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君の存在を見ていないから、解らなかったよ
ドン…
背中に衝撃を受けた私は、歩道橋から転落した
突き飛ばされたのだ…そう理解したのは、落ちる瞬間に見えた茶髪の女子だ
不自然につき出された腕、それから冷えた瞳で、私を見詰めていた。
その子の隣ではクラスメイトの男子が、泣きそうな顔をして手を伸ばす。
「彩夏ちゃん…」
目蓋に光を感じて、目覚めた。
寝床にしているダイニングで、しくしくと鬱陶しいくらいにすすり泣く内容は、『お腹が空いた、ひもじい…』などである。
小麦色の肌、銀の髪にルビーを嵌め込んだような赤い瞳の男は、一応は私の保護者様だ。
枕がわりのクッションを相手の顔面にぶつけた。




