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フードファイト・ダンジョン ~最高の食材とまだ見ぬ絶景を求めて最下層を目指します~  作者: 祐祐
第1章:ダンジョンとスキル

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10話:魔石とネズミ料理

 ダンジョンに生息しているモンスター。

 そのモンスターから得られるものは大きく3つとされている。


 1つはレベル、経験値。

 1つはモンスターの素材であり、肉などの食料。

 そしてもう1つ。それが心臓に必ず1つある魔石である。



 ダンジョンが現れてすぐにダンジョンに生息しているモンスターの調査、研究が進められた。

 その中ではモンスターがCTスキャン、MRI、超音波などで検査された。

 その結果、モンスターの心臓には何かがあると分かった。

 そこからモンスターの心臓を解剖した所、見つかったのが謎の石。

 色々なファンタジー小説に出てきたものに似ていることから魔石と呼ばれるようになった。


 そこから魔石の研究が開始された。

 全てのモンスターに魔石はあるのか、魔石に違いは無いのか。

 そもそも魔石は何なのか、何に使えるのか。


 モンスターに魔石があることが発見されてから1週間後。

 魔石の利用方法はすぐに見つかった。

 それは燃料。

 魔石をそのまま、もしくは砕いて発電所のボイラーに燃料として投入すると石炭を圧倒的に超える燃料として使えることが分かった。

 具体的には1,000度を超えると燃えることが分かり、そのエネルギー密度は石炭の約1万倍。

 1センチ四方の魔石1つで石炭10kg分以上の熱エネルギーを放出すると分かった。



 そこから更に1ヶ月後。この魔石は熱以外には何も出さないと判明した。

 二酸化炭素も硫黄化合物も水さえも。

 まさに夢のエネルギー源。


 そこから各国は自国のエネルギー問題の解決のために、魔石の買取を強化していく。

 その過程で、スライム以外のモンスターは魔石を心臓に持っており、下層に進むほどその魔石が大きくなっていくことも判明した。

 なお、スライムも魔石が発見されたが、あまりの小ささに肉眼では観察できないため、スライムの魔石は諦めるようになった。スライムゼリーから集める方がコストが掛かるからだ。

 また、魔石を食べても問題ないかは検証が続いていったが、何故か体内に吸収されずに排泄物として体外に出されていることがダンジョンが出現してから1年後に発表された。



◇◇◇



 合計10体分のダンジョンネズミを倒した所でダンジョン入口に戻ってきた。

 これ以上は持てないからな。

 次からはもっと袋を用意しておこう。



「いらっしゃいませ。ご用件をお伺い致します」


「素材の買取をお願いします」


 冒険者カードと共に、今日狩ってきたネズミの肉7体分と心臓10個を買取に出すためにカウンターに乗せる。


「ダンジョンネズミの個体7体分で1,050円、ダンジョンネズミの魔石10個で2,000円。

 合計3,050円から税金を引いて2,440円になります。

 受け取り方法はいかがされますか?」


「現金でお願いします」


 ダンジョンネズミの個体は1体あたり150円、魔石は1つあたり200円か。

 以前ネットの記事で、ダンジョンネズミの価格は温暖化前の養鶏業者が売る鶏肉の価格くらいって見たことがあるけど、鶏肉ってそんなに安いんだな。

 そして魔石も安い。ただ、魔石はかさばらないから、倒した所で心臓から魔石を取り出せば1日狩り続けても持ちきれなくなることはない。

 そういう点では魔石の方が稼ぎやすいんだろうな。



 時刻は15時を過ぎており、帰るとちょうどいいタイミングだな。

 武器防具をロッカーに預けて家に帰る。



『ダンジョンネズミを3体持って帰るから、それで何か作ってくれ』


 駅で電車を待ちながら、瀬奈へメッセージを送る。

 ダンジョンネズミは1体あたりで肉は300gらしいから3体で900g。

 まぁ他の家族も食べるだろうから2体分は俺が食べられるかな。

 スライムの場合は2体ちょっと食べたら上限になったから、もしかしたら今日で上限になるかもしれない。

 上限にならなかったら、明日もダンジョンネズミを3体持って帰ってこよう。

 まぁどうなるか要検証だな。




「ただいまー」


「待ってたよ、肉ー」


「待ってたのは俺じゃなくて肉だよな。はい、よろしく」


「任せて!」


 袋に入れた状態のダンジョンネズミ3体をそのまま瀬奈に渡す。

 その状態から少し付いている血を落として、部位ごとに切り分けて料理に使うそうだ。

 精肉の状態じゃない肉の処理もやりたいなんて流石としか言いようがない。

 調理バカだからな。



◇◇◇



 祐也から肉を受け取ってすぐにキッチンへ。

 まずはこのダンジョンネズミを解体していかないと。


 首と内臓の無くなった状態のダンジョンネズミ。

 深呼吸を一つして、新品のナイフを握り直した。


「よし。動画と本で何度も予習したし、イメージは完璧。あとはやるだけ」


 勉強はしてきたけど、実際にダンジョンネズミを解体するのは初めて。

 これまでは精肉されたものしか扱ってこなかったから、これは未知の領域だ。


 慎重に、まずは足の付け根の皮にナイフの先を当てた。ペリッ、と皮が浮く。


「あ、意外と柔らかい?」


 最初は恐る恐るだったけど、手応えを掴むにつれて確かなものになっていく。

 予習してきた皮と身の間にある境界線を指先で探りながら、ゆっくりと、だがしっかりと皮を引き剥がした。


 次は骨を外す工程。関節の隙間にナイフを入れるポイントを、指で何度も確認する。


「ここかな……えいっ」


 パキッ、と小気味よい音が響いて関節が外れた。上手くいったかな。

 背骨に沿ってナイフを滑らせると、左右の肉が美しい薄紅色を見せて現れた。


「できた! ちゃんと、お肉になったよー」


 それは、スーパーで見かけるどの精肉よりも輝きを放っていた。

 やっぱり自分で解体した肉には愛着が湧くよね。

 残り2体も解体していくぞー。




 3体分の解体を終えて、いよいよ調理に取り掛かる。

 その前に、滋養強壮スキル発動!

