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フードファイト・ダンジョン ~最高の食材とまだ見ぬ絶景を求めて最下層を目指します~  作者: 祐祐
第7章:最前線

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116話:ミッション

「祐也さん、おはようっす」


「おはよう、かおりん」


 2ヶ月の富士山ダンジョン遠征から帰ってきた週末。

 再びかおりんと奥羽ダンジョンに潜る日常が帰ってきた。


「お土産どうする? 今渡していい?」


「今もらっておくっす。いつもどうもっす」


「いや、2ヶ月レベル上げできなかったからな。そのお詫びだよ」


「いやいや。こっちがいつもレベル上げしてもらって、しかも稼ぎも折半にしてもらってるんで、お詫びなんてとんでもないっす。でもお土産はありがたくいただくっす」


 1人でダンジョンに潜るのもいいが、やっぱり仲間と、かおりんと潜る方が楽しいな。


「家族で食べてくれ。さて、今日からはまたかおりんのレベル上げだな」


「23層に移ってからレベルが上がるスピードも早くなったっすからね。夏休みの間にでどこまで上がるか楽しみっす!」


 流石にレベル100は無理だろうけど、高校卒業までなら到達できるかな。

 そのためにも、23層よりも下の階層でもレベル上げに適した階層を探さないと。


「2ヶ月でどれくらい強くなったんすか?」


「正確な所は分からないから、今日の帰りにマシンで確認する予定だ」


「レッグプレスは前回920kgでしたっけ。それなら、今回1トンいくかもしれないっすね! 世界初っすかね!」


 何故かかおりんのテンションが高い。レッグプレスでテンション上がるか?


「どうなんだろうな。でも、高レベルの運搬スキル持ちなら1トンいけそうじゃない?」


「……確かにそうっすね。でも、そんな高レベルの運搬スキル持ちいるんすか?」


「……かおりん、一緒にマシンやっていこうか」


「えっ……い、いやー、私は遠慮しておくっす」


「運搬スキルの効果で、俺より重いの持てそうじゃん?」


「私はレベル分かってるんで大丈夫っす!」


 試しにやってみて欲しかったが、そこまで拒絶するなら無理強いはさせられないな。


「……運搬スキルの効果だとしても、祐也さんより力持ちって数値ではっきり出るのは嫌っす……」









「ちゃんと帰ってきたわね」


「伊達所長、お久しぶりです。そりゃちゃんと帰ってきますよ」


 いつものように録画用のドローンを借りるために協会の受付へ行くと、すぐにドローンと共に伊達さんがやってきた。

 受付の人に俺が来たら呼ぶようにと言ってあったんだろうか。


「また強くなったのかしら?」


「もちろんです。帰りにマシンで数値は確認します」


「どんどん強くなっていくわね」


「まぁ立ち止まるつもりは無いですよ」


 その言葉を聞いて、伊達さんがニヤリと笑ったように見えた。


「24層には挑戦するの?」


「多分近いうちに。でも、夏休みになったらレベル上げに専念するんで、本格的には9月になってからですね」


「じゃあ来週?」


「うーん。来週は3日間休まなきゃいけないんで、ソロは2日間しかないんですよね。挑戦するなら4日間連続の方がいいんで、再来週ですかね」


 富士山ダンジョンから帰ってきたのは一昨日の木曜日。母との約束で、本来はそこから3日間休むのが通例だったが、それだと今週はかおりんのレベル上げができない。そのため、母と瀬奈に来週火曜・水曜を休むから今週は昨日だけの1日休みとして、土日はダンジョンに潜る事を許可してもらった。

 一切情報がない24層への挑戦を2日間やって、かおりんのレベル上げ2日間、1日休み、というのはちょっと不安というか、時間が足りなかったら嫌だなという感情が俺の中にあった。


「再来週か。月曜日はいつも休みにしているようだし、火曜日の7月13日でいいかしら?」


「まぁそうなりますね。でもあくまでも予定ですよ?」


「分かった。ちょっと頼みたい事があるから、13日は朝に必ず受付に寄ってちょうだい」


「頼みたい事、ですか?」


「あぁ。ちょっとした護衛任務よ。ダンジョンの中でも外と変わらずにスマホが使えるのは理解しているよね?」


「もちろんです」


 スマホが使えるから、配信もできるんだし。


「だが、ダンジョン内では普通に考えれば電波が届かず、スマホは使えない。そこで、開発されたダンジョン用通信基地局を設置しているんだが、仙台入口はまだ23層までしか基地局が設置されていない。

