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歌奏和伝  作者: 自由のメガネ
変貌の秋
45/65

ー参拾玖ー「鬼の群れ 其の弐」

昔、読み専だった時は小説の上に「二ヶ月投稿されていません」と見た時、少しばかり寂しくなったことを覚えています。

最近はもう、

レポレポレポレポレポレポ…レポートの嵐ですが、こんな見ている人は少ないちゃちな小説でも(今回は超過しましたが)できる限り一ヶ月で投稿していきたいです。

 なんということでしょう(某番組風)。

一面に豊かに広がっていた草原が、光に包まれた間に大きな穴を開けて、周りも捲り上げて地割れも起こして、ぐちゃぐちゃの滅茶苦茶になってしまいました。


「ひゃ~す~ごいね~ひ~ぐらし~の歌~」


 此の光景を見て、暢気にしていられる五月雨さんを羨むべきなのかから先ず迷った。





「夜明っ!」


 山の中から降りてきた夜明に白夜がのしのしと大股で近寄っていく。足取りに力が入っている。


「てめぇの事だから、どうせ何時ものサプライズ精神で黙っていたんだろうけどよぉ…」


そして、夜明のところに辿り着くと、


ぐりぐりぐりぐりぐらぐりぐりぐり


「けどな。此ればかりは流石に先に言っておけよ!?味方に殺されるかと思ったぜっ!?」


そんな擬音が聞こえてくるように夜明の米神に折りたたんだ指の背を押し付けた。


「痛い痛いいたい!?白夜、指の力めっちゃ掛かってるよ!?頭を護る頭蓋骨すら採掘されるような指圧だよ!?」


夜明は白夜の指を退けようと、せめて圧力が弱まるように白夜の手を掴んだが、力の差が歴然だ。夜明の細腕じゃ、ピクリとも動かない。


「…てめぇの事だ。俺達に言わない方が上手くいったんだろ」


「ははは、そう思っていて欲しいな。そう、此れがベストだったよ」


 パッと、白夜は夜明を離す。夜明は痛みの走った所を擦った。陥没したところがないか、念入りだ。


「でも驚いたでしょ?レッツサプラーイズッ!」


ゴスッ


きらっとやらかした夜明の頭に、怒っているのが背後からでも分かる白夜の一発が入った。

夜明はほんとに懲りない。




 知らぬ間に狐になっていた守さんがすんすんと、黒く開いた大穴の淵、掘り返された土に鼻を近付ける。


「こらこら、標野君。そんなに近付かない方が良い。君の鼻が焼けてしまうよ」


其の守さんの手で覆って遠ざけたのは、夜明と一緒に山を下りてきた初雁さんだ。

そんなに鼻を近付けずとも、穴の中からは焼けた匂いがした。


「土が溶けてる……隅っこでも、触るのは危なそうね…」


「五月雨さんも言っていたけれど、凄まじいね…夜明の歌は…」


 石を蹴り入れると、溶けた土に触れてジュっという音がなり、溶けたのか分からないけれど、静かに土の中に沈んでいった。うん、危ない。


「友ー!白夜ー!」


 森の方から、名前を呼ばれる。


「よっす!」


二人の侍が原っぱに顔を出した。良く知った顔、瓜助さんと久動さんだ。


「いやぁ…派手にやったなー」


「此れには僕達も予想外ですよ…夜明も使いたがらないわけです…」


 近く迄来た久動さんは労わりに肩を叩いてくれるが、「派手」の被害を目に映して素直に喜べない。僕がやったのって、鬼から逃げただけだし、僕は「派手」な事はやってない。僕ではない。


