約束は揺るがない
いつもブックマーク・評価・コメントありがとうございます!
なるはや目指して投稿してみましたが、今回もちょっと短めなので、あまり話の進展が無いかもしれません。
その後俺はレインさんに連れられ部屋から出ると、しばらくチクチクと言われ、5分程度してから一緒に部屋に戻る事となった。
だが内容は俺の予想とは反して、主に、「気持ちよかったですか? 柔らかかったですか?」と冷めた目でひたすら感想を求められるだけだ。恐らく変態! だとか不潔! など罵倒されると思ってたんだけど、そういうのは一切無かった。
……とはいえ、それはそれでキツい。
とりあえず模範解答がわからなかった俺は、「えぇ、まぁ……」と繰り返し答え、目線を逸らし続けてやり過ごした。
そして部屋に戻ると、マカちゃんは既に服を着なおしており、雪華を隣に座ってぎゅっと抱きしめていた。
「マカ、暑い……」
「でもおにーさんを相手にセツカちゃんからいつもこうしているでしょ? だったら大丈夫だよ! ……えへへ、実は私もこうしたかったんだよね、よしよし、はぁ可愛いなぁ」
「……むぅ」
俺は何となく微笑ましいものを見ている気分で彼女達の近寄ると、雪華の隣に座り改めて正面からレインさんを見据える。
「それで、今日はどうしたんですか?」
「はい、2つほど用事がありまして……まずはこれです」
そう言って取り出したのは、2枚のカード。
「こちらは9級のギルドカード。そしてこちらはセツカさんの従魔登録証明となります」
「あっ! そういえば受け取っていませんでしたね。わざわざすみませんでした」
「いえ、あれはギルド長の責任だと思いますし、気にされなくても大丈夫ですよ」
あれ、けど従魔の証明って首輪じゃなかったっけ? 寝てる時に管理者からそういわれた気がするけど。
……まぁいいか。逆に首輪を渡されても雪華につけようとは思わなかったし、これは多分向こうが気を利かせてくれたんだろう。
そうして勝手に納得すると、手渡されたギルドカードと従魔登録証明のカードを受け取り、大事に荷物へと仕舞う。
さて、あと1つはなんだろうか。昨日の無礼を取り締まりにきた、とか? ……だったら嫌だなぁ。
俺は少し警戒しつつ、次の話を促す。
「もう1つは?」
「その件ですが、丁度良かったです。マカさん達も呼ぶように言われていたのですが、マカさんだけあちらの宿にいらっしゃらなかったので、こちらにいてくれてよかったです。……何をされていたのかは知りませんが」
マカちゃんも一緒に招待されているという事実に、俺は内心でほっと安堵の息を漏らす。
どうやら別件だったようだ。
「え、私も?」
マカちゃんは雪華の隣から俺の隣へと四つんばいで回ってくると、そこに腰を落ち着けながら疑問の声を上げる。
「はい、セツカさんの件で少し、お話があるとか」
「余計にわかんないね、それならおにーさん達だけじゃないの?」
「マカさんもセツカさんの正体、知ってますよね?」
「……なるほどね」
レインさんの言葉で、マカちゃんは何かを納得したようだ。
ちなみに俺は全然わからん。
それはそうと、向こうが丁度良かったといったが、こちらとしても都合が良い。
この後のギルド長に会いに行こうと思ってた所に、向こうからの申し出だ。どうやって取り次ごうかなど考えていたが、無駄に終わってよかった。
「ではすぐに出られますし、これから行きましょうか」
「お願いします」
その後軽食を取ってから宿を出た俺達は、冒険者ギルドに到着した。
時間はお昼を少し回ったところで、あまり人はいない。なんとなく酒場を見てジョニーさんの事を思い出し探して見たが、昇級祝いはもう終わったようでいなかった。
「では、こちらへどうぞ」
そのままレインさんに連れられ再びギルド長の部屋まで来ると、すぐに許可が出て皆で部屋に入る。
「よく来たね、まぁ適当に座っててよ」
「はい」
部屋の中には、ギルド長以外にも人がいた。
ラアラちゃん、ショーくん、バズくんだ。皆すごく居心地悪そうな顔で部屋の隅に立っている。リーフェギルド長、相当嫌われてるな……。
俺はとりあえずソファーまで来ると雪華をおろし、その隣へと座る。後ろに付いてきていたマカちゃんも、迷わず俺の隣に腰をおろした。
そうした中、レインさんはギルド長へ近づき耳元で何かを囁くと、すぐに退出していった。
「忙しいところ悪いね。あ、レイン君は気にしなくて良いよ。受付の仕事中に抜けてたから戻ってもらったんだ」
「……それで、お話とは?」
「そう構えないで、もう素材の話はしないから」
俺はその言葉に安心する。
もし前回の件で何か言われたら、俺は全面的に謝罪する覚悟で身構えていたのだが、どうやら本当に咎めなしのようなので、これならこちらからマカちゃんの話を出したとしても、特に問題は無さそうだ。
「今日呼んだのはセツカ君に関する事で、ちょっとお願いがあってね」
「……ドラゴンを従魔にしている事を黙っておけ、と言うことですよね?」
ギルド長の言葉にマカちゃんがそう返すと、ギルド長は少し驚いた表情になった。
「へぇ、何で知ってるの?」
「レインさんがそんな事言ってましたので」
「あぁ、そうだったんだ」
え、言ってたっけ?
