表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
フードファイト・ダンジョン ~最高の食材とまだ見ぬ絶景を求めて最下層を目指します~  作者: 祐祐
第1章:ダンジョンとスキル

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

18/25

18話:第4層

 次の日は1日休みにした。

 次は第4層だから新しいモンスターが生息している。そのため、体調を万全の状態にすべきだと判断した。

 ついでに貯まったお金で少し装備を追加することにした。仙台駅前の協会支部にある直営店に行き、籠手と靴を購入した。

 共に最初に買ったプロテクターと同じようにポリカーボネートとアルミ板が使われている。

 まだ防具のお世話になったことはないが安全第一だ。

 



 装備の強化も完了して、その翌日は第4層へ向かった。


 第3層から第4層への道もこれまでと変わらず、右前方に進んでいくと階段があった。

 生息しているモンスターは変わっていくのに、この階段の位置だけは変わらないのはどういう理屈なのだろうか。

 この先の階層も環境が変わっても同じらしいし。利便性のためのゲーム的な親切設計なのか、冒険者をより深くへ誘うための罠なのか。

 全くダンジョンというのは不思議な場所だ。



 今までと同じように1分ほど階段を降りていくと第4層に到着した。

 目の前に広がる草原は第3層までとは異なり狭く感じる。

 その代わりに草原の先には鬱蒼と茂っている竹林が広がっていた。


 そして第4層・第5層に生息しているモンスターはこの竹林に関連した特性がある。

 それは、笹の葉に似た模様の毛皮を纏っていて、冒険者を不意打ちで攻撃してくるというものだ。

 いかに不意打ちをくらわないか、先にモンスターを見つけ出せるかが重要になってくる。



 腰の剣を手に取り、竹林に向けて進んでいく。

 この階層でも生息してるモンスターは熊系統と馬系統の2種類。

 というか、奥羽ダンジョンで判明しているのは、スライムとダンジョンネズミ以外は全て熊と馬だ。

 日本国内にある他のダンジョンとは違う系統であり、国内のダンジョンで系統が全てバラバラになっているのは、ダンジョンの意図があるのだろうか。


 いや、今はそんなことは考えずにモンスターに集中しよう。


 草原と竹林の境目まで来た所で、改めて気合を入れ直して竹林へ入っていく。

 竹林の中は空からの光が差し込んでいて薄暗い感じはしない。

 また、竹の太さもそこまでではないので、視界は悪くない。

 それでもなかなかモンスターには遭遇しない。




 竹林の中を歩き続けること20分。

 これだけの時間集中し続けることは結構精神的に疲れてくる。


 シャッ! サササッ!


 風に吹かれた竹が発していた音とは異なる音が聞こえてきた。

 咄嗟に剣を身体の前に斜めに構え、防御体勢を取る。


 モンスターの姿は確認できない。

 竹に紛れて見えにくくなっているのだろうが、それにしてもこの環境はモンスター側に有利だ。

 こちらは補足されていると判断して、その体勢のまま少しずつ後ろに下がって、少し前に通り過ぎた竹の少ないエリアに向かっていく。


 それにも関わらず、じわじわと竹の葉がこすれる音が近づいてくる。


 ガサガサッ


 分かりやすい大きな音が右側から聞こえてきたので、左に避けながら、素早く身体を右側に向ける。

 その目の前には、明るい緑と暗い緑の迷彩模様を身に纏った馬が迫っていた。


 身体の前に構えていた剣を握る手に力を入れて衝撃に備えると、その直後に剣の平にモンスターがぶつかった衝撃がやってきた。

 体勢が万全ではなかったので無理に受け止めようとはせずに、その衝撃を利用して後ろに飛び退く。


 地面に着地して体勢を直す前に、モンスターは再び接近してきた。

 しかし不意打ちではなく、姿もしっかり見えている状態では脅威度は大きく下がる。

 冷静に右前に一歩踏み出し、突進攻撃を避けながら、ミニポニーと同じように頭部を狙って斜めに剣を振り下ろした。

 ミニポニーならこれで攻撃が当たる所だが、このモンスターはこちらの攻撃に反応して身体を左側へと倒しながら回避しようとした。

 少しでも当たるようにと、動きに合わせて腕を伸ばす。


 かろうじて剣はモンスターの側面に当たり、浅く胴体を斬り裂いた。

 少しでもダメージが入れば出血をするし、痛みで動きが鈍るはずだ。

 冷静さを失ってもらえたら更に好都合だ。



 それでもあの状態から避けるか。

 これが第4層の馬系モンスター、バンブーポニー。

 大きさは第3層のミニポニーと同じくらいだが、身体は引き締まっていて、スピードはミニポニーよりも早い。

 第4層からは環境を上手く使ったモンスターが生息しているので、そこにどう対応できるかが鍵となっているとは聞いていたし、動画で見たこともあるが、やっぱり生で見ると違うものだ。