 そこで、24層でも通信ができるようにするための基地局を設置する必要がある。その設置の護衛をお願いしたいのよ」


 そういえば基地局があるからダンジョン内でもスマホが使えるんだったな。

 そして、アプリで出口の方向が分かるのも、その基地局の電波から分かるって話だったはず。


「分かりました。というか、奥羽ダンジョンだと最上さんの23層が最高階層だったはずですが、23層に基地局が設置されているって事は、仙台入口でも23層に進んでいる冒険者がいたんですね」


「そうなのよ……まぁあいつは安全第一で、最上君が調べたモンスターや地形の情報を確認してから、1週間遅れくらいで最高階層に進んでいく奴でね。実力は最上君よりも上だと思うんだ。だから冒険してどんどん進んで欲しいんだけど、強制はできないからね」


 伊達さんがやれやれと軽くため息を吐きながら教えてくれたが、何か問題ある人なんだろうか。


「同じ仙台入口だし、そのうち伊藤君も顔を合わせる事があるかもしれないけど、悪い奴じゃないからね」


 悪い奴じゃないから、なんて言うって事は、きっと第一印象は良くないって事なんだろう……

 会わないで済むといいんだが。


「じゃあ13日によろしく」


「分かりました。待たせた、かおりん。行こうか」


「終わったんすね。行きましょう!」


 とりあえずは13日の基地局設置の護衛か。

 というか、護衛って必要なの?








「こんにちは、依頼を受けに来ました」


「お待ちしておりました。すぐに呼んでまいります」


 富士山ダンジョンでの遠征で強化されたステータスでの23層の戦闘は、以前よりも楽に、早く倒せるようになっていた。

 マシンで調べた感じだと、レッグプレスは1トンを越えており、推定レベルは180となっていた。

 通常はレベル上限があるから、ステータスの上昇にも上限があると思うが、Absorbスキルには今のところ上限がある気配はない。

 とはいえ、モンスターが強くなって大きくなっていけば、上限まで吸収するのにかかる時間は増えていくから、上がりにくくはなるだろう。まぁ美味しい肉を食べられて幸せだし、いける所までいくだけだ。


「待たせたわね」


 受付の奥から伊達さんと4人の男性が現れた。

 男性たちはそれぞれに大きな荷物を背負っているが、あれが基地局の装置なんだろうか。


「伊藤君にはこの4人の護衛をお願いするわ。24層まで行って、基地局を設置して帰ってくるだけよ。階段近くに設置するからモンスターに襲われる事はないと思うけど、新しい階層では何があるか分からないから、護衛は念のためよ」


「分かりました。地上までちゃんと連れて帰ってきます。ちなみに、設置の時間はどれくらいかかるんです?」


「色々とコードを繋いだり、ちゃんと動いているか動作確認をしたりするけど、昼前には帰ってこれるはずよ」


「分かりました。午後からは24層に行っていいんですよね?」


「もちろん。むしろこちらからお願いしたいくらいだわ。ただ、24層ではドローンでの録画ではなく、協会とWEB会議で繋いで欲しいのよ」


 WEB会議?


「何故WEB会議なんですか? 録画でいいと思いますけど」


「何があるか分からないからよ。あと、24層の植物や鉱石を持ち帰ってもらいたいから、こっちから指示した方がやりやすいのよ」


「なるほど。でもそれなら配信でいいんじゃないですか? 多くの視聴者の目があった方が気付きも多いと思いますし」


 その言葉の直後、伊達さんの顔が俺の目の前まで近づいてきた。


「あのね。誰も踏み入れてない奥羽ダンジョンの24層の映像をいきなり全世界に配信して、そこに映ったらマズイものとかがあったらどうするの? 世界が大混乱になったらどうするの?

 言いたい事は分かるけど、それは協会側での調査が終わってからにしなさい」


 さすがに24層にはそんなものは無いと思う。小谷さんも他のダンジョンだけど24層をクリアしてるんだし。

 でも、まぁどうしても配信したいってわけじゃないし、言う通りにしておこう。


「分かりました。とりあえず、基地局の設置中もドローンで録画しますけど、こっちはWEB会議じゃなくていいんですよね?」


「えぇ。録画した内容を分析して、それも参考にしてWEB会議で色々と指示をさせてもらうわ」


 いつもと違う手順で大変だな。

 俺にとっての24層はこれまでと同じ階層更新だが、協会にとっての24層はこれまでと意味が違うって事なんだろう。

 さて、未知の階層へと潜っていこうか。


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