3話
ルイ、ガイ、ジンがいま居るのは小さな洞窟。
中心地から離れた塀の近くの森の中に、この洞窟を見つけてから3人の”秘密基地”となったのだ。
大人が3人ほど入ればかなり窮屈だが、子供3人であれば十分な広さだ。
洞窟に来るたびに過ごしやすいよう工夫を凝らしてきた。
最初に、洞窟の1番奥に簡易式のベッドを作った。木で枠を作りその上に乾燥した葉を敷き詰め、最後に布を被せて完成だ。
「じぃちゃんとケンカして家出してもここで寝れるぜ!」とルイが大はしゃぎした。
次に取り掛かったのはテーブルの制作。
平らな石を探すところから始めて石を積み上げ、崩れないような土台を作る。
作った土台の上に1番大きな、平らな石を乗せると簡易的なテーブルの完成だ。
平らで大きな石は重たく、3人で運ぶのにかなり苦戦した。
そして最後に、少し太めの丸太を3つ用意すればテーブルとイスが揃った。
「っできたー!俺たちの秘密基地の完成だなっ!イヒヒッ」
と嬉しそうに笑うルイ。
「やったぜー!俺たち3人だけの秘密だからな!誰にも言うなよ!」
「ああ。秘密だな!」
3人で秘密基地の完成を喜び、それからはずっとここに入り浸りである。
教会に暮らす子達や司祭、シスター達は3人がどこに出かけているのか気にはなっていたが3人の足に追いつけるはずもなく・・・いつも夕飯時には帰ってきているため、どこに行ったかを知るのは諦めていた。
「・・・そういやルイ、お前まーたじっさんに怒られてたろ」
ガイがイスに座りながらジト目でルイを見る。
「・・・うっ。怒られてねーよっ!」
「とぼけた顔すんな。ルイが食堂のおやつをつまみ食いしたのがバレて怒られたのはみんなが知ってるぞ。」
ジンもイスに腰を下ろしながらルイを鼻で笑う。
「ええっ!!!みんな知ってんのかっ!?」
「逆に知らないわけないだろ。」
「ほんと、ルイはアホだなー(笑)」
「ぐぬぬ・・・じぃちゃんは俺にだけ厳しいんだよなー」
「ルイが怒らせるようなイタズラばっかりするからだろ。それでいつも俺たちまで巻き添えくうんだからな。」
「そーだ!そーだ!」
「俺たち一心同体だろっ!一緒に怒られてくれよー!」
「変なところで難しい言葉を使うな。そんな一心同体はお断りだ。」
「そーだ!そーだ!」
「ガイは同じことしか言ってねーじゃねーかっ!お前だってアホだもんなっ!」
「ルイだってアホだろー!一心同体だって、ジンに教えてもらって唯一覚えた言葉じゃねーか!」
「なんだとー!」「なんだよー!」
言い争うルイとガイをみてジンがため息をつく。
「お前ら2人ともアホだよ」
ルイとガイの言い合いは、ルイの腹の音で終止符を打った。
「ぐぅ〜〜。 ...ハラ減った...」
「ハハハッ。それくらいにして、そろそろおやつ食べるか。」
「よっしゃー!おやつだー!」
出かける時にシスターが持たせてくれたおやつをそれぞれカバンから出す。
布を開くと中には、ぎっしりとクッキーが入っていた。
シスター達が作ってくれた手作りクッキーだ。
「ルイがつまみ食いしたクッキーだな。」
「罰として一個ずつ俺らにくれよー!」
「やだよっ!これは俺んだっ!」
取られないように身体で守りながらクッキーを頬張る。
「うめー!モゴモゴ...お前らも今度からつまみ食いふればいいんだよっ」
「「しねーよっ!」」
こんな感じで、秘密基地でおやつを食べたり、昼寝したり、外に出て森の中で遊んだりして過ごして夕方になったら教会へ帰る。
これが3人のルーティーンだ。
〜教会〜
教会の表には立派な聖堂があり、昼間は常に開放されていて様々な人たちが祈りを捧げに訪れる。