「此れも歌の力なのか。歌ってすげぇな…やっぱ俺も欲しぃなぁ…」


「まーた言ってるんすか」


 僕の視線を辿った瓜助さんのぼそっとした声を拾い、久動さんは苦笑する。あれは、歌の中でも特殊な方だ。


「二人は、何故此処に?」


「ん、そりゃ、皆さんの応援に来たんすよ。かなり狙われてるっすからね。穴場とも言うっす」


「へ?」


 白菊さんは首を傾げる。察していない事に久動さんもハテナを浮かべる。


「だって、派手にやったじゃないっすか。人の目も集まるんだから、鬼だって気になって来ちゃうに決まってるっすよ。

ほら、今も周り見れば鬼に囲まれてるのが感じられるっすよね」


「へ?」


 言われた拍子に周りを見て、感じる気配の数に気が付いた。

其の数に肩を震わせる。息をひゅっと引き込み、針刀を構えた。

張り詰めた心が僕の中に戻ってくる、そうなるだけの、光線の中に消えていった鬼と同じ位の量の鬼の気配を僕も白菊さんも、其れ以外の人達も感じていた。



                   ※       ※



ノーサイド


「何だ…?今の光は…」


 紅は光が落ちたかに見えた方を見て、目を大きく開く。


「玉のが言っていたな。そうか…あれが暮の、の歌か。…恐ろしいものだな」


「あれも歌だというのか…」


紅は二、三秒は其の方向を見つめていたが、視線を外し春人の後ろ……は許せないので、横を歩く。


「しかし、驚いたといえば、其の身が此の身と行動を共にする事。此れも意外な事だ。

何か心変わりでもあったのか?」


「愚かしい事を言うな。貴様の事は今においても気に喰わん。可能な事なら、四の隊のみで事を終わらせたいところ。

されど…そうも言えない事も承知だ。…此の度の慧鬼は何か、何か…悪い予感がする」


「あぁ。其れは此の身も感じた。私情に流されない事は何よりだ」


 紅は隣にこそ敵がいる、というような刺す視線を隣に向ける。春人は草木を掻き分けていた。


 元よりこんな関係、というより春人は紅に其処迄関心が無く、紅は一方的にも嫌っているので、会話が成立する事も僅か。

後ろに続く隊員達も、心を落ち着かせる為か無駄な口を叩かないので、他で刀の金属音や鬼の声が響いたところで黙々と進んでいる内に、一行達は統率された鬼の群れを発見する。


 色んな形がある筈の鬼が、其処にいる鬼は全て同じ色、同じ人型の異様な鬼の集団。二人の隊長は目的の慧鬼の群れであると判断した。


「ふむ…如何やら遭遇出来たようだな」


「足を引っ張るんじゃないぞ」


「其の身も、だ」


 二人は後ろに控えた隊員に手で号令を掛け、鬼達に気付かれないように侍は刀を手に森の中を移動し、包囲網を作った。

鬼に逃げ場はない、それぞれも戦いの姿勢を整え、先陣を同時にきった。


ノーサイド エンド



                   ※       ※



〈キシャァァァア〉


 口を大きく開けて向かってくる鬼の口を針刀で突き刺し、動かなくなった其れを放り捨てて、また別の鬼の横顔を柄でぶん殴る。

飛んでいった鬼は三匹の鬼をまとめて薙ぎ払った白菊さんの一振りに巻き込まれ、身体を縦に真っ二つにされていた。


「あーもうっ!キリがないっ!」


 堪らず白菊さんが口にする。溜まる鬱憤で巨大な斧を振り回すが、逃れた鬼が彼女に牙を向く。

其の牙は、白菊さんに届かなかった。


「でもっ…こんなに多いっとぉ!逆に、楽しくないっっすかぁっ!?」


 めっちゃ晴れやかな顔で白菊さんの前に躍り出て、二振りの刀で鬼を細切りにした久動さんは、前に踏み出して鬼の中を走り抜ける。彼の通った道の鬼は、一匹残らず切り刻まれた。

