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歌奏和伝  作者: 自由のメガネ
変貌の秋
53/65

ー肆拾陸ー「一の隊、そして…」

いつも通り感が否めないというか、典型的なパターンに落ち着いたというのか。

まぁそんな感じです。


自己満ですからね。構わずいきましょう。

…ところで、シロという猫を覚えているでしょうか?

長月の十三日。


 守さん発案、夜明が裏で暗躍していた「東西対抗侍合戦」と名付けられた都全体を巻き込んだ一大イベントから三日後。

泥塗れになった建物も綺麗になり、都は何時も通りの賑わいがあった。

突然の御祭り事は迷惑がられるのも一部に済み、概ねの盛況でリピートも考えられている。


「…春の都は暢気なものであるなぁ。慧鬼の一匹を倒した程度で、侍総出の御遊びに興じるとは」


…こういう反響があるくらいには。


 此の都では城周辺でも見られない煌びやかなで、かつ動き辛そうな格好をしているのは、僕としては馴染みの無い……此の国の首都〈中京〉の者だった。

名前は知らない。

殿の廊下を歩いていたらばったり会い、其の儘ぐだぐだ一方的に絡まれているのだ。


「中京の侍にとってはなぁ、慧鬼なんぞ廊下の埃も同然のものよ。息の一拭きで消し飛ばしてしまうわ。其れなのに…おぉ、春の都の侍の…なんと練度の低い事やら」


 此の国にとって、鬼は共通の敵。其れ故、住んでいる場所は違えど、情報の共有や交換、交流の為という名目で度々中京の偉い立場がこちらにやってくるらしいが、あくまで名目は名目。実情は中京のお偉いさんが嫌味の一つ二つを言いに来てはストレスの何やらを晴らす、意味の無いもの…らしい。


まぁまぁな頻度であるそうだが、僕は中京の人とは今の所、一度しか逢っていない。

其れは会わないようにしてくれているというのもあるけれど、中京の人も好んで春の都と呼ばれる此処に留まりたく無いが故に、城に訪れては用が終わり次第さっさと帰っていくからだ。城を囲むように在る殿に立ち入る酔狂な人はそう多くはない…筈なのに。


「だからこそ我らが中京の侍は……おい、聞いておるのか?」


「…あ、はいはい。聞いてます、聞いてます」


こんな出来事を話したならば、口を揃えて「運が悪い」と言われる事だろう。


 其れに、とぺちゃくちゃ喋る男の後ろを見る。

前の男よりのっぽ(間違えても白夜程じゃない)で痩せた枝の様な男。服は同じく煌びやか。

彼は前の男と対照に全く喋らないが、僕の足から頭迄隅々観察しているようで気味が悪い。ナメクジが体の上を移動しているような気持ちだ。

 前の男の家来だとか、護衛だとかで僕を警戒しているよりも、同じ立場で、僕が馬鹿な真似をするのを待っているのだろう。所謂、粗探しというのか。


此れ迄の事を掘り返す前衛と、此れから穿れそうなネタを探す後衛…二重に面倒臭い。


 早く何処かに行ってくれないものか…心の中で願っていると、背後から声を掛けられた。


「あら?其処にいるのはぁ~…友君かい。…あぁ、中京の御客様の御相手をしてくれていたのね。ありがとう」


振り返った先には、柔らかく口元を綻ばせる二三さんがいた。


「あ…二三さん」


「誰だね?余の高尚な話を遮るのは…」


喋る方の男が僕の後ろを覗こうとしたが、其れより先に二三さんは僕の前に立った。


「どーもどーも、友君が御世話になったようで。…ところで、何故此のような場所に?此処の御二方の御用がある様な場所は無いと御見受けしますが…もしや、道に迷ってしまわれた…とか?」