 ダメージを受けたバンブーポニーはこちらと距離を取り、こちらを警戒しているようだった。

 大きなダメージでないとしても、ダメージを受けたので危険な相手と認識したのだろうか。


 あの素早さは厄介だが、こちらのカウンターを気にせずに突っ込んでくるのではなく、避けようとしてくれるなら戦いやすい。

 冷静にまずはしっかりと避けること。その中で攻撃を見せれば安全に避けられるはずだ。

 これがダメージを受けることを顧みずにこちらを攻撃してくるようなモンスターだったら、剣を防御に全振りしないといけなかった。


 

 互いに動かずに膠着状態となったが、それならと剣を低く、下段の構えに変えて、バンブーポニーにすり足で近づいていく。

 俺が近づいていることにバンブーポニーも気づいたようで、体勢を低くした。

 間合いまであとわずかという所で低い姿勢のままバンブーポニーが再び突進してきた。


 ここっ!


 下から吸い込まれるように放たれた突きが、突進の加速をそのまま威力に変える。

 鈍い感触と共に、剣先がポニーの胸元を深く突き刺した。

 バンブーポニーの勢いは剣の中程で止まったので、刺さったバンブーポニーの胴体を右足で正面から力強く蹴りつけた。

 蹴撃の反動を利用し、全体重を後ろへ預けて剣を強く引き戻す。

 剣が引き抜かれ、支えを失ったバンブーポニーは、そのまま後方へと倒れた。

 すぐさま近づき、剣を振り下ろし首を切り落とした。



 ふぅ。

 こちらの動きに耐えきれずに突進してきたから良かったが、最初のように避けようとしてたら突きが当たらずに逆にこちらがカウンターを受けた可能性もあるな。

 やっぱりスキルで徐々に強くなっていたとしても、それ以上にモンスター側の強さの方がより上がっている気がする。

 一瞬たりとも気を抜けなくなってきたな。


 よし、反省終わり。

 血抜きをしてから内臓を取り出して、レバーとハツを食べてから肉を持って帰るか。

 突き刺した際に内臓を傷つけてないかと心配したが、問題は無かった。

 心臓までは届かず、肺や食道が大ダメージだったようだ。


 内臓を取り出して食べようかと思ったが、思った以上に大きい。

 肝臓と心臓を合わせて500gはあるな。


 ここで食べるのは危険と判断して、肉と心臓、肝臓をそれぞれ袋に入れて階段へ向かう。

 ずっしりとした重さを感じる。1体でミニベア2体より重いと思う。

 少なくとも、これを2体持っていくのは危険だな。



 そのまま竹林を抜け、階段近くまで30分以上かけて辿り着いた。

 ここまでくれば問題ないだろう。

 背負っていた荷物を地面に置き、カセットコンロとナイフを取り出してレバーを一口サイズに切りながら焼いていく。


 うわぁー。

 ミニポニーよりも濃厚な旨味を感じる。味と食感の違いを感じながら交互に食べ進めていく。

 更にここに荷物から取り出した醤油とにんにくと生姜をつけて食べていく。

 うん、持ってきておいて良かった。いくらでも食べられそう。




「おお、バンブーポニーの内臓を食べてる子がいるぞ」

「放っておきなさいよ。それに内臓が好きな人は多いでしょ。肉よりは流通しないから、その場で食べるのもおかしくないし」

「でもそれならもっと下のやつを食べるだろ。あー、今夜は内臓を宿に持ち込んで焼き肉にしようぜ」



 階段近くで食べていたため、他の冒険者に見られていたようだ。

 でも竹林の中は危険だったから仕方がない。

 階段の周囲数百mは何故かモンスターが近づかないエリアだから、ここまで来れば安心して食べられるし。

 まぁおびき寄せたり、逃げながら連れてきた場合は例外で階段そばまで来るらしいけど。


 それにただ食べている訳じゃなくて、強くなるために食べてるんだから、皆がモンスターを倒してレベルアップをするのと同じことをしているんだ。

 何もやましいことは無い。



 黙々と食べ続けていくが、途中でカセットコンロのガス缶が空になってしまった。

 まぁ新鮮だから生でもいけるだろう。レバ刺し、ハツ刺しもあるわけだし。

 レバーを一口サイズに切り分けて、生のまま生姜醤油にくぐらせて口に放り込む。 

 甘い。焼いた時のコクとは違う、瑞々しい甘みが口いっぱいに広がる。サクッとした歯切れの良さは生ならではなのだろう。


 続いてハツも一口。

 ゴリッとした強烈な弾力が歯を押し返してくる。噛み締めるたびに、肉の隙間から雑味のない澄んだ肉汁が溢れ出してきた。生臭さは微塵もなく、ただひたすらに真っすぐな、赤身肉の濃い旨味だけが広がっていく。



 全てのレバーとハツを食べ終えた頃には、すっかり昼食の時間となっていた。

 弁当は……問題なく食べられそうだな。

 そして午前中はバンブーポニー1体倒してレバーとハツを食べただけで終わってしまった。


 まぁ仕方がない。バンブーポニーは持ち帰り用に冷蔵ブースで保管してもらって、その後は金稼ぎ用に第2層のミニポニーでも仕留めるか。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