 其の久動さんに影が差す。

大鬼が彼に襲い掛かろうとしていた。伸びた太い腕をヒラリ躱した久動さんは、


「『蝉の声 聞けばかなしな 夏衣 薄くや人の ならむと思へば』っ!」


強く詠って、大鬼の腕から胸、そしてもう片方の腕迄を二閃、更にもう一閃、バターを切り裂くように横に斜めに大鬼の体を断った。

 其の大鬼の頭を其の上に跳び上がった人影が縦に割る。


「蝉にばっか俺も負けてらんねぇぜ!」


鬼を踏みつけて地面に降り立った瓜助さんも、周りにいる鬼の首を横薙ぎに奪い去った。

 久動さんみたく手数は多くない。でも、瓜助さんの刀は確実に鬼を殺していった。見た目は豪快だけど、戦い方はとても堅実だ。

其れからも、二人はばっさばっさと鬼を切り裂いていった。



 と、五の隊の二人の方に気が逸れてしまった所為か、頬には液体物が付着した。指で触れると、ちょっとぬるっとして仄かに鉄臭い、そして赤い。血である。


 目線を上げると、鬼の顔。其の口には、包帯を巻いた腕が挟まっており、血がダラダラと流れ出ていた。




………トラウマ再来。


「ぅ…っわあぁぁぁっ!!」


 思わず出てしまった大声に、白夜が「なんだ!?」と反応して、「何でもないぃっ!」と久しく上擦った声で返す。

しかし、噛まれた腕の持ち主である五月雨さんは涼し気だ。


「まったく~よそ見しちゃ~駄~目だよ~」


 よっ、ていう軽い声で、腕の鬼の眉間に刀を突き立てて、ぶち抜く。

眉間をぶち抜かれた鬼は牙の力が抜けて、腕をちょっと振るだけで地面に落ちた。


「たか~さご~、離れていた方が~良ぃ~よぉ~」


 牙が中迄貫いた五月雨さんの腕からは血がだらだら地面に流れた。白夜の時と変わらず、鬼達は五月雨さんを弱っていると判断して襲い掛かった。


 五月雨さんは、


「とぉ~」


と、此れ又緩い声で刀を振り上げる。

 彼は躱す、防ぐといった工程の一切を省き、全てを鬼を切る為の動きとしていた。ノーガードってやつだ。

動く程に血が飛ぶ飛ぶ。其れすらも狙ったように鬼の目の部分に飛んでいき、視界の変わって混乱した鬼を屠った。


 鬼はゴムのような体から血を出さない。全部自分の血で赤く染まった五月雨さんに苦痛の表情は無く、何時も通りの(  ̄ ∪  ̄ )なのほほん顔なのがちょっと怖い。


…って、また僕は集中が散漫としていた。此の気分は今持ってはいけない。気合を入れ直す自己意志表明に、三匹の鬼の頭で針刀に団子を作った。

 其の僕の脇をするり抜けるのは、狐だ。


「わぁ大河流石だねっ!僕も頑張ないとっ!」


 其の狐は単なる狐にあらず。

 あくまで歌によって姿を変えている守さんは、噛んだって痛くないようにされた小さな牙は鋭くなって鬼を真っ二つに食い千切り、肩に乗せても服も傷つけなかった爪も尖らせて、鬼を縦に切り裂いた。