「う、ぐ…此の様な狭き場所、余が迷う事なぞないわ」


「ははぁ…中京の建造物というのはさぞ御広いのでしょうね。では此処に居られるというのには大層な理由が御有りなのでしょう。いやぁ素晴らしい」


「うご…うぐぐ、そっそうだ。此処の者は不甲斐無いからな!余が此処迄足を運んできてやったのだ」


「しかしながら、長く居られますのは御二方にも都合の悪い事かと。そろそろ…中京に戻られては如何でしょう」


「ぐぐぐ…そ、其の通りだな!此の様な酷く臭い場所、余から願い下げであるっ」


 二三さんに痛い所を柔らかい言葉で突かれた男は、誘導された逃げ口の儘に自分の言葉にして背を向けた。

僕は二三さんの背に隠れて、やっと離れた事にほっと息を吐いたが、さっさと歩いて行った男に対して侍るように傍にいたのっぽの男は付いて行くのではなく、


「くくく…」


二三さんを見て、上品に口元を抑えて小さく、しかし分かるようにくすくすと笑う。

其の様子には僕だけでなく、二三さんも不信感を持った。


「…どうかなされましたか?」


警戒を隠さず二三さんが問うと、のっぽの男はにやけを隠さず口を開いた。


「いえいえ、こうも目の前にしてしまうと、笑ってしまいますねぇ…。貴方がまだ侍だということに」


「何をおっしゃりたいのか、よく分からないのですが…?」


柔らかいように聞こえて、二三さんの声には攻撃的なものが窺えた。

のっぽの男は二三さんを挑発するつもりなのは分かっているから、恍けようとしたのが背中から伝わる。そうやって二三さんが自分を抑えた事で、のっぽの男は先に喋っていた男のように饒舌に語りだした。


「部下を皆殺しにしておいて、よく八年ものうのうといられるものですね。と言っているのですよ。其れともこう言うべきですか?春の都、風香城の城主…名を藤姫と言いましたか、彼女は余程むn」


男の語りが途切れた。

彼の喉元に掛かっていたのは手。息を呑む事も許さないように伸ばしたのは二三さんで。

其の目に優しさが消え去ったのを僕は初めて目にした。


「其の口を閉じろ。首を飛ばされたくなければな」


首に掛かる手は、絞めようとしているんじゃない。広げてはいない、ピンと、一つの方向に揃えて立てられた指は刀の様。

爪は手入れされ、丸く切り揃えられていたが、少し動かしただけで首が落とされるような気がした。

二三さんの背中から見る僕でそう感じるんだ。のっぽの男には…。


「…お、おい。行くぞ!」


「え、えぇ…」


 此の場を一早くも逃れたかった男の言葉を以って、のっぽの男も都合の悪い事から逃げる事にしたみたいだ。

だが唯では済まさないようで、


「刀も持てぬ崩れ者が…!」


と吐き捨て、ついでに舌も打ってやっとの事去っていった。


 振り向いた二三さんに安心を与えるように表情を柔らかくしていた。


「…友君。災難だったねぇ」


僕を見る二三さんの目をじっと見る。其処に置かれたようにある優しさの感情。

出会った時から無くならない其れは、どうしてずっと在り続けるのか…不気味で、だけど其処から無くなってはいけないと僕に思わせた。



                  ※        ※



次の日、長月の十四日。


「見事な迄の膨れっ面だったね、藤姫様」


「呼ばれたから何かと思ったら、合戦の事を聞かれるとはねぇ…『ずるい!儂も交ぜて欲しかった!』って言われても無茶だと思うんだよ」 


「でも、此れで都公認の一大行事になったわけだ。さーて…此れは次が楽しみになるなぁ」


「よーあーけ?止めれはしないし、止めもしないけど、程々で頼むよ…」


 上を見て考え事をする夜明に不安を覚えつつ、そう声を掛けると、夜明は階段を降りながら僕を見上げた。


「友も言う様になったもんだ。ちょっと前の言葉拙いながら、素直だった君は何処に行ったのやら…。いいかい?企画者のやりがいとは参加者の楽しむ顔が見られる事。マンネリさせちゃぁならんのさ。

