吾輩は猫である。もよおす。
さて、話を戻そう←などと我輩、毎度慣用句のように言っておるが、一体誰に言っているのであろうか。
誰か、もしこの独り言(?)を聴いていたら助けてくれんかの?
だって我輩……
いまだに長靴の中である。
……うむ。
犬に振り回され。
人間に見つかり。
近所の猫に見られ。
そして現在――
庭の隅に放置されている。
猫生とは過酷である。
しかし。
ここで一つ問題が発生した。
……。
……。
……ヤバい。
わかるであろう?
猛烈に、もよおしている。
天の声。
「来たね」
来てしまった。
ついに来てしまった。
猫の王とて生き物である。
避けられない。
常であれば砂を掘り、埋める。
しかし今の我輩は
長靴である。
みにょ〜んパコ。
動けない。
掘れない。
埋められない。
しかも我輩、雄であるからして、角度的にぶっぱすれば直撃である。
つまり――
詰んでいる。
天の声。
「あとどれくらい?」
……五分。
いや三分。
あ……いやこれは――
秒読みである。
我輩、必死で体をねじる。
みにょ〜んパコ。
みにょ〜んパコ。
みにょ〜んパコ。
抜けぬでござる。
その時。
トトト。
足音。
……嫌な予感がする。
現れたのは
三毛猫。
この辺りでハバを効かせる猫力団。
猫口組系指定猫力団肉球会の女ボス。
つむぎ。
その後ろから
白キジトラ。
肉球会のアイドル。
おはぎ。
戻ってきた。
つむぎ。
「まだ入ってるのか」
実況するな。
おはぎ。
「ミケ、大丈夫かにゃ?」
大丈夫ではない。
むしろ
今この瞬間が一番大丈夫ではない。
我輩。
「……帰れ」
つむぎ。
「!(にやり) 押してやろうか?」
マジでやめて?
おはぎ。
「応援してるにゃ」
やめよ?
その応援
完全に見守るやつ。
天の声。
「あと一分」
黙れ。
今それ言うな。
我輩、最後の力で体をねじる。
みにょ〜んパコ。
みにょ〜んパコ。
みにょ〜んパコ。
抜けない。
沈黙。
風が吹く。
つむぎ。
「……もしかしてほんとにやばいやつ?」
うん。やばいよ?
我輩、全力の笑顔。ただし引き攣ってる。
つむぎ。
「……」
おはぎ。
「……」
我輩。
「……」
そして我輩は決意した。
猫として。
誇りある猫として。
この状況で取るべき行動は
一つ。
天の声。
「覚悟決めたね」
うむ。
決めた。
我輩は猫である。
そして今――
長靴である。
つむぎ。
「……後生だ。おはぎ? いくぞ」
おはぎ。
「にゃ?」
我輩。
「……」
沈黙。
風が止む。
つむぎ。
「……」
おはぎ。
「……」
天の声。
「……」
つむぎ。
「……退避っ!!」
おはぎ
「にゃーん!」
……
我猫生に一片の悔いなし。
……
「……あっ!!」
おわり。
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