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ある冒険者たちが世界を救うまで  作者: 如月つばさ


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第68話 侵食

「当初の予定通り、そなたを迎え入れよう、ライトよ」

 アクセラバードは予備動作なしで何かを俺に放った。

 頭を狙っていたのが分かったが避けられず、射線上に左手を差し込むのが精一杯だった。

 その左手の甲にチクリと何かが刺さった感覚があった。

「!?……何だ……!?」

「いい反応だったな。だが……」

 突然、左腕に神経を焼かれるような痛みが走った。

「ぐっ……あああああっ……!!!」

 痛すぎる……!

 俺は左腕を押さえうずくまる。ベヒモスがぎょっとしたように俺を見た。

「ライト君!?」

 リナベルが駆け寄ってきた。コーディはアクセラバードと睨み合っている。

「大丈夫!? ……“異常解除(クリア)”!」

 魔法は確かに発動したが、痛みは消えない。

「どうなってるの!? ちょっと見せて!」

 リナベルは俺の手袋を取った。そして息を呑む。

「この短時間でこんな……」


 俺も顔をしかめながら、薄目を開けて左手を見た。

 手の甲が金属光沢を放っている。そう、フェルドの腕ような……。

「い……嫌だっ……!」

 呻きながらやっと言葉を絞り出す。そうこうしている間に、金属部分が除々に広がっていく。

 俺の中で嫌悪感が膨れ上がった。

 このまま……侵食されるなんて嫌だ……!!

「ぐうっ……!リナベル……頼む……!さっきのあれで……俺の腕を切ってくれ……!!」

 痛みが収まらない。

「だ、だけど、切ってしまったら、あなたの手は生えてはこないのよ!?」

「それでも……!」

 もう耐えられない……!


「そうはさせぬ……!」

 アクセラバードはコーディとの距離を一気に詰めると、目にも留まらぬ速さでコーディの腕を掴んでリナベルの方に投げ飛ばした。

 リナベルはとっさにコーディを受けとめたが、勢いを殺せずベヒモスにぶつかってようやく止まった。

 そしてアクセラバードは俺の側に来ると、痛みでまともに動けない俺を羽交い締めにした。

「は、放せっ……!!」

「そなたを天の座に迎え入れる為の処置だ、しばし耐えよ。腕を切り落とすことはならん……!」

 バカ言うなっ……!このままお前たちの仲間になるぐらいなら、腕を失う方がマシだ……!


 俺はアクセラバードを振りほどこうとするが、びくともしない。

 身体強化(リインフォース)をかけてるのに……!

 それならばと魔法を使おうとするも、また痛みが酷くなり、俺の口から漏れたのは叫び声だった。


 しばらくそうしていると、除々に痛みが引いてきた。

「組織の定着が終わったようだな。よく耐えた……このまま連れ帰り、処置の続きを……」

「させないわ!」

 目の前に急にリナベルが現れ、アクセラバードに手刀の突きを繰り出した。

 アクセラバードは俺を解放し、リナベルの手刀を避ける。

 その隙にベヒモスが俺を咥えていった。

 さらにコーディが銃撃でアクセラバードを遠ざける。

「そなた達……」

 アクセラバードは言いかけたが、トランキルの時のように頭の側面に手を当てた。

「なんだと……!? ……口惜しいが……」

 アクセラバードは俺の腕をちらっと見た。

「ここは一旦手を引こう。……ライトよ、馬鹿な真似はするなよ」

 そう言い残し、アクセラバードは姿を消した。


「いなくなった……わね」

 本当にいつも突然だ。

 リナベルとコーディが、俺を咥えているベヒモスの所にやってきた。

 ベヒモスは俺を地面に下ろす。

「手を……見せてくれる?」

 俺はうなずいて、リナベルに左手を見せた。

 形状は人のものと変わらないが、手首から先が機神のような構造になっている。

「……やっぱり切り落とすしか……」

 リナベルは何も言わない。

「いや、母さんに相談してみよう」

 コーディが俺の手を観察しながら言った。

「母さんは前の戦いの時の技術に詳しいから、何らかの対策を考えてくれると思う。……今は痛みは?」

「うん、ピークの時の痛みに比べれば微々たるものだけど……時々、疼くような痛みを感じるな……」

「……残念だけど、侵食は続いてる可能性が高いかもしれない。……すぐに向かうべきだと思う」

 コーディはリナベルに言った。

「分かったわ。……まずはジェラルド団長に報告と、ちょっとお暇をもらえないか相談ね。……向こうの状況次第かもしれないけど」

 俺とコーディはうなずいて、ジェラルド団長からの連絡を待つことにしたのだった。

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