第60話 もやもやの解消法
俺はコーディを抱えて「飛翔」で夜空を飛んだ。
「あ、ライト君、あそこ」
コーディがリントヴルムを見付けたらしい。
俺は全く分からなかったから、ほんとに目がいいよな。
「うわーん!よかったぁ、待ってたよー!」
リントヴルムは少し高台になっている場所の岩陰に隠れていたが、俺たちの姿を見るなり飛び出してきた。
「忘れられてたのかと思ったよー!」
ドスドスと巨大なドラゴンがこちらに迫ってくる。
「うわあ!頼むから踏み潰さないでくれよ!」
「ご、ごめんごめん!」
リントヴルムは勢いを殺しながら地面に伏せた。
「悪かったな、待たせちゃって」
俺はリントヴルムの喉元からコードを引っ張り出し、カップの中の棒を握って魔力を流した。
「はぁ〜、生き返る〜」
そしてすぐにピンポンという音が鳴った。
「ライト、すごいね〜。やっぱり前とくらべて格段に魔力を流せる量が増えてるよね。並の魔術士だったら、オイラをお腹一杯にするのに小一時間ぐらいかかるのに」
えっ!? そうなのか!?
「もう人間の域を超えちゃってるね。それこそエルフや吸血鬼みたいな魔力の流れ方だよ」
そのリントヴルムの言葉に、俺はコードを片付ける手を止めた。
「ん?どうしたの?」
リントヴルムは何気なく言ったんだと思う。
人間の域を超えちゃってる……その言葉が何故か俺の心に引っかかった。
「うん……いや、何でもないよ」
俺は深く考えず、すぐにコードの片付けを再開した。
「元気ないね。どうしたの?」
またぼんやりしていた俺に、リントヴルムはストレートに聞いてきた。
「いろいろあってな。……リントヴルム、もし……もし、コーディが機神に捕まって、機神の仲間にされちゃったらどうする?」
「えっ!? い、嫌だよ!コーディと戦うなんて……できないよ」
「……そうだよな」
できないよな……。
今度あの紅い機神と遭遇した時……俺はちゃんと戦えないかもしれない……。
「はい、ライト君」
俺が思考の海に潜りかけた時、コーディが唐突に銃を渡してきた。
「え?……ええ?」
これをどうしろと?
「もやもやした時は、これを撃つといいよ。僕も昔いろいろあった時に、よくやってたから」
コーディがもやもやすることがあるって意外だけど、その解消方がこれなんだ……。
「いいからやってみて。結構すっきりするよ」
そこまで言うなら……。
俺はうなずいて前にやったように、遠くの雲に狙いを定めて引き金を引いた。
轟音と共にエネルギーのようなものが放たれ、雲を割っていく。
今度は尻もちをつくことなく、その場に立っていられた。
雲が割られた所から覗く空には、美しい星々が煌めいている。
「…… ははっ」
ほんとだ、意外とすっきりするな、これ。
「……すごいね、コーディの銃を撃てるなんて」
リントヴルムが何故か感心していた。
「うん。……これで確定だ、ライト君はネイティブガンナーだよ。しかも特級の……。アクセラバードには知られたくないね……」
コーディが何か言ってたみたいだけど、その声は俺の二射目の音にかき消されて聞こえなかった。




