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基本スキルの重要性

近距離魔導具の所に行くと、人集りが出来ていた。その中心には、14歳くらいの男の子がいた。多分、この子がハンス君だろう。向こうもイリスに気付いたようだ。


「イリス!良かったー。魔力纏いの事で、みんなから質問攻めにあっているんだ。僕は教えてもらったばかりだから詳しく話せないんだ。助けて欲しい。」


「そう思って、お姉様を連れて来ました。お姉様が私に魔力纏いを教えてくれたんです。」


自己紹介をしておきますか。


「あなたがハンス君ね。私はサーシャというの、宜しくね。」

「うわあ、あ、はい、ハンスと言います。宜しくお願いします。」


なぜか、ハンス君は緊張している。人見知り?

私が教えようと思った時、初老の男性が近付いて来た。


「急に入って来て申し訳ない。私はフロウ・リードというもので、ここの学園長をしております。知っての通り、ハンス君が覚えた『魔力纏い』というスキルで、今騒がれています。サーシャさん、不躾なお願いで申し訳ないが、我々にこのスキルをご教授頂けないでしょうか?」


「サーシャと言います。勿論、構いません。その為に、ここに来たのですから。」


「ありがとうございます。私もハンス君から聞いた時は驚きました。このスキルは、格闘戦を主体としている者だけでなく、魔法使いを主体にした者達にも有効です。魔法使いの子供達が、ハンス君に押し寄せていたんですよ。既に何人かは覚えたようです。私も覚えたいので、ご教授の程宜しくお願いします。そうですね、準備もありますからお昼13 時からどうでしょうか?大講堂で準備を整えておきます。」


げ、大講堂!そんな大型のところでやるの!


「はい、わかりました。それまで、楽しませてもらいますね。」


学園長と別れた後、ハンス君を含め多くの学生が押し寄せてきた。どさくさに紛れて、お尻や胸を触ろうとする輩が出てきたので、威圧で黙らせた。


「皆さん、きちんと教えますので、一気に押し寄せて来ないで下さいね。さもないと、------強制的に黙らせますよ。」


「あのお姉様、ここにいる人達全員、お姉様の怖さを理解しています。顔が真っ青になってますので、その辺にしてあげて下さい。」


仕方ないので、威圧を解除した。私の怖さを本当に理解したようだ。私が30分程の時間を使って、『魔力纏い』が何たるかを教えた。


「皆さん、残りは今日の13時から大講堂でお話ししますので、きちんと来てくださいね。」


「「「「はい!!!」」」」


ここで、みんなが散らばってくれた。


「サーシャ大変だったな。始めの威圧で、みんな認識を改めたようだ。全員、従順にサーシャの話を聞いていたぞ。」


「全く、人数が多過ぎるわ。大講堂で先生方全員に教えたら、後は学園でやってくれるでしょう。講義が終わっても学生が来るだろうから、イリスとシュリにも手伝ってもらうわよ。そうすれば、かなり楽になる。」


「俺は構わないよ。魔力纏いに関しては、リッチに厳しく教えられたから大丈夫だ。」


「私も、ずっと修行していますので大丈夫です。でも闘技会の後、魔力纏いを教えてくれたシュリさんがキース皇子だとわかったら違う意味で騒がれますね。」


「はは、そうだろうな。」


シュリの場合、キース皇子に関係なく、女性陣に囲まれるでしょうね。イリスは同じくらいの男の子に囲まれるかな?私の場合、どうなるのだろうか?さっき威圧で脅しちゃたからなー。



○○○



お昼13時、大講堂の準備が整い、いよいよ私が大勢の人達の前で『魔力纏い』を教えることになった。大講堂の中は、大混雑だ。準備したイスも足りてないようだ。これだけ人が多いと熱が篭って暑くなるだろうから、クーラーのような涼しい風を大講堂全体に通るよう魔法を唱えた。


なぜか、これだけで周りが騒ついていた。あー、先生方も驚いているから、クーラーのような概念はないのね。利用させてもらおう。


《うわ、涼しい。さっき魔力を感じたけど、私達のために魔法使ってくれたんだ。》

《でも、こんな魔法聞いたことないぞ。スゲー。》


私は舞台の上に上がり、小型の魔導具が置かれている中央に移動した。イリスとシュリは横のイスに座っている。簡単な自己紹介を済ませ、いよいよスキルの説明を始めた。


「まず、スキルの説明をする前に、言いたいことがあります。現在、皆さんが学園で習っている魔法は過去の人達が作り上げたものです。多くの人達が新魔法を作り上げ、その中の優秀な魔法だけが生き残ります。はっきり言って、簡単な新魔法なら、学園生でも作れます。今、私が放っている魔法は『クール』というものです。水魔法で25℃の水蒸気を出し、それを風魔法で大講堂全体に送っているだけです。実際、この中にも、魔力操作スキルが高い人なら出来るでしょう。私が言いたいのは、過去の魔法に囚われず、各々が新型の魔法を作って下さい。」


《おー》《パチパチパチ》


「次に、『魔力纏い』は魔法使いからの悩みを受け、私が考案したものです。魔法使いは魔力に秀でてはいますが、どうしても物理攻撃に弱いです。そこで-----」


若干の嘘を混ぜながら、私は魔力纏いが何たるかを懇切丁寧に教えた。説明が終わったら、次に学園長を含めた先生方にスキルを教えた。さすがに先生ともなると、魔力循環と魔力操作スキルは高い。皆すぐに覚えてくれた。魔法使いの先生は、実際に使ってから、ステータスを確認したようだ。自分の能力値が約2.5倍程上がっていたので、涙を流していた。