 これでよし!


 まずは定番の唐揚げから作っていこう。

 解体したばかりの薄紅色の肉を、手際よく一口サイズに切り分けた。

 ボウルに肉を移して、そこへすりおろしたばかりのニンニクと生姜を入れ、さらに醤油、みりん、酒を加え、仕上げにうま味調味料と胡椒を振る。今日のはちょっとニンニク多めにしてみたよ。


 ボウルの中に手を入れ、肉の繊維にタレを閉じ込めるように、優しく揉み込む。

 ニンニクの食欲をそそる香りがキッチンに広がり、肉が調味料を吸ってしっとりと艶を帯びてきた。


 次に、フライパンに多めの油を引いて、火にかける。

 油が熱されるのを待つ間に、別の容器で肉に片栗粉をまぶしていく。

 一つずつ丁寧に、粉を付けすぎず、かといってムラがないよう、一つずつ確認しながら白い衣をまとわせていく。


 準備が整ったところで、肉を静かに油の中へ落とす。

 ジュワァァァッ!

 静かだったキッチンに、一気に激しい音が響き渡る。

 菜箸を使い、肉同士がくっつかないよう丁寧に距離を保ちながら、揚げ色の変化をじっと見守る。


 白い衣が徐々にきつね色へと変わり、パチパチという高い音に変わってきた。

 うん、いい感じ。


 網に引き上げられた唐揚げは、余熱でさらに色を深め、カラリとした最高の状態に仕上がっていく。

 味見で1つを口に運ぶ。


「よし、これこれ!」


 準備していた肉をどんどん揚げていく。

 黄金色に輝く唐揚げの山は絶景だなー。




 唐揚げを揚げ終わったので、次は照り焼きに取り掛かる。

 ダンジョンネズミの肉を平らに開いていく。

 さらに肉叩きでリズミカルに叩き、火の通りが均一になるよう厚みを整えた。

 ~♪

 調理は楽しいな。どんどん姿形が変わりながら、美味しい料理になっていくって魔法みたいじゃん。

 両面に塩コショウを振り、片栗粉を薄くまとわせていく。このひと手間が、後でソースが絶妙に絡む鍵になるんだよね。


 次にボウルを用意して、砂糖、酒、みりん、醤油、最後にうま味調味料を入れて混ぜ合わせればソースの準備は完了。


 フライパンに油を入れ直して熱していく。

 肉をフライパンに並べ、フライ返しでギュッ、ギュッと押し付けながら焼いていくと、香ばしい焼き色が肉についていった。


「よし、いい色ー」


 肉をひっくり返すと、用意していたソースを一気に流し込む。

 ジャァァッ! という激しい音と共に、甘辛い香りが一気にキッチンに広がった。

 スプーンを使い、フライパンの底に溜まったソースを肉に何度も掛けながら、ゆっくりと、しかし確実に火を通していく。


 やがてソースが煮詰まり、肉の表面に艶やかな照りが出てきた。

 食欲をこれでもかと刺激する香りが、部屋の隅々まで満ちていく。

 こっちもいい感じ。皿に盛り付ければ、ダンジョンネズミの照り焼きの出来上がり。



◇◇◇



「ご飯出来たよー」


 午後7時前、ようやく夕飯ができたようだ。

 ダイニングに向かうと父も仕事から早く帰っていたようで、家族4人でテーブルを囲う。


「今日は祐也が狩ってきたダンジョンネズミで作った照り焼きと唐揚げだよ。

 唐揚げは適当につまんでね。それじゃあいただきます」


「「「いただきます」」」


 ダンジョンネズミは世界中でもっともポピュラーな肉なので、我が家でも頻繁に食べている。

 ダンジョンが出現する前は鶏肉で作られていた料理の多くがダンジョンネズミに置き換えられていて、我が家でもダンジョンネズミの照り焼きと唐揚げは定番メニューだ。


 まずは照り焼きから。うん、甘じょっぱい照り焼きソースは安定して美味しい。

 次は唐揚げ。おっと、今日のはにんにく強めだな。

 カリッと香ばしい衣に包まれたジューシーな肉から旨味が溢れてくる。

 そしてにんにくの香りが食欲を増していく。


「今日のはどっちもスキル使って作ったから、祐也のステータスが上がるかもね」


 っ! そうじゃん!!

 瀬奈が滋養強壮スキルを使ったら2体分食べなくても上限になるかもしれないじゃん!

 滋養強壮スキルは、通常よりも多くの栄養素を補給して全身を強く元気にするという効果のスキルである。

 この『多くの栄養素』『強く元気に』というのがモンスター食材のステータスを上昇させる点にどれだけ効果があるのかは調査が長く続いている。

 分かっていないのは、元々のステータス上昇幅がごく僅かであるからであり、それを多少強化していたとしても計測が難しいらしい。

 じゃあ俺のスキルによって、滋養強壮スキルの効果が分かるかもしれないってことだな。

 まぁ俺のスキルも何体分食べたら上限になるのか分からないから難しそうだけど。




「ごちそうさまでした」


 大きめの照り焼き1枚と唐揚げを大量に食べて満足だ。

 どれくらい食べたかは分からないけど、全体の半分は俺1人で食べた気がする。

 それなら1.5体分か。どうなるかな。


 これでどれだけ強くなれるのかな。


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