終いには、腕の中に収まる体躯を化け物レベルに大きくし、鬼を圧倒した。


〈あはは、あははははっ!〉


 大きくなった口から聞こえる声が、あれが守さんだと分からせる。


 五の隊の二人、隊長の二人の奮闘により僕、其れに白夜達はかなり楽をさせてもらっている。

しかし、溢れんばかりの、此の量の鬼がいる事がおかしい事は此の場にいる誰もが思う事だった。


「こんな数の鬼、今迄何処にいたっていうんだ…!?夜明、てめぇちゃんとあの光線ぶち当てたんだろうなぁ!?」


 僕からちょっと離れた所にいる、大穴の淵で白菊さんと二人で夜明と初雁さんを護りながら戦う白夜が襲い掛かった鬼を逆手の刀で切り裂き、多分後ろに控える夜明に叫んだ。


「あぁ当てたよ!消滅したのも僕の目で、初雁さんも確認してる。

此処に居るのは、確かに其れとは別の個体だ!」


「其れはおかしいわよ!私達は身を餌にして、十二分も逃げ回って鬼を集めたのに、まだこんなに残っていたっていうの?鬼って本能で生きてるんじゃなかったの?」


「其の筈なんだよ…。つまり、此の数を統制していた何かがいた事になる……其れがまさか………けど、何で今…」


 考える素振りをした夜明に他の鬼を踏み台にして上から襲ってきたらしい鬼が降ってくる。其れに気付いた白夜が夜明の真上に差し掛かった鬼を柄でぶん殴り、穴に放り込んだ。

大穴の底に落ちた鬼は、溶けた土に混ざって姿を消した。


「夜明、こんな所で考えるなっ死ぬぞ!つーか、光線はまた使えねぇのか!?」


「うーん………むっり!」


「荷物っ!」


 白夜は即答で吐き捨てた。


「ちょ…其れは酷くない!?使えるなら使ってるよ!

今使ったら、僕達諸共全員纏めて消し飛んじゃうんだからね!?」


 夜明は直ぐに弁解するが、白夜だって分かっていたのだろう。

あれを見てしまったら、ちまちま相手にするのが馬鹿らしくなる。出来るのなら、出来る事となら、さっきみたいな一発でドカンと一発かまして終わらしたい。


「キリが無いよ―――っ!」


と叫ぶのは、無理もなかった。


「あれま…《家鴨》の羽根も使い切ってしまったよ。〈解〉…使い切るなんて、どれ位振りだろうなぁ…」


 空を見ると、ピンクの焼いてない鳥の丸焼きに頭が付いた様な鳥が一瞬見えたような。歌が解かれて消えてしまったが、あれが初雁さんの雁…なのか?

こんな予想を裏切った状況でも焦りの見えない初雁さんは守さん達よりも場数を踏んでいる事が窺える。されど、其の彼でも羽根を限界まで使う状況というのはレアなようだ。


「日暮君」


 其の初雁さんが夜明に声を掛けた。


「君の言うように、考える脳が彼方にあるというのなら、其れは正しく慧鬼なのだろう。今此の状況が慧鬼の思惑の中ならば、私は許せそうにないな。

だから此れから私は、物凄く手荒い事をしようと思うよ。


『秋風に 初雁が音ぞ 聞こえゆる 誰がたまづさを かけて来つらむ』


…巻き込まれないように頑張ってね」


再度、雁を顕現させた初雁さんが、笑ってはいたが不穏にもそう言った。


 初雁さんの考えた事に一早く気が付いた夜明が顔を青くした。


「走るよみんな!此処から離脱するっ」


ほぼ思考にせず、走り出した夜明について走り出した。ちらっと初雁さんを見るだけでも、此の場を離れなきゃいけない夜明の気持ちはよく分かった。

しかし、足の速さから途中から白夜が夜明を肩に抱えた。


 夜明を抱える白夜を背に、白菊さんと二人で道を作る。


「他の人達は…!」


 白菊さんが此の原っぱにいる面子を探した。

僕も鬼と鬼の間から見れるところは見ていたが、其の時見えたのは空から舞い落ちる雁の羽根。新たに現れた雁が比べものにならない速さで羽根をばら撒いている。

先程姿を現したばかりの雁なのに、もう既にピンクの地肌が見え始めている。適当に羽根を散らしているから、何も考えず羽根を落ちしているからもう羽根が無くなっているのだ。