ルイ達が住んでいるこの教会は、
三柱が一神『ゼオス神』を崇める教会である。
三柱・・・神々の王『ゼオス』・豊穣の神『デメラ』・親和の神『ヘスティ』
この三柱により、世界の均衡は保たれており人々の心の拠り所となっている。
中でも神々の王『ゼオス』は誰もが信仰しており、教会に訪れる人は後を絶たない。
そのため、有難いことにこのゼオス教会は潤っており子供達を充分に育てられる環境が整っているのである。
立派な聖堂の裏側に司祭、シスター、子供達が暮らす家がある。
日がほとんど沈みかけた食堂には、30人の子供達が揃っている。
下は5歳、上は17歳と年齢はみなバラバラだ。
この国での成人は18歳で、
毎年4月1日のウェール(春の日)に、
みなこの教会から旅立っていく。
この教会から一月後に旅立つのは2人。
入れ替わりで2人だけこの教会に入れる。
入れ替え制だ。
33
「完成」を表すこの数字は、ゼオス神を崇める教会では、絶対に守らなければいけない数字だ。
そのため、子供達の数も33人となっている。
孤児なのに比較的裕福な生活が送れる
『ゼオス教会』は人気で、入居希望者が後を絶たず順番待ち状態となっている。
そんなゼオス教会を纏める司祭がこの人、
バーンッ!
「みな、おつかれさまじゃ〜!夜ご飯じゃぞ〜!」
食堂のドアを豪快に開けて入ってきた人物、
ガンズ司祭
「ガンズ様っ...またそのように乱暴にドアを開けてっ。ガンズ様のデザートは抜きにしますよ!」
「アンヌッ。悪かったっ!このとぉーりっ!次からは気をつけるから、デザートは抜きにせんでくれ〜」
とても老司祭には見えない筋骨隆々のガンズ司祭だが、デザート抜きと言われ土下座の勢いで謝っており全く威厳のない姿である。
「もう...気をつけてくださいね。ガンズ様には子供達のお手本になっていただかないと。」
ガンズを嗜めるこの女性はシスター達を取りまとめる長、マザーアンヌ。
ガンズが司祭になってからの付き合いで、実に30年の腐れ縁である。
「ふふっガンズ様ったらまたマザーアンヌに怒られてるんですか?」
「そうみたいよ。お騒がせオシドリ夫婦よね〜。」
「マザーアンヌいいなー。アタシも早く運命の人に出会いたい・・・」
「アンタ、シスターでしょ!しかもガンズ司祭とマザーアンヌは夫婦じゃないしっ」
料理を運びながら話している4人のシスター。
4人の中で最年長、淡いピンクの髪に緩やかなウェーブの髪を一つに束ねた、おっとりと淑やかなマリー(29)。
オレンジの髪に肩までのストレート、少しキツめの顔つきをしたカンナ(27)。
マザーアンヌに憧れシスターとなった、綺麗な青い髪をポニーテールにしているマキ(24)。
淡いオレンジの髪を、マキと同じくポニーテールにしている可愛らしい顔立ちのアキ(24)。
ガンズ司祭、マザーアンヌ、4人のシスターによってこの教会は運営されている。
料理を運び終わったところでみんなが席に着く。
ガンズ司祭が上座へ座り、左右の席にマザーアンヌ、シスターと並び年齢順に席が決められている。
「みんな、揃ったかの?それじゃあ、そろそろいただくとしよう〜」
「ガンズ様〜!全員揃ってません〜!」
1人が手を挙げて発言するとみなが口々に話し出す。
「またアイツらいねーぜ」
「ルイ、ガイ、ジンだよ」
「またあの3人かよっ」
「問題児軍団だよなっ(笑)」
「いつもガンズ様たちに怒られてるんもんな!」
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