第12話 疑神暗鬼
ファトゥールによって連れられてきた新たなる神格、その存在は瞬く間に広がっていった。数千年の間、彼女は神との関わりに消極的な姿勢を見せていた。
「煌矢ァ!大変だぁ!」
「……zzz….」
「また膝蹴り食らわすぞコラ!」
「………チッ…」
他の神々とあまり接触しない理由をファトゥールは秘密にしているが、周知の事実である。"自分より目立たれるのが気に食わない"という子供じみたものであると。故に彼女が新たな神を傘下に置く事は異例であった。
「そこらの街で凄い噂が飛び交ってんだよ!?」
「…噂一つくらいでピーピー騒がないでくださいよ」
「ちっがーう!!これ見ろ!?」
彼女はスマホを差し出してくる。
「この世界ネットあるんですか?」
「これは神様専用!風の噂とか信徒達の会話とかを拾ってくるの!」
「ええ〜ひでぇな?まぁいいや…スマホ、俺にも支給してくださいよ」
差し出された画面には掲示板サイトの様に文字列が並んでいる。
[神様が彼氏連れてきたらしい。やっぱ神様もそういう欲求あるんだな〜]
[お偉いさん達が言うには田舎貴族のボンボンみたいな雰囲気だって、寝癖ついてて服もよれてて肩肘ついて眠たそうにしてたって話だよ?]
[我々の主が無駄に面のいいヒモ野郎に誑かされているらしい件…]
[しかも魔力無き世界から来たとかいう胡散臭すぎる事を言ってたらしいし…]
[あれ…絶対好きな奴だよ…何あの嬉しそうな顔…初めて見たんだけど…]
[可哀想な大司教…いつも幼い笑顔の主が女見せてる姿に脳が破壊されちゃった…]
[絶望しました、他所の所に改宗します]
スクロールする度に煌矢に対する反応が出てくる…その大半がファトゥールに対する不安、そして煌矢に対する懐疑的な反応。
「うう…どうしよぉ…」
「女神様の信者は過保護過ぎるな…保護者のつもりなのか?」
「私が幼稚だと言いたいのかぁ!?」
「ええ、信者さんもその認識でしょう。」
「くぅ……煌矢は私の情夫ヒモだと思われて詳しくないのかぁ〜!?」
「…それは事実じゃないですか?まぁ雇用関係みたいなもんですが…」
「言えるかぁ!?私が煌矢を外界から連れてきたって知られたら恥ずかしいんだ!」
「何故です?」
ぷるぷると震えながらファトゥールは言う。
「だ、だって…神がわざわざ他の世界からわざわざ他人連れてくるなんて…!完全にデキてる証拠じゃない!ウチらの業界じゃ"持ってきちゃった婚"よ!?」
「何だそりゃあ、馬鹿馬鹿しいなぁ…なら僕が直接否定して…」
「ダメ」
「そうでもなきゃ解決しない…」
「絶対嫌」
「…俺とそういう噂立つのは女神様にとっても嫌でしょう」
しかし、ファトゥールは何も言わずに目を逸らす。
「…あぁ、もしかして周りの友人は皆相手がいるのに自分だけいないとかそういう」
「ぬがあぁーッ!!!この野郎ォッ!?」
「わっかりやすいなぁ〜信者が過保護になるのも頷けますよ…」
「ぐぬぬぬ…!」
その時、ピコンとスマホの通知が鳴る。
「何よこんな時に…え?」
「どーしました?」
「…信徒達が集団でこっち来てるんだけど!?」
続