初雁さんは無差別に爆破をしようとしている。


 視線を動かし、狐姿の守さんを見つけた。しかし、逃げる様子も焦っている様子も見られない。羽根はちらちらと見ているが、寧ろ爆発するのを待っているような。

あれは多分、羽根が爆発をするスリル満点の空間で鬼を狩るのを楽しむ張ら積もりをしている。


「なんか…平気そうだね…」


 考えてみれば、此処に居るのは僕達より遥かに戦い慣れている人達。僕達が心配する側じゃなかった。


 もう少しで森に入るぞと思っていると、背後で轟音が轟いた。迫りくる音の波に追いつかれる前に、僕達は森の中に逃げた。



                     ※      ※



ノーサイド


「はぁぁぁっ!」


 腹の底から出した紅の声と共に、鬼の首に木刀を突き入れる。

そして其の木刀からは炎が燃え上がり、鬼を巻き込みながら空に向かっていった。

木刀から炎が解けると、鬼は既に燃え尽き、消えていた。

炭の匂いを燻らせながら、紅は周囲を確認する。だが、其処にいた同じ姿をした、慧鬼の群れはあとは春人の相手をする奴等以外は残っていない事を既に分かっていた。


 嫌な予感がした割には、見つけるのも、討伐するのも呆気ない。統率はされていたようだが、奇襲してしまえば苦にもならなかった。

紅は、「〈解〉」と口にし、木刀を火を纏わない普通の木刀に戻した。

 紅のそう離れていないところに春人の姿はあった。春人は、森の中だろうと気にせず、其の幅の広い大剣のような刀を自在に使いこなし、たった一振りで取り巻きの、慧鬼に付き従う特殊な鬼を纏めて五体、ばっさり切り飛ばした。

 其れ以外の鬼も既に倒しているのは地面に転がる残骸を見れば分かる。

幾ら燃やして残骸も残らない紅の歌であっても、其の春人の斃した鬼の数が自分より多い事が分かってしまった紅は、心の中で舌を打って、明日以降の鍛錬を一段階激しくする事を計画していた。