つまり、程々なんかで止めるのは一番良くないのさ」


「悪い顔をするなぁ…僕が言いたいのはそういう事じゃないんだけど。

一応言っておくけど、今は考え事は危ないんじゃないかな…?階段は足元が……あ」


「あ」


 夜明が足を踏み外す。

僕も手を伸ばすが間に合わず、ごろごろ階段を転がり落ちていく。幸い?…というべきか、次の階迄そう段はなかったが転がって次の階へ落ちた夜明は、階段前に取り付けられていた襖にぶつかって止まった。


「よっ夜明!?…大丈夫?」


「いったた…あー……無事みたい。当たり所が良かったらしい…と、ありゃ?」


起き上がった夜明は下敷きにしているものをみた。

夜明はぶつかった挙句に乗り上げてたらしく、襖は真ん中からぼっきり折れて横倒しになっていた。


「あ…襖が。枠の木も壊れてるね、此れは。

確か、さえちゃんの歌は物にも効くんだっけ…後て頼んで直して貰おう…」


「にしても、此の階は…」


其の階を隠すようにあった襖。其れが倒れた事により、向こう側が見えるようになった。

真っ直ぐな大きい廊下、その両側面を襖が連なっている。

見えるようになったが、遠く迄は見えない。暗いからだ。


「…暗いね」


「暗い…へぇ、こういうのってさぁ…すっごく探検したくなるもんだと僕は思うんだよ!」


「よ、夜明?まさか…行くとは言わないよね…?怖いとかじゃなくて、僕達はあくまで御世話になっている立場なんだよ?迷惑になるような事は…」


「此の際だから典型的な事を言おう…ちょっとだけ、ちょっと見に行くだけさっ!」


「あっちょ…夜明っ!」


 頭が痛いのも忘れて、中に入ってしまった夜明。

むしろ僕が頭を痛くしそうになりながら、夜明を追った。


今此の場所に白夜を呼びたい。白夜なら、拳骨一発夜明にやってくれる筈だから。

僕には夜明は止められない。







 廊下は城の中程に入れば、外の光からも離れる。

歩く程に暗く、入り口で見た真っ暗に自分が紛れているのを感じる。

音もしないし、人も通らない。誰かに見つかるんじゃないかという不安は歩き始めで払拭されていた。


「…光も入っていない。昼間だって事も忘れない程の真っ暗さだ…」


「人が横に六人は通れそうなくらい広い、真っ直ぐな廊下…右も左も襖が続く…此れは多分、端迄同じのパターンだろうね。

其れはつまらないから、其の辺の襖を開けてしまおうか」


スパンッ


 僕が横を見た時には、夜明は襖を開けていた。

躊躇の無い夜明の動きに髪の毛を掻き乱したくなる衝動に駆られながら、止めた方が逆に長くなる事を感じて、僕を呼ぶ夜明に付いて行って開けた襖の中を二人で覗き見る。


 反対側は障子で、仄かに光が入っているが全貌を見るには足りない。

踏み込むと、畳の感触がした。何らかの部屋…なのだろうか。


「友、光になるものとかない?」


「そんな都合良く僕が持っているわけ…あ」


 僕は呆れようとしたが、其の前に気が付き、

誰をかも 知る人にせむ 高砂の  松も昔の 友ならなくに

歌を口にした。現れたのは緑の針。

其の緑は持った手の形が分かるように、暗闇を照らしていた。


「僕の針、少し発光しているようなんだ。普段じゃ目立たないけど、此の暗さなら」


「うんうん、充分充分。助かるよ」


僕は緑の針を二本、夜明に渡すと、自分も二本の針を取り出し目の前を照らした。

手を触れた物は棚で、中を見るのは流石に躊躇われたが、観察しても普通の棚だった。


 その部屋は大体正方形の様で、僕の反対の回転で夜明は部屋の壁沿いを見ている。

僕は棚を見つけた他、壁となっているのは襖で、隣にも同じような部屋がある事が予想された。其れ以外は特に触れるものも無く、唯一くっきりする外の光が入る障子に辿り着くかと思われたが、足の指先を柔らかい物が触れた。


