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ある冒険者たちが世界を救うまで  作者: 如月つばさ


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71/120

第71話 検査

 洞窟の奥には、かなり広い空間があった。

 窓は全くないが、天井に明かりが取り付けられていて、驚くほど明るい。

 床や壁などがつるんとした材質で作られていて、雰囲気が……少し機神の基地に似ているような気がした。


「自己紹介がまだだったね。あたいはヒルダ・グレイス、ハーフエルフのしがない技術屋さ」

 ヒルダはそう言って右手を差し出してきた。

「ライト・アルトノートです。よろしくお願いします」

 俺もヒルダの手を握り返し、握手を交わした。

「アルトノート……!大巫女様の血族かい?こりゃ驚いたね」


 きっと知ってる人は知っているって感じなんだろうな。アーイディオンポースの学校に通ってた時も普通に名乗ってたけど、驚かれたことなんてなかったしな。

 あ、でも初日に校長先生に挨拶しに行った時……少し驚かれたっけ。


「まぁそんなに畏まる必要はないよ、普段の口調で話しな」

 ありゃ、俺が猫を被ったのがバレてら。

「じゃ遠慮なく。……コーディがあんたならこれをなんとかできるかもしれないってんで、連れてきてもらったんだ。……診てもらえるか?」

 俺は改めてヒルダの前に左手を差し出した。


 ヒルダは触ったりひっくり返したりして様子を確かめている。

「……こうなった時の状況を教えてもらえるかい?」

 状況……か。

「ええと……、アクセラバードが何かを俺の頭めがけて放ってきて、避けるのが間に合わなくて左手で受けたら、チクッて刺されたような痛みを感じたんだ……」

「ちょっと待った、アクセラバードって言ったかい!? あいつ……復活してたのか!?」

「ええ。私たち、彼に部下になれって誘われてるのよ」

「……楽しくない冗談だね。で、ライトがやられたって訳か」

 ヒルダはガシガシと頭を掻いた。


「おっと、話が逸れちまったね。刺された……虫みたいな感じかい?」

「うん。……で、いきなり激痛が走って、刺されたとこの周りから、こんな風になっていったな……」

「ふうむ……」

ヒルダは俺の手をじっと見ている。


「彼、手を切り落とすつもりだったのよ。治らなかったら今度こそそうするかもね」

「母さん頼む。友人なんだ、助けてほしい……!」

 リナベルの言葉に焦ったコーディが必死に訴えた。

「かわいい息子の友(・)人(・)か。……こりゃ頑張らない訳にはいかないねえ。じゃ、ちょっといろいろ調べたいからこっちおいで。そこのベッドに横になりな」


 俺は言われた通り、長方形の台に白い布をかけただけの簡易的なベッドに横になった。

「あんまり痛いことはしないけど、ちょっと我慢しておくれよ」

 そう言うと、ヒルダはいろいろな器具を使って俺の身体を調べはじめた。


 正直、あの注射器とかいうやつはちょっと苦手だ。

 血を採るっていうんで、あの針で俺の腕を刺したんだけど……あの刺すまでの間がどうにもダメだった。戦闘とはまた違った恐怖があるよな。

 切って垂らすんじゃダメなのかって聞いたら、空気に触れるから正確な数値が出ないとかで却下された。

 採られた血をリナベルが欲しそうに凝視してたけど、ヒルダにダメと言われると大人しく引き下がっていた。


「じゃあ最後に変異部分の組織を採取しようかね」

 そう言ってヒルダはまた注射器を取り出した。

 今度は何か液体が入っている。

「そ、それ……何するんだ?」

「ん?皮膚を切り取るから、痛くないようにあんたの腕に痺れ薬を入れるんだよ」

「そういうことなら自分でやるから!“麻痺(パラライズ)”!」

 俺は左腕の肘から先の部分を痺れさせた。

「ほら、つねっても痛くないから」

 自分で腕をつねってみせる。

「便利なもんだね。じゃあちょっと切らせてもらうよ」


 ヒルダは小さなナイフみたいなもので、俺の腕から皮膚を切り取った。普通の所、変わりかけてる境目の所、変わってしまった所の3ヶ所だ。

 俺は回復(ヒール)をかけて傷を治した。

「ほお、いいね。んじゃちょっと待ってな、少し調べてくるから」

 そう言って、ヒルダは奥の部屋へと引っ込んでいった。

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