「皆さん、いいですか。全ては基本スキルである魔力循環と魔力操作を疎かにしてはいけません。この2つが低いと、必然的に魔力纏いも低くなります。そして、この3つの最高に高めることが出来れば、魔力纏い使用時、基礎能力値を最大3〜4倍高まるでしょう。そして、先程お見せした通り、魔力纏い使用時に魔力を拳などの局所に集めることで、その部分の攻撃力は最大5〜8倍まで高まるでしょう。そこに、身体強化がスキルが合わされば、さらに効果は向上します。」


《うおーーー!!》

《パチパチパチ》


大歓声と拍手が私に送られた。学園長は泣いていた。うーん、ここまで賞賛を送られるとは、本当にみんなが望んでいたスキルなんだ。


その後は、学園の先生方、私、イリス、シュリに分けて、多くの人達に魔力纏いを教えていった。私のところには同年代の男性ばかり、イリスのところには男の子ばかり、シュリのところには幅広い年齢層の女性陣が集まった。全てが落ち着いたのは、夕方17時であった。学園長が、「お礼をしたいので部屋に来てください」と言ってくれたので、私達が部屋に向かった。


「さすがに疲れたわね。」

「はい、あそこまで人が集まるとは思いませんでした。」

「まあ、これで邪族が襲ってきても、皆戦っていけるだろう。」


《コンコン》

《どうぞ》


学園長室に到着し、部屋に入ると学園長が柔かな笑顔で迎えてくれた。

ソファに座り、用意してくれた飲み物を一口飲んでから、学園長がお礼を言ってきた。


「サーシャさん、今回は誠にありがとうございます。まずは、こちらが今回講演して頂いたお礼です。」


お礼を受け取り、不躾だけど中身を確認すると、白金貨10枚(100万円相当)入っていた。


「え、こんなに頂けないですよ。」


「いえいえ、これでも少ないくらいです。魔力纏いは、これからの邪族との戦いで必須となります。この学園だけでなく、ガルディア帝国にも必要となるでしょう。どうか受け取って下さい。」


「サーシャ、受け取ってやれ。これが学園長からの誠意なんだ。」


シュリまで学園長の味方か。


「わかりました。お礼をお受け取りします。」


「ありがとうございます。そうそう、明日にでも、皇帝に報告するつもりです。闘技会が終わった翌日に、こちらに来てもらえませんか?皇帝に会ってもらいたいのです。」


やっぱりそうなるよね。シュリのこともあるし、観念して会いましょうか。


「わかりました。何時に来ればいいのでしょうか?」

「お昼14時からで宜しいですかな?」


ああ、皇帝がここに来ることは決まっているのね。


「はい、大丈夫です。14時にお伺いしますね。」


「皇帝もお喜びになります。今はキース皇子の事もありますので、この知らせを聞けば、少しは気分も和らぐでしょう。それに、今回サーシャさんが講演して頂いたことで、生徒達も基本スキルがどれだけ重要か理解したはずです。最近の子供達は、基本スキルそっちのけで、魔法ばかり練習している節がありました。昨日の火魔法の暴走の件もそうです。今後は、この『魔力纏い』を基に、基本スキルを重点的に鍛えていこうと思っています。今回は、本当にありがとうございました。」


学園長にやたら褒められ部屋を出た後も、学生達に声を掛けられた。全てが、お礼の声だった。


「お姉様、私も講義の内容を聞いて感動しました。これからも基礎を疎かにすることなく、修行に励みます。」


「ひょっとして、サーシャはこうなることを狙っていたのか?」


「まあね、と言いたいところだけど、魔力纏いが出来たのは、ほんの偶然だったの。まだ城で訓練していた時、当時は最弱だったわ。」


「お姉様が最弱、想像出来ませんね。」

「だな」


「あのね、まあいいわ。当時は、少しでもみんなに追いつきたい一心で考えていたのよ。クラスメイトが使っている『身体強化』スキルがヒントになったわね。魔力で強化出来るんじゃないかと思ってやったら出来たのよ。」


「最弱でも、お姉様はお姉様ですね。そんな簡単に普通出来ませんよ。」


あの時は、生きるために必死だったから。まあ、そのおかげもあって、今があるから良いけどね。


「おい、向こうが騒がしくないか?」


あら、凄い人だがりね。何かあったのかな?

騒ぎのあった場所に行くと、10人程の貴族が広場中央にある噴水の上空5m程のところに吊るされていた。吊るされ方が面白い。物干し竿のような長い氷の棒を腕の裾から裾へ通して吊るされているのだ。そして、全員の服から何かが滴り落ちていた。そいつらの表情は、恐怖に満ちており、何か化物を見たかのような表情で気を失っていた。この状態を見て、見物人達は全員笑い転げていた。


《あの貴族共、誰かにやられたんだ。見ろよ、あの表情、傑作だな。》

《くくく、あはは、本当だ。前々から気に入らなかったんだ。》

《ホント、傑作ね。このままほっときましょうよ。失禁してるし、触りたくもないわ。》

《ああ、あんな失禁貴族やろう、ほっとこうぜ!》

《いいね、その名前、これからあいつらは失禁貴族だ。》


「お姉様の言ったことが現実になりましたね。」

「失禁貴族か、可哀想に一生消えないだろうな。」


「まさか、本当になるとはね。後で、みんなを褒めておきましょう。」

「褒めるんですか!」



あの手のアホ貴族共には、いい薬になったでしょう。

さあ、帰って休もう。


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