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038 ☴ 修学旅行・帰宅後②(閑話)

 兄上にお咎めを受ける覚悟で帰宅をしたはずなのに、門番には普段通りに胸の宝石を外され、守衛にも何も言われること無く中に通され、私は少しばかり茫然としてしまっていた。


 逆にそのことが恐怖に感じつつも、兄上の部屋の前まで挨拶に向かう。


 しかし、普段なら部屋に通されるはずだったのに、タイミング悪く違反者への、兄上のお仕置きタイムが始まっていたようだった。

 だから軽く2、3度返事があった程度で部屋に帰される。


「お帰りー」


 気の抜けた貴の声にもビクつきつつ、私は緊張感を持ったまま答える。


「ただいま ……」

「元気無いけど …… どうかした?」


 逆に貴に聞かれてしまった。

 しかし、言うわけにもいかない。


 そもそも、このことは如月さんと私と(永瀬さんと)の秘密。

 もし約束を破っても、兄上からのお仕置きを軽減するための助言はしないと如月さんに何度もきつく言われている。


 だから口が裂けても言えなかった。


「少し疲れただけよ」


 私は嘘が下手だなぁ、何て思いながら失笑した。

 まぁ、だからと言って円のようになりたい訳でも無い。


 貴は少し私を疑いの目で見ていたものの、


「ふーん …… まぁ、良いけど」


 何て答え、先程まで読んでいただろう雑誌に目を向けていた。



 ちなみに、疲れていることは嘘では無い。



 あの時、魔力を開放した影響で胸の宝石は完全に割れてしまっていた。

 宝石が割れた影響で私の中の魔力が激減し、黒い刀を体内から出して式を斬ったことが精一杯だった。


 如月さんに宝石を治してもらっても体内から魔力が無くなった影響は残っている。

 バレない程度に如月さんが魔力を注いでくれたものの、少しでも魔力を使えば如月さんに貰った魔力が消えてしまう気はする。


 消えれば当然ながら体調を崩す。

 挙句に兄上にバレる可能性が出て来る。


 もっとも、休暇中は部屋から一歩も出なければ(兄上にもバレないので)問題は無いだろう。


 でも、何かあった時に集合をかけられたら発覚は避けられない。

 今は "旅の疲れが出て動けない自分" を演じた方が良いと判断した。



 それよりも、どうして円と瞳が自縛霊を掘り起こしたのかが気になってしまう。


 ましてや、式を利用して黒い結界を生み出したのは瞳だった。

 が、自縛霊のすぐ近くに居た2人は濃厚な魔瘴に当てられたことで倒れてしまい、その後、2人の姿は確認出来なかった。


 しかし、黒い結界は自縛霊の元々の魔瘴の影響で巨大化し続ける。


 それとほぼ同時に、建物の中に居た如月さんが私に声をかけてきた。


 如月さんは全てを知っていた ―― 2人が自縛霊を掘り起こしたことも、黒い結界を作ったことも、私が屋上で全てを見ていることも、その全てを知っていた。

 恐ろしいくらいの地獄耳。


 そして、恐らくは私と紫が会話をしていたことも知っていたのではないかと思う。

 あの時、如月さんに言われなかったら宮本さんを含めた3人から身を隠すことは出来なかったと思う。


 でも、その後で結界内の3人が苦戦を強いられているのを見ていて、私が助けなくてはならないと直感したら、体が動いてしまっていた。


 あの時、如月さんはどうして2人に黙ったまま自縛霊を掘り起こさせたのか。

 そもそも、どうして2人は自縛霊のことを知って掘り起こそうと思ったのか。


 謎はますます深まるばかりだった。


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