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252 ☈(全) 最後の助言

 2つの禁術が発動されたためか、邪乃丸の触手の動きを停止させることには成功しているかに見えた。

 が、私には何となく、邪乃丸が詠唱に集中しに入っただけのように思えていた。


「まだ、迷ってんのか?」


 私は宮本に訊ねる。

 唸っていた宮本が更に黙り込んだ。


「何をそんなに迷ってんだよ? アイツは敵で、封印すべき相手。お前には、違うのか?」

「……解らないのよ」


 宮本が残念そうに呟く。


「確かに、邪乃丸は危ないと思う。ううん……居たらいけない存在だとも、思っているの。でもね? 封印すれば、また前の女神――花菜子みたいに死を迎えて、転生して、誕生すれば、人生をやり直せるかもしれない。で、また、こういう風に敵対するかもしれない」

「そうだ。だから封印して時間を稼ごうっていう……」

「封印しても、結果的には殺すのと大差ないと思わない?」

「……なるほど、そういうことか」


 封印しても、殺しても。邪乃丸とは何れ敵対してしまう。

 水神はもう敵対したくはないらしい。


 理解したことで、次の疑問が生まれる。


「じゃぁ、お前としてはどうすることが一番だと思ってるんだ?」

「どうする……うん、そこだよね」


 答えた宮本はしょんぼりとしてしまう。


「それに……邪乃丸は、最初は生きている事実を認めて欲しかっただけなのだと思う。それって、悪いことじゃないよね。今だと、かなりオーバーな表現方法かもしれないけど……」

「お前は、邪乃丸を殺したくはないのか」

「……邪乃丸は、今でこそ様々な "欲" を抱え込んでいるだけだと思うと、……うーん」


 私は大きな溜め息をついていた。


「お前さ、そう思うなら、答えは既に出てるんじゃねぇの?」

「……え?」

「邪乃丸のその "様々な欲" はどこから得たモノか、考えてもみろ。さっき邪乃丸自身が言っていた言葉は矛盾していただろ。つまり、邪乃丸自身が生きて感じたことじゃないってことだ。じゃぁ、その "欲" は一体どこから得てしまったモノなのか?」


 ――そう言いながらも、脳裏には "彼女" が居た。


 宮本が驚いた表情をした。

 そして今一度、目をゆっくりと閉じた。



 しばらくして、金色の目になって目を開ける。



 その雰囲気から、宮本が覚悟を決めたのだと、"正解" に辿り着いたのだと理解した。


あと2話で完結します。


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