「…ん?今、何か、足に触れた…?」


 目の前に手を出しても触れないので、背の低いものだと分かり、身を屈める。

触れると薄手の布、押し付けると中は柔らかかった。

下の方から針で照らしてみると、複雑に凹凸…布の重なりが見えて、上の方に辿り着くと緑の光がフィルタとなって色が誤魔化されているが、其処は肌色だった。


側面だった場所から正面の方に移動すると、其の正体はなんとなく辿り着いた。


「…人だ」


「何か見つけた?」


「夜明…人がいた」


 僕が伝えると、夜明は駆け寄ってきて、其の人の正面から針を近付けながら覗き込んだ。おでこに掛かる髪の毛を払い、特に目をじっと。


「目は…開いてる。瞳孔は開いていない…生きてる。息もしているようだね。

でもこうやって触っても、反応はしない…死んでるというよりは人形になったみたいだ…」


「一体…如何いう事なんだ…?」







「な~にしてるのかな?」


「「!!!?」」


 僕と、夜明以外の声が後ろから聞こえて、驚きに肩を震わせながら、障子の方に後退る。一体誰が声を掛けたてきたのか真っ先に知りたくて、頼りのぼんやりと光る針を掲げた。


うっすらだけど見えた姿に、誰なのかはっきりした。


「ふ、ふっ二三さん?あの…此れはですねぇ…」


「いやー気になる部屋があったんで、探検させてもらいましたー!」


「夜明ー!?」


僕は隣にいる夜明にだけ聞こえる声で喋った。


「なんで素直に言っちゃうのさっ」


「見つかっているんだよ?…変に誤魔化す方が後に引くもんだよ」


「此の期に及んで潔過ぎるっ!?」


聞えないように話していた僕達だけど、あからさまだったんだろう。

察した二三さんは、僕達の会話を遮るように声を上げて笑った。


「あっはっは…大丈夫。おいちゃんは怒っていないよ。別に此処も隠しているわけじゃないからね。

此処は唯の隊舎だよ、一の隊の。

誰も、目を背けたくなるものしかないから、静かな場所になっているのさ」


 二三さんは僕達を安心させるような言葉を言うと、僕の横に立った。

何をするんだろうと見上げると、ガコン、と。部屋が明るくなった。


障子を開いた事で、外の光が部屋に入ってきた。


「やっぱり…一日に一回は日光に当たらないとね」


窓際に立つ二三さんは気持ち良さそうに伸びをすると、此の部屋にいた其の”人”に微笑みかけてから、僕達の方を見た。


「此処に居るんだし、帰る前に手伝ってもらえない?簡単な事だよ。此の階の障子を全部開けてくれれば良い」







カコン…


「此れで最後。…はぁ、障子を開ける事だけだけど、量は多かったな…」


 隣の部屋の障子を開け終えた夜明は、少しの疲れを示すように其処で空気が抜けるように座り込んだ。

僕も自分のいる部屋の障子を開け、光を部屋に取り入れる。

部屋の中もよくみえるようになると、其の部屋にいた…初めの部屋と同じく、人形のように座り込んだままの人が二人の、異様さが目立った。


夜明の座っている部屋にも、一人。


「行く部屋何処でも同じような人がいたね…二三さんは此れを見せたかったのかな」


「さぁてね。二三さん一人じゃたるいのは確かだし、両方ではありそうだよ」


もう一度、座り込んだ其の人を見た。

人をずっと、まじまじと見る事は良い行為ではないけれど、彼等に対してそう思えないのが気分悪くなった。


「結局、何なんだろう…」


「此処が一の隊の隊舎で、彼等が隊員なら、一の隊だから心が壊れるのか…心が壊れたから一の隊にいるのか…どっちかだろう」


「余程隠したい事なら、こんな堂々とは見せないんじゃないかな」


「二三さんが姑息な思考をしていなければね」


戦いを教わる者として其れは無い…と思ったけれど、言い切れはしなかった。





 階段を降りる手前、壊れた襖の向こうに目を向けた。

