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白雪王子  作者: 菊花
1/1

望まれない者

 

 まだ完結していません(´・ω・`)


 更新も遅いと思うので、ご了承くださいm(__)m

この世には二つの世界が存在する。

 一つは現実の国。

 一つは御伽の国。

 これらは互いに共存し合い、バランスを保って成り立っている。

 まるで天秤のように。



     0




ある所に、御伽の国をそれはそれは憎んでいる者がいました。長い間生きていたので、彼はなぜこんなにも御伽の国が嫌いなのか、自分でも忘れてしまいました。それでも、憎しみだけは日に日に増すばかりで、とうとう彼は御伽の国を消し去ろうと決心します。

 そこで、彼は悪戯好きの魔女に言いました。


    二つの国の天秤を壊して欲しい、と。




     1            




 深い森の中、少年はただ走る。

 走って走って走って、やっと追っ手を撒けたと思った瞬間、膝から崩れ落ちた。

 熱を持った息が荒く吐き出され、体もだるく動けそうにない。


 「・・・やばいな・・・」


 これからどうしようか、少年はそう思う。その場の勢いで城を抜け出したものの、次にするべきことが浮かんでこない。そんな自分自身に少年はため息をついた。


 しばらくして、体力が回復したらしく、よいしょと身を起こす。頭上には月が昇っていた。

 満天の星空を見上げながら、彼は特に何も考えずに率直な意見を呟いた。


 「・・・とりあえず、寝床を探そう」




     2


 

 翌朝、運よく見つけた洞窟で一晩過ごした少年は、すっかり元気になっていた。 

 というわけで、一応台本に従い、現在森の中を捜索中。もうすぐで自分を受け入れてくれる家が見つかる・・・と思う。確信はない。

 一見根拠のない希望を抱いているようでもあり、逆に諦めているようでもある。彼がそんなポジ&ネガティブ思考なのには理由があった。


 何年にも受け継がれてきた記憶(シナリオ)容姿(せってい)

 美しい黒髪、紅い唇、そして雪のような白い肌。

 それが彼女のアイデンティティー。



そしてまた今回も、何事もなく、幸せの結末(ハッピーエンド)へと辿り着くであろう子が産まれた。

 

 しかし、


 大変な事が、あってはいけない事が起きてしまう。 


     

    ―――産まれてきた子が、 男の子だったのだ。



 その日から、過去に積み重ねてきた物語はガラガラと崩れ落ち、消えてなくなった。

 

 彼が男である以上、運命の王子様のキスで目覚め、そのまま結婚するなんていうシチュエーションは不可能な訳で、今までに前例のない、そして全くちがう展開(ストーリー)になるなのだ。よって、城を抜け出しても、目的地であった小人の家に辿り着けない可能性が大きい。

 


 次のページが分からない状況で、前髪をかき上げながら、白雪は言った。


 「・・・今までは、自分の先代が通った道を歩けば着いた。でも俺の場合、それで良いのかどうか分からない」


 すると、彼の声を聞きつけた小鳥が数羽、近くに寄ってきた。それらを見て、白雪はようやく自分の体がガチガチに固まっていたことに気がつく。

 ふっと力を抜いた肩に小鳥が降り立つ。


 「・・・今は前に歩くしかない・・・か」


 ピヨ、肩に乗った小鳥が可愛らしく耳元で鳴いた。白雪はカーテンのように視界を遮る枝を、上に押し上げる。そして目を見張った。


 葉の向こう側に、有ったものは

 

 「・・・・・いえ?」


 レンガで出来た小さめの家の煙突から、もくもくと煙が出ている。

 間違いない。あれは何千何万回もお話に登場している―――

 小鳥が飛び、彼の目の前でピヨピヨと急かすように鳴いた後、一直線に家へと向かう。

 待ってくれと追いかけている間、白雪はその目に鋭い光を宿らせた。





  

     3 

 


 

 「(・・・結構、でかいんだな・・・)」

  

 遠くからのと、小人の家という認識のせいでさっきは小さく見えたのだが、そうでもないことが分かった。

 しかし、肝心の小人たちの姿が見当たらない。白雪が挙動不審になっていると、近くで葉がこすれる音がする。そこからひょっこり誰かが顔を見せた。


 二人の間に、穏やかな風が吹き、彼らの髪を優しげになでる。


 突然表れた相手に、両者はしばらく無言で見つめ合っていたが、森から出てきた少年はズサズサズサズサーと後退り。そして人差し指をビシッと白雪に向け、


 「だだだだだ誰だお前!!!???」

 

 と見るからにテンパった様子。

 オーバーヒートしそうな少年に白雪は苦笑いする。試しに訊いてみた。


 「あの、」

 「ひゃい?!?」

 「あなたはここの家の方ですか?」


 沈黙。

 すると少年は、さっきとはまるで違う冷たく、むすっとした表情で言った。


 「多分、そうだけど」

 「多分?」


 困った。

 白雪は直感的にそう思う。どうやら彼は、反抗期真っ最中のようだ。


 

 


 

 

 





 



 

 

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