいい?」


「おう、それで頼んだ」


「了解。じゃあ夕飯では馬刺しとステーキメインで、桜鍋は今日と同じように野菜多めにするね」


「ステーキよりも馬刺し多めがいいな」


「じゃあおかわりも馬刺しがいい?」


「イエス」


「ラジャー」


 そう言って再びキッチンに戻っていく瀬奈を見送りながら、まだ鍋の中で煮込まれているバンブーポニーの肉を野菜と一緒に口に頬張る。


 それにしても、こんなに食べているのに全然太らないんだよな。

 筋肉になった分だけ重くはなっているけど、冒険者として活動しているから消費カロリーが増えているんだろうか。

 それともカロリーとして吸収されているんじゃなくて、ステータスとして吸収されているから太らない、ってことなんだろうか。

 誰か教えてくれないかなー。



「はい、追加の馬刺し。おかわり必要だったらまた言ってね」


「ありがとう。いただきます」



◇◇◇



 翌日からはミニポニーを討伐して稼いだり、家族の食事用に持って帰ったりしながら、昼食の弁当と家での弁当でバンブーポニーの肉を食べる生活が始まった。

 瀬奈にどれだけの肉を俺の食事に使っているかを改めて確認した所、基本的に毎日昼食で400g、夕食で1kgの肉を俺には提供すると決めていた。

 少しでも早く強くなりたいし、キリが良くないので昼食は500gにしてもらい、ダンジョンに向かった。



 そしてバンブーポニーを狩った日から4日後。


「今日の夕飯でバンブーポニーが無くなるから持って帰ってきて」


「分かった。狩ったら連絡するわ」


 瀬奈からの在庫補充の要請を受けて、午前中は第4層に向かった。

 竹林までの草原をさっさと駆け抜け、竹林の中へ進んでいく。




 まだ竹林は2回目だから慎重に足を進める。

 どこからバンブーポニーがやってくるかを五感をフルに活用して奥へと進む。


 ヴォー


 30分ほど進んだ所で、モンスターの鳴き声というより雄叫びに近いものが聞こえてきた。

 この間はバンブーポニーの鳴き声を聞けなかったので分からないが、おそらくバンブーポニーではない。

 この低音は馬じゃなくて熊だろう。


 ということは、


 ガサガサッ、パキッ!


 竹林の奥から徐々に音が近づいてくる。

 バンブーポニーより音を立てないように、という考えは少なそうだ。

 剣を構えて音のする竹林の奥を見据える。


 ガサガサッ!


 竹をかき分けながら奥から現れたのは想定通り熊、バンブーベアだった。

 体長は第3層のミニベアと同じくらいだが、ミニベアよりもスリムであり、俊敏な動きで竹を縫うように走ってきた。


 体長80cmほどと小柄ではあるが、太い腕から繰り出される鋭い爪が空を裂いて振り下ろされる。

 俺は逃げずに一歩踏み込み、真っ向から剣を爪にぶつけにいった。


 ガギィィィン!


 剣と爪が悲鳴を上げる。

 第3層よりも強い衝撃が腕に伝わるが、押し負けたのはバンブーベア。まだ力負けはしないようだ。


 双方の武器が弾かれ、一瞬の空白が生まれる。

 俺はあえて仕掛けず、カウンターの構えを取った。


 怒りに目を血走らせたベアが、左右の爪を交互に叩きつけてくる。

 乱雑な連続攻撃。それを最小限の動きで剣を使って弾き流していく。


 数秒間の攻撃の最後に、大きく外側に受け流した刹那、がら空きになった胴体へ、鋭いカウンターの一閃を浴びせた。

 刃がバンブーベアの脇腹を裂き、鮮血が竹林の地面を汚す。

 そこそこの傷により出血は止まらず、先程までの勢いが嘘のようにベアの動きが鈍った。

 それでも必死に爪を振るってくるが、もはや脅威ではなくなった。


 淡々とその攻撃を弾き返し、カウンターを重ねていく。

 やがて、傷だらけになったバンブーベアは、ついに攻撃の手を止め、防御の姿勢を取った。


 それならば、こちらから攻めるしかない。

 一気に間合いを詰め、上段から剣を振り下ろす。

 それを防御しようと両腕を上に持ち上げ防御の構えをとったバンブーベアだが、それを予想していた俺は踏み込みの勢いを腰の鋭い回転へと転換した。剣がしなるように横へ流れ、その流れの頂点で手首を鋭く返す。空中で形を変えた斬撃は、次の瞬間には横一閃の軌跡となって無防備となったバンブーベアの胴へ吸い込まれていった。


 大きく斬り裂かれたバンブーベアは断末魔すら上げられず、ゆっくりと横倒しになった。

 バンブーポニーを狙っていたのにな。

 まぁバンブーベアも倒せたから良かった。ただ、これが更に大きくなって力が強くなったら手に負えないんじゃないか……

 バンブーベアも食べることでどこまで強くなれるかが肝だな。



 倒したバンブーベアを放置せずに、早速いつも通り血抜きに取り掛かり、内臓を取り出す。

 そして袋にバンブーベアの肉と肝臓、心臓を入れて階段へと戻る。

 バンブーポニーより軽いので2体なら持てそうだが、次がバンブーベアとは限らないし、竹林という視界が悪い中で食べるのは危険なので安全第一でいくことにする。


 30分ほどで階段まで戻り、今回は全てレバ刺し・ハツ刺しでいただくことにした。

 まずはレバーを塩で一口。

 口に含んだ瞬間、舌の上でとろりと広がる圧倒的な脂の甘み。サクサクとしたバンブーポニーの食感に対し、バンブーベアのそれはまったりと絡みつくような濃厚さがある。噛みしめると、内包されていた重厚なコクが口の中に溢れ出してきた。


 次はハツだ。ハツは切り分ける段階から刃を押し返してくるような弾力があった。

 こちらは、おろし生姜を多めに入れた醤油で一口。

 一切れが小さいながらもその歯応えはバンブーポニーの比ではない。グイッ、グイッ、と何度も奥歯で噛みしめる。噛むたびに赤身の肉質の中に閉じ込められていた野性の味が少しずつ染み出してくる。

 それは荒々しいようでいて、不思議と嫌な臭みはない。



 さて、レバーとハツを食べ終えたので、一旦地上に戻ってきた。

 予定変更で、バンブーポニーじゃなくて、バンブーベアを狩ったから調理よろしく、と。

 瀬奈はどんな料理にしてくれるかな。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