正体も分かり、探検にも満足した夜明は先を降りていて、心の死んだ一の隊の隊員を思っても僕達には何も意味は無い、という。

其れもそうだ。しかし僕は、長い廊下の真ん中に立ち、開けた障子から向こうの景色を見ているそうな…二三さんを見る。


彼等を背負う隊長…此の世界で師とも言うべき人の歪みを初めて目にした気がした。


                   ※        ※



其の夜、更けたとも言うべき時刻。

とある、何処かの丘の上。




 其処に少女からシロ、と呼ばれた猫……否、白い猫の形を模した慧鬼はいた。


「やぁこんにちは…雲一つ無い夜空の下で会えるとは、とても光栄なもんだ」


そんな慧鬼、シロに男は声を掛けた。

猫としてみれば、男は猫に話し掛ける変人だ。鬼としてみれば、命知らず。もしくは勇敢な者。

しかし、男はどれでも無い。


そもそも、此の男もおかしかった。


何故、この危険極まり無い世界で、こんな夜更けに、人里離れた丘の上に、一冊の本だけ(・・・・・・)持って(・・・)立っているのか?(・・・・・・・・)


〈に゛ゃ―――〉


男にシロは唸るように鳴いた。一見すると警戒の唸り声のようだが、男は正しくシロの言おうとしている事を理解していた。


「そう急すなって。直ぐにやってやるから。

ほら、傍に寄って来いよ」


暗に自分の方が立場が優位だと示す男に不満を感じながら、シロは渋々男に近寄った。

男は手に持つ本をぱらぱらと捲り、あるページで止まる。


「御前は…認められない完成形の今を脱ぎ去って、新たなる高みへ行く……其れは今迄の全てが変わる事を意味する。

其の覚悟が、御前にあるか?」


男が挑戦的に問いかけ、シロを見つめる。

シロは、


〈に゛ゃ――〉


やはり濁らせながら鳴いた。

男はくすっとにやけると、


「そう急かすなって、こういうのは順序が大切なんだ。だが、其処まで急くのも御前の中で其れを欲する目的があるわけだ。良いねぇ…確固たる目的を持つ奴は大歓迎だ。じゃ…そろそろやるよ。


ほれ…此れが御前の歌だ」


 軽い言葉だったが、男が本の上で何かを引き寄せるように手を動かすと、不思議な事に本の中から文字の列が手に吸い寄せられた。

浮き上がった文字は、男の手が操る儘にシロへ。


「此れで御前は……俺の同志だ」


文字はすっと溶けるようにシロの中に入っていった。




〈にゃ?に゛ゃっ!?〉


 シロは文字が自分に向かってきた事、入ってきた事にはぴくりとも体を動かさなかったが、いざ体が内側から変わっていく事には声を上げた。


変化はシロにも止められない。

ゴキゴキと気分の悪くなりそうな音を鳴らしながら、猫の姿から隆起するように立ち昇り、粘土のように、猫の姿が欠片も無くなった。


男は静かに、ニヤニヤと、見守っていた。








物が変わっていく音が、次第に静かになり、無くなった。


 シロのいた場所には、一人の髪の長い…少女、のようなもの。

頭に普通の人にはない突起物を生やした女の子は、自分の体を見下ろし、五本指になった手を目の傍に持ち上げて口を開けた。其の歯も、人よりも鋭いものだった。


 見届けた男は、黄色と緑が怪しく混ざって輝く玉虫色の目で空を見上げ、風を感じた。


「さぁ行こうか」


大きくも無い声だったが、其の言葉を皮切りに人がぞろぞろと、丘へと姿を現す。

其の誰もに、シロだった少女と同じく頭に突起物、鋭い歯。


「都落としだ」


男は、宣言した。

やっとここまで来た…。

王道漫画とかでよくある展開ですが、元々決まっていた事なので良いでしょう。

其れ以上に同じ言葉しか使えない自分の語彙力を嘆きます。


誤字脱字、文章的に可笑しな点はありますか?

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