 其れはそうと、今は協力の間柄、慧鬼の首魁の群れを討伐しきったのだから、隊長として声は掛けるべきだろうと紅は春人に近寄った。


「其方も終わったようだな「……違う」」


 春人はぼそりと言い、声を掛けた紅を無視して走り出そうとする。表にはならないが、春人は驚愕と焦りが自分にある事を感じていた。


「待て、一体如何したというんだ」


 自分が無視された事もイラっとするところを突かれた紅だったが、何だかよく分からず行動をしようとする春人を真っ先に止める。


「四の。…まだだ。此処に慧鬼はいない」


 其の言葉が紅にはよく分からなかった。此れが慧鬼の群れだとは、二人して認めた筈だった。其れが今、前言撤回するというのか。


「拙者達が相手にしたのは慧鬼の群れだ!其れでも量は多かった。此れ程いたのなら、拙者か貴様、他の者が気付かぬ内にも斃していたのではないのか」


 慧鬼は普通の鬼のあまり姿は変わらない。だから、見逃して知らぬ内に倒している事は無い話じゃないのだ。しかし、春人の中では既に答えが決まっていた。


「此れは慧鬼の群れだった。しかし、慧鬼はいなかった」


 群れ自体は本物。だから、二人は其れを探して森の中を歩いて見つけ、其処に慧鬼がいると踏んだのだ。慧鬼だけを探す事は基本しない。 


「慧鬼が群れを囮にしたというのか?慧鬼は単なる鬼程度の力しかない。だから群れを作るんじゃないのか。作った群れを離れるなんて自殺行為でしか……!?」


 紅は自分で言った事に驚愕した。そういうものだと思ってしまっている自分に。そして、気に喰わない事に春人の言いたい事に気付いてしまった。


「馬鹿な…!?慧鬼は己の生態を理解した上で、利用したというのか……!?」


 驚きに春人を掴んでいた手が外れる。

紅は感じていた嫌な予感を理解した。唯でも考える脳を得た慧鬼が其れ以上の知能を有しているとは。

そんな慧鬼がまだ此の森の何処かにいる事に。


「(そんな奴、此処で逃してしまえば…大きな厄災となってしまうに違いないっ!)」


 場面は少し時間を戻した、友一行へと移る。


ノーサイド エンド



                     ※       ※



 原っぱを離れた僕達は、何処とも分からぬところで息を整える事に。


「無茶…苦茶だよ、初雁さん…」


「あれこそ…フルスロットル(全力攻撃)ってところかな…」


「言ってる、場合か…」


 白夜の声は元気がなかった。刀を杖代わりにするのも足りず、背にあった幹にも凭れ掛かった。


「あの爆破で、巻き込まれた人とかいないのかしら…?」


「面子を見る限り、僕達以上に不安のある人はいないから平気じゃなーい…?」


服が汚れる事も労わず、夜明は地面に尻を付いた。ごろんと寝っ転がって、答え方も投げやりだ。


「そっか~…じゃあ休憩」


「「「さんせーい…」」」


白菊さんの意見に、反対は出なかった。








 鬼の襲撃は来なかった。

酸素を寄越せと催促していた呼吸も落ち着き始め、余裕も湧き出た僕は立って向こうを眺める白夜に話し掛けた。


「さっきから向こうの方を見ているけど、何かあるの?」


「あぁ…さっきからあの辺で火が上がるのが気になってな」


「其れは多分、春苑さんの歌だろうね」


 其処に夜明も混ざる。知っているのかと問えば、話だけだそうだ。


「《火樹(ひまといのき)》。木を媒介に炎を操る力、だそうだよ」


「其れが何度も立ち上がる…春人さんはもう慧鬼を見つけたって事なのか……」


「じゃあ、謎に多い鬼は出たりしたけど、此の騒動は終幕かな」


 見ていると、向こうで立ち昇る炎の柱。其れが見えるのは原っぱを渡って反対側という事になると、其の規模はよく分かる。大きな炎なのに周りに燃え移らない事こそ、歌である証拠だ。

三度立ち昇る炎に、戦いの激しさを感じた。白夜の話では大分時間の経った慧鬼とのらしい戦いは、そろそろ終わる事だろう。

此の大人数を動員した此の退治も、そろそろ終わりかと僕は思った。

 


 一人、混ざらなかった白菊さんは、耳に音を拾った。


「……?誰かいるの?」





其れは、がさりという、草を踏んだ音の様で。


「白菊さん。何かあった?」



「今、其処でガサッて音が…」


 何かがいる事は分かる。動物は多分警戒して近付かないから、侍か、鬼か。

侍なら近くなら其の影が見えるだろうと踏んだ白夜は、


「鬼だろうな。ちっ…そう長くも休ませはくれねぇよな…」


鬼である事を予想して、何時でも飛び出せるように刀を持って、前に出た。其の正体は其処にいる者皆注目した。


 其処に姿を現したのは、肌色の肌ではない。鬼だ。

しかし、姿を見て、何時も見ている鬼とはかけ離れた、違和感、とも呼べるものを感じた。


 其れを見逃さないように、手の動き、瞳の向く方向、歩き方、何一つ見逃さないつもりで注視していると、鬼は口を開いた。噛みつくという行為以外で。







〈ム…?ムム…??オカシイナ、オカシイゾ。

ナゼココニニンゲンガイルンダ…?〉












「「「「しゃ……っ!?」」」」





 僕達も口を開いてしまった。

常識が張り裂けて破れるような、そうな衝撃が体を巡ったようだったからだ。







「「「「喋ったぁぁぁぁぁぁぁぁあっっっ!!!!???」」」」


 四人の心は一つとなって、森の中を木霊した。

決まっているところを枠組みみたく先に作成して、時間が空いて、其の間を埋めていったので何か所かもしかしたら文章的に剥離していそうな気もします。

回を重ねる毎にクオリティが下がっている事は否めないです。まぁ気にせず終わるまで続けましょう。

余裕が出たら、改良をしていく心積もりです。


友はもとよりですが、紅も自分の中で人物像が上手く定まっているとはいえないので、大分キャラが前に出た時からずれた印象を個人的には受けます。もうちょうクールに決めたかっただけどなぁ…。

ともかく、春人が嫌いな事だけ感じて頂ければ。


あと、それぞれの人物表記も統一したいところですね。名字で呼んだり、名前で呼んだり…。


誤字脱字、文章的におかしな点はないでしょうか?

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