もしかして宿でのあの会話だけで察しが付いていたのだろうか。
「じゃあ話は早いね。前回リューヤ君にも話したけど、実はドラゴンをテイムした人なんて前代未聞なんだよ。だから私はこの事を王都へ報告しなきゃならないんだけど、そのまま伝えちゃえばきっと、一度王都に顔を見せに来いって言われると思うんだ」
「何かまずいんですか?」
「うん、良さそうな人材をみすみす街から手放すのも惜しいからね。まぁ行ってもすぐに帰ってきてくれるなら問題ないんだけど、向こうへ行ったっきり戻らない人って結構多いんだ。あんな所の何が良いんだか……」
「はぁ……」
「それにね? 今この街にいる冒険者は一番等級の高い人でも4級までで、しかも1人しかいないんだ。そんな現状だと、より等級の高い危機が街に迫った時、依頼をこなせる人が少なくて困ってるんだよ。それでなくても出された依頼が滞ってるしね」
何だろう、その話の内容だと、後々俺に高い依頼を消化してもらうつもりだと聞こえるんだが。
うーん、それもちょっとなぁ。
冒険者は困っている人を助ける仕事。といえば聞こえが良いが、俺としてはそんな事よりも、マカちゃんの事が片付いた後はゆっくりまったりしたいんだよね。
「つまりおにーさんを街に引き止めるために、虚偽報告をすると言う事ですか?」
「そこまではしないさ。ただちょっと、強力なモンスターをテイムしたという報告にするだけだよ」
「それがドラゴンである事を伏せるだけですね」
「そうそう、だから君達はもし他の人に聞かれても、強い魔物だとか言って誤魔化していて欲しいんだ」
「話はわかりました」
分かっちゃうんだ……。
そしてマカちゃん、打てば響くような感じで受け答えしてて凄いな。俺が口を挟む余地が無いよ。
「それで……」
「分かってる。勿論見返りはあるさ」
加えてちゃっかりしてんなぁ……本当に年下なのかマカちゃん。精神年齢も何だか俺より上に見えてきたぞ。
「そうだなぁ……どんなのが良い? あんまり無理なのは却下するけど」
「俺はお金が欲しいです」
「俺も!」
「私は……1度だけ、誰とでもパーティを組める権利が欲しいです」
ギルド長の言葉に、それまで黙っていた後ろの3人から、我先にと声が上がる。
その中でショーくん、バズくんは迷う素振りも見せずにお金を要求。異世界の子供って逞しいね。
あとラアラちゃんのは……権利? よくわからないな。
「いいよ、お金は金貨1枚で良いかな……もし契約不履行となったら、すぐに回収するからね」
「わかりました」
「言いません!」
「それで君はパーティを組む権利? うーん、まぁ1回だけなら良いか。でももし権利を使った後に約束破ったら、私の権限で色々しちゃうけどいいかな?」
「わかりました」
なんと言うか、この世界の子供は、元の世界では考えられないほどちゃんと自分の事を考えているんだな。誰も彼もが見た目より精神年齢が高い気がするよ。
「後は君たちの要望だけだけど……あ、3人はもう解散で良いよ。明日までにお金と許可証は発行して用意しておくから、手間だけどそれぞれまた来て受付けで受け取ってね」
「はい」
「ありがとうございます!」
「……失礼します」
ありがたい事に、俺たちの要望を伝える前に他の人を払ってくれた。
こちらの事情を話す上で、どうやって人払いをしようかと考えていたので、とても都合が良い。
さて、ここからどうやってマカちゃんの話を持ち出そうか。
そういえば、1話あたりの文字量をある程度調整して進めてきていますが、これも結構悩んでます。
今のペースだと中々話が進められず、逆に多すぎると投稿期間が少し長引くのに加え、読む側も大変かなぁと……。
もしよろしければそのあたりの意見を貰えると、とても助かります。
次回は明日を予定。
よろしくお願いします!




