第66話 急襲
スールブリッサの東に機神の大群が現れたって報告を受けて、ジェラルド団長は戻っていった。
「……大丈夫かな」
「まぁ、ジェラルド団長がああ言ってたし、指示を待つしかないわね。勝手に動くと後々面倒臭いことになるから。あ、でも、住民に被害が出ないようにするのはありかもね」
リナベルはそう言って王の盾の方を向いた。
「王の盾、ここの町全体を守ってもらえるかしら?」
「了解シマシタ」
王の盾は両手を天に掲げると、スールブリッサ全体がすっぽり覆われるほどの魔法障壁を展開した。
「すげぇ、こんな規模で魔法障壁を張れるんだ」
「王の盾の魔法障壁は物理、魔法どちらも防げる優れものよ」
「そうなのか!」
「これでしばらく様子を見るしかないわね」
その時だった。
「……探したぞ、こんな所にいたとは」
声が聞こえた方を見ると、巨大な鳥型の機神がいた。そこから飛び下りてきたのは……。
「アクセラバード……!」
アクセラバードを下ろすと、巨大な島型の機神は何処かへ飛び去った。
「……あのフェルドとかいう小僧から聞いたぞ、そなたたちがルフトカイザーを落としたと。なかなかやってくれるではないか」
アクセラバードから不穏な気配が漏れ出ている。
俺たちは油断なく武器を構えた。
「今日は……少し仕置きが必要か。興が乗れば楽しんでやらんこともないが」
アクセラバードも斧を構えた。
今度もやられるわけにはいかない、最初から飛ばしていくことに決めた。
「ベヒモス、来てくれ!」
俺の呼びかけにベヒモスが姿を現した。
「頼む、俺の刃になってくれ!」
〝よかろう〟
俺は刃となったベヒモスを想像する。
辺りが光に包まれ、光が収まった後、俺の手には黒紫の剣があった。
リナベルとコーディが息を呑んだ。
そして真祖から教えてもらった防御膜を張る。
「身体強化<全>200%!」
ほんとは300%でいきたいところだけど、すぐに息切れするから200%を選択した。
アクセラバードはタフだからな。
「いくぞっ!」
俺はアクセラバードに向けて黒い斬撃を放った。
アクセラバードは弾き飛ばそうと斧を振るったが……。
「なっ……!」
黒い斬撃はアクセラバードの斧を両断した。
俺はその隙にアクセラバードに肉薄し、黒紫の剣を振るう。
「くっ……!」
防ごうとしたアクセラバードの左腕をそのまま斬り飛ばした。
「なんと……!」
アクセラバードは警戒して、俺と距離をとる。
「……精霊竜の剣、か。噂には聞いていたが、これ程とは……。しかし精霊竜め……ライトの精神力を貪り喰いおって……許せぬ」
アクセラバードは宙から柄の短い斧を取り出した。
「……だがライトよ、そなたは更に鍛錬を積んだようだな。このような傷を負うなど久方振りだ。……そろそろ頃合か……」
表情の読めないアクセラバードだが、ニヤっと笑ったような気がした。
その表情を見て、何故か嫌な予感がしたのだった。




